召喚術士はダンジョン探索の果てにダンジョンマスターになった2
今回はダンジョン運営の話です。
「以上が新ダンジョンを探索して判明した情報の全てです」
指名手配犯のアウトをギルマスに引き渡して、新ダンジョンの情報を報告した。
「・・・・今までご苦労だった。これからはダンジョンマスターとして頑張ってくれ。出来る限りの協力はしてやる」
「・・・・はい、頑張ります。今までありがとうございました」
ギルマスから生暖かい視線を向けられて、激励の言葉と協力の約束をしてもらった。
何故こんな事になったんだ。
新ダンジョン探索を依頼されただけなのに、強制的にダンジョンマスターにされてしまった。
そしてダンジョン運営の責務を負わされている。
罠の整備。
宝箱の設置。
魔物の召喚。
清掃。
各階層の監視。
仕事が山積みだ。
まるでブラック企業だ。
辞めたい。
誰かに押し付けたい。
丸投げしたい。
誰でも良いから代わってくれ。
『マスター、サボっていないで、早く仕事を再開して下さい』
ハイハイ分かりましたよ。
年増のお局様がうるさいから、仕事に戻ろう。
『誰が年増のお局様ですか』
コイツはダンジョン妖精のミル。
ダンジョンマスターのアシスタントだ。
しかし口だけ達者な役立たずだ。
『誰が口だけ達者な役立たずですか。役立たずは前マスターですよ。罠の整備も宝箱の設置も魔物の召喚さえ出来なかったんですよ』
しかも僕の思考を読み取れる厄介な奴だ。
先ずは罠の整備、宝箱の設置、魔物の召喚だな。
ん、魔物の召喚・・・・待てよ。
ミル、魔物の蘇生機能は設定出来るか。
『出来ますよ』
ラッキー。
各階層のボスルームに魔物の蘇生機能を設定しよう。
そうすれば階層ボス召喚の手間が省ける。
階層ボスが死亡した瞬間に冒険者達に対して宝箱は次の階層への階段に出現させるから直ちに次の階層に進めという警告をする。
警告に従わない場合は強制的にダンジョン入り口付近に転移させる。
蘇生させるのは冒険者達がボスルームに居なくなった直後とする。
『マスター、ズルは駄目ですよ』
ズルではない。
合理的処理だ。
それと宝箱に擬態する魔物のミミックを召喚したら新しい罠になるな。
『第一階層』
毒矢の罠の整備を行った。
宝箱の設置を行った。
【召喚】
スライム、ゴブリン、ホブゴブリン、ミミック、階層ボスのゴブリンジェネラルを召喚した。
ボスルームに魔物の蘇生機能を設定した。
『第二階層』
毒矢の罠の整備を行った。
大石の罠の整備を行った。
宝箱の設置を行った。
【召喚】
ホブゴブリン、ゴブリンソード、ゴブリンアーチャ、ゴブリンメイジ、ゴブリンジェネラル、オーク、ミミック、階層ボスのゴブリンキングを召喚した。
ボスルームに魔物の蘇生機能を設定した。
『第三階』
毒矢の罠の整備を行った。
大石の罠の整備を行った。
落とし穴の罠の整備を行った。
宝箱の設置を行った。
【召喚】
ゴブリンジェネラル、オーク、オーガ、ミミック、階層ボスのオークロードを召喚した。
ボスルームに魔物の蘇生機能を設定した。
『第四階層』
毒矢の罠の整備を行った。
大石の罠の整備を行った。
落とし穴の罠の整備を行った。
水攻めの罠の整備を行った。
宝箱の設置を行った。
【召喚】
オークロード、オーガ、トロル、ミミック、階層ボスのボストロルを召喚した。
ボスルームに魔物の蘇生機能を設定した。
『第五階層』
毒矢の罠の整備を行った。
大石の罠の整備を行った。
落とし穴の罠の整備を行った。
水攻めの罠の整備を行った。
転移陣の罠の整備を行った。
宝箱の設置を行った。
【召喚】
ボストロル、ミノタウロス、ミミック、階層ボスのミノタウロス2体を召喚した。
ボスルームに魔物の蘇生機能を設定した。
『第六階層』
毒矢の罠の整備を行った。
大石の罠の整備を行った。
落とし穴の罠の整備を行った。
水攻めの罠の整備を行った。
転移陣の罠の整備を行った。
宝箱の設置を行った。
【召喚】
ミノタウロス、ベヒーモス、ミミック、階層ボスのベヒーモス3体を召喚した。
ボスルームに魔物の蘇生機能を設定した。
『第七階層』
毒矢の罠の整備を行った。
大石の罠の整備を行った。
落とし穴の罠の整備を行った。
水攻めの罠の整備を行った。
転移陣の罠の整備を行った。
宝箱の設置を行った。
【召喚】
ベヒーモス、コカトリス、ワイバーン、ミミック、階層ボスのワイバーン4体を召喚した。
ボスルームに魔物の蘇生機能を設定した。
『第八階層』
毒矢の罠の整備を行った。
大石の罠の整備を行った。
落とし穴の罠の整備を行った。
水攻めの罠の整備を行った。
転移陣の罠の整備を行った。
宝箱の設置を行った。
【召喚】
コカトリス、ワイバーン、グリフォン、ミミック、階層ボスのグリフォン5体を召喚した。
ボスルームに魔物の蘇生機能を設定した。
『第九階層』
毒矢の罠の整備を行った。
大石の罠の整備を行った。
落とし穴の罠の整備を行った。
水攻めの罠の整備を行った。
転移陣の罠の整備を行った。
宝箱の設置を行った。
【召喚】
イエロードラゴン、グリーンドラゴン、ブルードラゴン、レッドドラゴン、ミミック、階層ボスのイエロードラゴン、グリーンドラゴン、ブルードラゴン、レッドドラゴンを各2体召喚した。
ボスルームに魔物の蘇生機能を設定した。
『第十階層』
毒矢の罠の整備を行った。
大石の罠の整備を行った。
落とし穴の罠の整備を行った。
水攻めの罠の整備を行った。
転移陣の罠の整備を行った。
宝箱の設置を行った。
【召喚】
イエロードラゴン、グリーンドラゴン、ブルードラゴン、レッドドラゴン、シルバードラゴン、ミミック、階層ボスのシルバードラゴン10体を召喚した。
ボスルームに魔物の蘇生機能を設定した。
『第十一階層』
毒矢の罠の整備を行った。
大石の罠の整備を行った。
落とし穴の罠の整備を行った。
水攻めの罠の整備を行った。
転移陣の罠の整備を行った。
宝箱の設置を行った。
【召喚】
イエロードラゴン、グリーンドラゴン、ブルードラゴン、レッドドラゴン、シルバードラゴン、ゴールドドラゴン、ミミック、階層ボスのゴールドドラゴン15体を召喚した。
ボスルームに魔物の蘇生機能を設定した。
『第十二階層』
毒矢の罠の整備を行った。
大石の罠の整備を行った。
落とし穴の罠の整備を行った。
水攻めの罠の整備を行った。
転移陣の罠の整備を行った。
宝箱の設置を行った。
【召喚】
イエロードラゴン、グリーンドラゴン、ブルードラゴン、レッドドラゴン、シルバードラゴン、ゴールドドラゴン、バハムート、ミミック、階層ボスのバハムート20体を召喚した。
ボスルームに魔物の蘇生機能を設定した。
『第十三階層』
清掃(スライムに丸投げ)を行った。
やっと通常業務が終わった。
昼飯にするか。
『マスター、お疲れ様でした。一時間休憩して下さい』
一時間だけかよ。
『マスター、お喜び下さい。ギルマスから連絡がありました。犯罪者一名が奴隷として補充されます』
ラッキー、これで少しは楽になる。
どんな奴隷なんだろう。
若くて、可愛くて、優しい、そんな女性の奴隷だと良いな。
『残念ですが、中年のオヤジらしいです』
・・・・そんな事だと思ったよ。
・・・・よりにもよって役立たずのコイツかよ。
補充されたのは前ダンジョンマスターで指名手配犯のアウトだった。
「アウト、お前には罠の設置と宝箱の設置と各階層の監視を担当してもらう。出来ないとは言わせないからな。こき使ってやるから覚悟しろよ」
「・・・・」
「返事はどうした」
「・・・・はい、頑張ります」
そもそもコイツのせいでダンジョンマスターにされたんだ。
コイツなら多少こき使っても罪悪感を感じなくて済む。
コイツは隷属の首輪を嵌められているから、僕には反抗出来ない。
そう考えるとコイツで良かったな。
「ニードルスレッド先輩、私を匿って下さい」
「ウィップ、何があった」
ウィップが必死の表情でマスタールームに駆け込んで来たので、詳しい事情を尋ねた。
「私は本当の名前はマーキュリー。暗殺者ギルドに所属していた元暗殺者です。妹のジュピターが暗殺に失敗した為に掟により処分されました。私は激昂してしまい、後先考えずに脱走を実行しました。そして素性を偽って冒険者になった。しかし遂に追っ手にバレてしまったのです」
「・・・・事情は分かったよ。匿ってやるよ」
「ありがとうございます」
ミル、構わないよな。
『ダンジョンマスターは貴方よ』
サンキュー。
「但し仕事は手伝ってもらう」
「勿論です。出来る事なら何でもします」
「取り敢えず罠の整備と各階層の監視を手伝ってくれ」
「罠の整備と各階層の監視ですね。罠の事なら得意です。任せて下さい」
頼もしい仲間が加わった。
「先輩、第一階層の入り口付近に商業ギルド出張所の開設を打診しませんか。出張所があると私達の生活物資の買い取りと運搬が楽になりますよ」
「名案だ。直ちに商業ギルドと交渉しよう」
僕は商業ギルドに向かった。
「ギルドマスター、ダンジョン第一階層の入り口付近に商業ギルド出張所を開設しませんか。出張所があると冒険者達との交渉が捗りますよね。ボスルーム以外の魔物達は他の階層に転移させますし、罠も全て撤去しますから、安全は保証します」
「・・・・素晴らしい提案です。直ちに商業ギルド出張所を開設します」
「交渉成立ですね」
商業ギルド出張所開設の交渉は簡単に成立した。
直ちに第一階層のボス以外の魔物達と宝箱を第ニ階層に転移させた。
第一階層の罠も全て撤去した。
「ニードルスレッド、冒険者ギルド出張所も開設させてくれ」
冒険者ギルドのギルマスから出張所を開設させて欲しいと懇願された。
「良いですよ」
冒険者ギルド出張所開設も決まった。