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05】FEMALE PRISONER KEI

モナハン刑務所の上空には無数の哨戒球しょうかいきゅうが浮かんでいる。

 マッキー・ クロムウェル・ウィーバー は、一度、追尾が始まったら、瞬まばたきをしない!王立技研製千里眼鏡の追尾システムには、瞬まばたきは禁物だ!一度対象物をロックすると、自動追尾機能が作動しオペレーターが瞬きをするか、装置を外さない限り、対象物をトコトン追い続ける!その技術は突出しており、神聖ゼネティア帝国の技術特級士デラ・ヴィーの術わざをもってしても実現不可能なシロモノだった!

 未明にけたたましく警報が鳴った!脱獄だっ!

 脱獄囚は獄舎の外壁をつたって、通常の建築物だと10階部分に相当する高さから地上に飛び降りた!大抵のものは死に至るか、動けなくなるのだが、そのものは、軽やかに着地し迷うことなくウィーバーがオペレーションをしている監視塔に向けて猛ダッシュで駆けてきた。その脱獄囚は白く発光しているように見えた。マッキー・ウィーバーは白い靄の中で高速に移動する追尾対象(あえていうなら、髪の長い裸の女か?)を今までにないくらいの集中力で凝視していた。千里眼鏡がこれほどまでに曖昧な画像を映し出したことはなかったからだ。

 次の瞬間映像が動かなくなった!監視対象が画面から忽然と消えてしまったのだ!千里眼鏡がフリーズしたかとも思われたが、地面に生えている草が揺れているのが確認できた!しばらくして現場に駆けつけた警ら隊員らの声が聞こえ、彼らの姿が写り込んだところで肩を叩かれた!

 「ウィーバー、交代の時間だ!」

 その日のオペレーターはウィーバーを含め4名体制で、各自担当エリアを監視しているが、脱獄発覚時点で、他のオペレーターの千里眼鏡にもウィーバーの千里眼鏡と同じ映像が別画面表示され 共有される仕組みとなっていた!また、脱獄事件は、この施設の幹部の部屋と警ら隊詰所にも自動配信され、警ら隊長の判断で捕縛のための緊急出動が認められていた。

 そのものは千里眼鏡の追尾機能を凌駕する速さで忽然と姿を消してしまったことになる。動くものが無くなった映像だけが虚しく記録されていた。

 マッキー・ウィーバーは誰もいない監視塔の屋上のベンチにいた!夜勤明けで明日からは3日間 非番となる!

 仕事を終えると必ずここに寄り、クールダウン用のアイマスクをつけて眼の疲れをとってから帰宅することにしていた!

 この屋上はこの施設の職員の憩いの場所ともなっており、24時間利用可能で、屋外用のテーブルと椅子がいくつかと、その上に飲料水と各自職員が持参したお気に入りのコップが常時用意されたいた。‥マッキー・ウィーバーはお気に入りのガラスコップに水を注ぎ、一口飲もうとして、思い出した。

先ほどのあれはなんだったのだろう?あの高さから跳べる人間などいるはずもない。まして、着地してすぐに駆け出したその身のこなしは、知る限り、この世のどんな生物にも真似でるものではないだろう!

しかも、千里眼鏡から突如消えて見えなくなるなんてあり得なかった!技研の技師として技術指導のためこの施設に出向している立場としては、技研の(すい)を集めて構築した監視システムが敗北するなど受け入れがたい事だった。事実、技研の技術導入後には誰一人としてこの施設から脱獄を成功させた者などなかったのだから。

 だが、事実は技術を簡単に凌駕(りょうが)する。これは技師というものの持つ宿命として受け入れ、改良改善を重ねる以外ないのだろうと思い至り、気分を変えようと飲みかけの水を飲もうとした瞬間!

 目線が‥合った! 背中に電気が走った。 持っていたコッブを思わず落としてしまった!細かいガラスの破片が床に飛び散った。この時のマッキー・クロムウェルは昔から愛用している一点もののお気に入りガラスののコップが細かい破片になって飛び散ったことなどもうどうでもよかった!兎に角、目の前で起こっている状況を把握したかった!あまりの驚愕に口を開いてしばらくは呆けたようにしていた

これは、夢なのか?手を伸ばせば届きそうな距離に、裸の女が浮いている。微笑みながらクロムウェルの目を瞬きもせず見つめていた!

 最初は、白く薄い布のようなものが風に煽られてヒラヒラしているのかとも、つぎに、見てはいけない異形の妖あやかしかとも‥‥

 だが、不思議と心は穏やかで、ありうべからざる状況に驚いてはいるが、なぜかこのままいつまでも見つめていたい衝動に身を任せていた!

 女は微笑みながら少しうなずくような仕草をして口を開いた‥


「来て!」それはまるで脳に直接話しかけられたかのような囁きだった。


 その女はマッキー・ウィーバーから目線をはずし、上を向くと、スーッと上昇し、監視塔から10メテロほど上に浮いている哨戒球の中に入っていった。

 この哨戒球はいくつもある哨戒球の中でも監視塔から最も近くに設置されており、すべての哨戒球と同期しているため、メンテナンス用のラダーが常設してあり、非番の日以外はそれを使って王立技研からの出向技師であるウィーバーがこの中に入り不具合がないか点検するのが日課となっていた。この哨戒球がただしく作動してこその追尾システムということが出来る!


 中にはメンテナンスの為、人が数名入って作業できるほどの空間があった。

哨戒球の中に入った!

いつもとは勝手が違った!

まばゆいぐらいに明るかった!神々しい雰囲気に満ちていた!そこは、今まで接したことのない未知のエネルギー体で満たされていた!

女は床に座っていた。両膝を抱え、かかえた腕に顔を預けて目を閉じ、じっとしていた!

肌は透き通るように白く、黒く長くサラサラとした髪と切れ長の目がエキゾチックな雰囲気を醸し出していた!

生まれて初めて年頃のしかも裸の女を見る。しかもこの狭い空間に2人きりだ!ドキドキしないはずもなかった!日常では感じたことの無い興奮状態だった。ただその興奮は性的なものというよりは、芸術家が未知なる素材に遭遇した時のような歓びに近かった!

そして、マッキー・ウィーバーは確信していた!この者が忽然と消えたあの脱獄囚に間違いないと。

暫く無言でその空間にいたが、女も動かず、長い沈黙にこらえきれず咳払いをした!


女はマッキー・ウィーバーを見るや否や驚いたことに、体を預けてきた!次に、女は妖艶な笑みを浮かべてこう囁いたのだ! 「このままディーゼル・ベイツに連れてって!」


?????一体何が起こっている?


最初気づかなかったが、女の体は小刻みに震えていて、熱を帯びているのか頬もわずかに紅かった

「あなたと私をすっぽり包み込めるくらいの大きな布はないかしら?」少し目を細め、上気した唇で尋ねてきた。

「それなら油まみれだが機材交換の時に使っている養生用ようじょうようの毛布があるが‥」

「あなたと私、二人なら多分大丈夫だわ、私をしっかり抱いていて、決してはなしてはダメよ!‥」

息が荒く、呼吸も浅く、震えも激しくなってきていた!

「ヒューム‼︎」

彼女がそう呟いた刹那(せつな)、一瞬空気が揺らぎ、渦を巻いたかと思われた直後、ヒュンッ!という音ともに人型の何かが現れた!

「マッキー、紹介するわ!私の分身よ!サイズは気にしないで!」

ヒュームと呼ばれて現れたそれは、その様相を女の容姿に近づけていった!薄いベールをまとった一回り大きな瓜二つの女が出現した。


「マッキー、私を思いっきり抱きしめて!このままだと私、変になってしまう!」


 まるで状況が飲み込めないままだったが、明らかなことがひとつ。この女が自分のことをマッキーと呼んでいることだ!少なくともこの俺を知っている。しかもその呼び名はディーゼル・ベイツに住むゴク近しい者しか使わない呼び名なのでおそらくその者達の関係者かと思われた。

 小刻みに体を震わせせ、毛布に包まれた女をマッキーが抱きしめ、そのマッキーを女ごと両手に抱いて、ヒュームと呼ばれたそれは哨戒球を出た。


…と、宙に浮いている。ヒュームは、おもむろに体をディーゼル・ベイツの方角に倒し、空中をしかも誰も経験したことのない速さで移動し始めた。


 その日ラギア各地で、明けの空を高速で移動する光の目撃報告が複数寄せられた!

生まれて初めての空の旅‥思ったより安定している。


 こんな高いところから地上を見ることなどなかった!ましてや鳥よりも高く早く空を飛んでいるのだ!ヒュームは頭の辺りから光る粒子のようなものを出していた。お陰で風圧を感じることなく、呼吸も地上にいるのと変わらない穏やかなままでいられた!


 地上約100メトロほどの高さを高速に移動していた!

風に揺れる草原をゆっくりと移動するオレンジ色の牛、コリドー種の群が見えた!

近くの池から飛び立ったばかりの白い水鳥アルピコの群れが、明けの空に向かって飛んでいくのが見える!

 風が池をわたる度に水面がキラキラと銀色に(きらめ)く様が美しい!

しばらく行くと、エリモアナ大湿原の上空を飛んでいた!ここはラギアきっての名勝で、ここでしか見ることが出来ない紅蓮華(ぐれんげ)、ヅーチーギーの群生地で、湿地には珍しい特有の緑がかった乳白色の水面と、そこに所狭しと咲く真紅の華とのコントラストが地平線まで続いているさまは圧巻だった!


‥もの、‥みな、‥全てが輝いていた!


 あっという間に港湾都市ギャラドガ上空にさしかかり、暫く海の上を飛んだかと思ったら、見覚えのある懐かしい都市、ディーゼル・ベイツのシンボル、GARRANの朱色の尖塔が現れた!


 本来なら途中舟も使って約10日はかかる工程だが、信じ難いことだが、感覚的に、およそ30呼吸に満たないくらいの時間でマッキー・ウィーバーの生家に到着した!

ヒュームは女を抱いているマッキーごとベッドに降ろし、優しく布団をかけ、ポンポンと軽くタップしながら寝かしつけるような仕草をした!まるで生まれたばかりの我が子を慈しむ母親のように!そしていつしかヒュームのサイズは女と同じになっていた。必要に応じてサイズは自由自在といったところか!


 しかし、なんて日なんだ!マッキー・クロムウェル・ウィーバーにとって忘れられない一日となった!今まで変化のない日常を過ごしていたものが、昨日のあの脱獄事件以来、ありふれた日常の一欠片もない非日常の連続だった。そしてその連続は今も続いている。


 …この状況、何が起きているのか?頭の中を整理できないまま沈黙の時が過ぎた。

「あの‥訊いていいか?」

「アイ⁇」

「彼女は?いや、君達は一体何者なんだ?」

「彼女はマイン!私の本体、私はヒューム、彼女の分身。」

「…そういうことではなくて、何故君達はここ、つまり俺の家にいるのか?ってこと、わ分かるかな?」

「貴方と一つになるために来た!」

「どういう意味だ?」

「貴方が好きだから!」

「どういうことだ?君達は俺のことをを知っているようだが俺は君達を知らない!」

「そんなはずない!貴方は知っている。」

「知っている?わからない、俺は君達をいつ知ったんだ?」

「6年前!」

「どこで?」

「GARRAN!」

 いやいや、全く分からない!

 GARRANは武術と精神修養の場。特定のごく限られた者しか出入りできない!

 そこで出会っていると言われても、思い当たる者がいなかった!

「???君達の名前は?」

「ケイ!」

 待て待て待て!6年前、確かにケイには遭っている!しかし、ケイは少年だった!グスタフ・ウルドに紹介されたのは、色白で男子にしては少し華奢な感じのする、それでも、あくまで少年だった。だが、そう言われれば、稽古の後、一緒に風呂に入ったことはなかった!ケイはマッキー達、通いで稽古に来ている者とは違い、差配さはいの住む別棟に居があったからだ!年下で体も小さかったが、こと武術となるとそのセンスの良さと、卓越した身体能力、加えて、勝負に負けた時の悔しがる様はとても少女とは思えなかった!余程の負けず嫌いで、負けると我武者羅がむしゃらに稽古に励むその姿から、マッキーは少女をイメージすることなど到底できなかった!


 やがてケイは徐々にだが、確実に強くなっていった!年上で先輩のマッキーやJJ、ビザルと肩を並べるくらいに成長した。


 そして、ケイがGARRANにやってきて丁度2年後、唐突にディーゼル・ベイツからケイの姿は消えた。


 思えばケイについて知っていることといえばその名前と、差配と同じ別棟に住んでいるということぐらいだった!家族がいるとかいないとか、どういう経緯でディーゼル・ベイツに来たのかとか、本人が語らない限り詮索したりするような3人ではなかったが‥。

 実際、居なくなると寂しさを感じずにはいられなかった!最初は可愛い弟分で、危なっかしく、あれこれ面倒を見てやっていた。そして、いつしか気付くと、不思議なことに、ケイを中心に人が集まっていた。日頃は無口で決して饒舌ではなかったが、こと武術の事が話題になると人が変わったかのように饒舌じょうぜつになる。その時のケイの表情ときたら、目がキラキラと輝き、とても楽し気で、周りにいる全ての者を魅了せずにはおれないオーラが出ていた!


 その日、GARRANにケイの姿はなかった!いつもなら稽古場に一番乗りをし、駿歩しゅんぽの練習をしているのだが‥


 瞑想の後、老師から「ケイは、急遽、家庭の事情で、GARRANを去る事となった。王都アクアシェロームの実家に戻り家業を継ぐための準備をするそうだ!皆に挨拶もできず行ってしまうのは心残りだが、落ち着いたら必ず逢いに来るから、その時はまた一緒に稽古をして欲しい!」とのことだった。


 マッキーは改めて今、自分の腕の中にいる女の顔を見た!そう言われれば、その切れ長の目と長いまつ毛、透き通るような肌の白さはケイの特徴と合致する。


 そうだ、思い出した!ケイには左の手首の内側に小指の先ほどの小さな赤いアザがあった。組手の時、何度も見ている!マッキーにしがみついている女の左手を優しく握ると握り返して来た。一瞬だが手首の内側が見えた。まぎれもない、小さいが紅い六芒星のような形をしたアザ、それはマッキーが記憶しているケイのアザと同じだった!


「もう一つ聞いていいか?」

「アイ?」

「何故、モナハン刑務所にいた ?」

「 敵に悟られないように!」

「 敵?とは!?」

「敵は魔王とその一族。」

 その後、ヒュームの口から語られた内容をまとめると、


 凡そ200年前、魔王とその一族は、人間を支配し、魔族が上位に君臨する世界を作る為、あまねく世界に宣戦布告し、降伏勧告を促した!その時、果敢に立ち上がり、魔王軍に戦いを挑んだのがガエンジルバウム朝初代王女ユリエ・べラだった。戦いはほぼ互角で一進一退の攻防が繰り返されたが、最後にはユリエ・べラの持つ力が魔王を圧倒し、完全に討ち亡ぼす一歩手前まで追い詰めたのだった!しかし、敵は、一瞬の隙を突いてユリエ・ベラが仕掛けた結界を逆手に、逆結界を施し、ガエンジルバウム朝とその関係するあらゆる事物に大規模な呪いをかけてしまった。この事は、瀕死の魔王を復活させる為の時間を稼ぐ為と、復活した魔王に敵対する勢力の力を削ぐ為のものだった!そして敵は、魔王復活の時まで、隠れて監視し、実行することにしたようだ!魔王が復活した時に災いとなるであろう芽を事前に見つけ出し、脅威となる前に摘み取ることを!


その為、来るべき魔王復活に向けて、世界中のありとあるところに魔王の息のかかったスパイが送り込まれている。故に、ケイの母はケイの覚醒が敵に知られないように、覚醒の予兆と同時に異動すべき場所として、モナハン刑務所という敵の監視が最も少ない場所を選択したとのことだった!

 ただ、今回の脱獄はケイ自身も想定外だった。覚醒からくる呼吸の乱れ、脈拍の急激な上昇、全身の震え、どれひとつとっても、あらかじめ聞かされていたものとはレベルが違い過ぎるくらいの激しさで、意識が飛び、暴走した結果の出来事だった。


また、新たな疑問が湧いてきた!

「ケイが覚醒する‥とはどういう事だ?」

「ガエンジルバウムの血を引くものは12歳から18歳で覚醒する。」

「待て待て待て、君達は王家の血筋という事になるのか?」

「ケイは身分を隠す時の呼び名。本当の名は、キヨエ・ベラ・アムデウス・フォン・ガエンジルバウム・ボーエン・ オーグ。」

「我が母は第11代王女 ハリエ・ベラ!」

 ‥‥そんな!‥にわかには信じ難い話だ‥

 この国の姫がいま真っ裸で自分の腕の中に居る……ということになるのか?


流石のマッキー・クロムウェルもこの衝撃の話を素直に受け入れることができなかった!

 やはりこれは夢なのではないか?

 変化のないありふれた日常の繰り返しが結構気に入っていて、このまま歳を重ね、技師として働けるだけ働き、やがて老いて、身内のいない自分はディーゼル・ベイツの共同墓地に人知れず埋葬されて終わる人生だと思っていたのだ!それも悪くはないさ!

でも、実際は心のどこかで、今の人生では満足できず、この人生から脱却し、人や世界と繋がりを持ち、波乱に満ちた、ワクワクする充実した人生を送りたい、そう考えていたのかも知れなかった!その無意識の願望がこのような突拍子も無い夢を見せているのだろう‥そう思った。‥と、何気にベッドの横に無造作(むぞうさ)に脱ぎ捨てた自分の靴の紐を結んだ時にできるくぼみに、何か光るものを見つけた!ケイを抱く手を緩めゆっくりとベッドから起き上がり、その〈光る何か〉を確かめるために手を伸ばした!


チッ!ガラスの破片……!!! 人差し指の先から血が丸くにじみ出て、るみる大きくなっていった。赤い色が床にぽたぽたと落ちて行くのを見ていた。と、同時に視点が突然、、切り替わったかのような感覚!少し高いところから、自分を含むこの世界を、発生している事象全てを。もの皆全てが調和していることを‥ただ、見ていた!


 これは、リアルだ!理屈や能書きなど超越した感覚だった!全てが鮮明に、圧倒的に自分に向かって押し寄せてくるこの感覚。マッキーは今、キラキラと輝く光に満ち溢れた世界に包み込まれた。


 後に、キヨエ・ベラは語っている。「あの瞬間、ロッキー・クロムウェルの視線を感じたあの瞬間、何も考えずロッキー・クロムウェルの居る監視塔に向けて駆け出していたあの瞬間、その瞬間がなかったら、今ここにいる自分とこの世界は、存在していなかった。」と……



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