82/144
十四話-1
『…重軽傷者多数、意識不明3名、死亡者1名、行方不明者1名……
……ッ……』
八島は報告書に目を通しながら奥歯を噛み締めた
「……これまで、犠牲者がいなかった訳じゃない」
『先輩!』
「…してやられたな
"ファントム"に」
『…違いますよ
これは…これは俺達の失態です…!!』
秋里はちらりと後輩刑事を見て、煙草を取り出した
そして、天井を見ながら火を点けた
重い沈黙だった
それを掻き消そうとするように秋里の吐いた煙りが部屋を薄い膜のように包んだ
『……死亡者は……師走 優乃ですよ…』
「…わかってる」
秋里は苦々しい顔のまま煙草を吸い続ける
『……多少危険はあるって確かに説明しました
でも…それは俺達が最大限にカバーする前提で、です!』
「………」
『…如月 柚、長月 夢菜、皐月 義名が意識不明!』
「…覚悟はあったはずだ」
『先輩!』
八島は秋里の胸倉を掴みかかった
秋里はそのまま煙草持ち、アルミの灰皿に押さえつけた
「…俺を殴って気が済むならそうすればいい」




