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十二話-2
「おくつろぎ下さいね」
侍女らしき女性は高級そうなロールケーキと紅茶を持って来た
『ど、どうも…』
昨日とはえらい違いだ
「お話、聞かせて貰ってもよろしいですか?」
文月の質問だ
「と、言いますと…?」
「先生と…貴女について」
「…私も…でございますか?」
ちなみに彼女の一人称は私だ
「よければ…ですが
…それに私は貴女の名前さえ知らないのだし」
「私も貴女の名前を知りません…」
「…先生から、聞いては…?」
「いいえ、博士はそういう事を話してはくれませんので」
多分、昨日生徒が来たぐらいにしか話してないのだろう
俺達が私服で来ていたなら彼女は俺達がそうだとわからなかっただろう
「では…私は文月 陽孤です
貴女は?」
「私は…私の事はフアナと御呼び下さい」
「フアナ…さん?」
「はい」
「………」
『文月?』
「なんでもないわ
フアナさん
貴女は先生の…その…お世話係りみたいな方と思ってもよろしいですか?」
「……博士が帰って来ない限りは迂闊な事は言えませんが
私個人としては特に問題はありません」




