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七話-5
咄嗟に俺は倒れ込むようにして避けた
ボウガンの空気を突き抜ける衝撃が肩に響いた
先の椅子を盾に魔法銃を撃たれた時程、痛みはない
だが、体勢を崩した俺に女は容赦なく蹴りを浴びせた
『が…ッ!!』
意識が飛びそうな程重い蹴りだった
俺は吹っ飛び、廊下に打ち付けられる
口の中に鉄っぽい味が広がる
女はボウガンを構えた
『くッ…』
俺は半ば自棄になっていた
放たれた光の矢をプロテクターのある右の拳で思いきり迎えうった
-バシュゥッ-
俺の渾身の一撃は矢の形状を不安定にし、矢は拡散した
そしてその矢が発した閃光は予想外に広がり、
俺と女の視界を奪った
どうやら、霜月の時の電撃を帯びたものではなかったらしい
俺は視界が真っ白に包まれた瞬間、唱えた
『…FULL-Axel!』
光の壁を突き抜けて女の居た方向に突っ込んだ
女は例のサングラスのような魔法具で視界は俺よりは鮮やかだったはずだ
しかし、行動を始めるのが俺より1テンポ遅かった
だから、俺の体当たりを受けたのだった




