七話-3
爆音が上がる中
やっと俺は立ち上がった
霜月が撃っている方向を見る
見えたのは軌跡
そう、金色の軌跡だった
『なんだ…?』
脳がそれを理解するまで時間がかかった
それは女だった
金色の髪をした女が高速に移動しながら霜月の射撃を避け続けていた
「くっ…」
先に息切れしたのは霜月のほうだった
そして、女はその隙を見逃さなかった
-バシュンッ-
女は腕から何かを発射した
霜月はそれを避けたが
廊下に着弾した瞬間
それは、電気を帯びた
それに気付いた瞬間
霜月は俺と葉月をなるべく後ろに蹴り飛ばした
その僅か後から放出された電撃を受け
霜月は倒れた
霜月によって、吹っ飛ばされて難を逃れた俺は
その時になってようやく女の姿をまともに見た
黒いスーツはやはり他の奴らと同じだった
しかし、彼女はヘルメットではなく水中眼鏡みたいな分厚いサングラス…恐らくは魔法具をかけ、
長い金色の髪は割れた窓からの風でなびいていた
そこでやっと女の腕にある武器…魔法具がいわゆるボウガンと言うモノである事に気付いた
俺は我にかえり
咄嗟に霜月の掌からライセンスを掴むと同時に叫んだ
『長月!
葉月を連れて早く行け!』
その言葉にどんなニュアンスをこめたのかわからないまま
俺は叫んでいた




