3/144
一話-1
クラスメートのほとんどは談笑していた
いつもなら、私もその輪の中に入っているはずだが、
そうでないのは
私が今の今まで眠り続けていたからだ
時計に目をやると休み時間はとっくに過ぎ、授業の時間になっていた
なのに、先生も居なければ、まともに勉強している人間もいない
私は覚醒しきっていない頭で黒板を見ると
中心に少し、乱雑な文字で『自習』と書かれていた
…担任で今の時間の担当である由美先生の文字は整った綺麗な字である
それを書いたのでは由美先生ではないと言う事だろう
(…そういえば、朝に他の教師が教室に入ってきて
由美先生は今日は休むとか言ってたっけ…
なんでも、身内に不幸かなんかあったって…
…まぁ、いいや
どちらにしろ
先生がいないなら、たいした問題じゃない)
13人しか居ない、特進クラスと言っても
その中身は他のクラスと変わらないティーンエイジャー
成績がいい事以外は他の生徒と変わらないという事だろう
「やぁ、眠り姫
やっと、お目覚めかい?」
私に声をかけたのは黒縁眼鏡の幼なじみだった