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五話-3
頭の中は空っぽに近かった
俺は誰にどういう意味で叫んだか、さえわからなかった
ただ、無我夢中で引き止めなきゃって思いに駆られた
教室内の皆の視線が刺さるようだった
「…霜月、何か案か…意見があるのか?」
(シモツキ…?
シモツキ……ああ、俺の名前だった…)
そう、俺の名前は
霜月 夜叉-シモツキ ヤシャ-
…変な名前だな
(…相当重傷だな、こりゃ)
内心、苦笑しながらも
何とか言葉を紡ごうとした
叫んでしまったのだから
『…長月
一人で行って…どうするんだ?
アイツ……多分、アイツらに見つかって、魔法無しでどうにか出来るのか?
それとも、見つからない方法でもあるのか?』
「つッ……!!!
無ぇよ…ッ!」
『なら、行ったって
仕方ないだろ
もし、二人が奴らに捕まってたらどうする?
助けられないだろ?』
案外、スラスラと出て来る
行き当たりばったりにしちゃ悪くない
『だったら、今は我慢だ
何か方法が無いか考えよう』
「…わかったよ」
『…よし』
長月が着席したところで、水無月が再び聞いた
「…じゃあ、何か意見
…誰か無いか?」




