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四話-2
「もう!
長月ちゃん!」
「んー?
何?」
『はぁ…もう、いいよ』
如月はいい子だとは思う
フルネームは如月 柚-キサラギ ユズ-
誰にも優しい
いい子だ
ただ…
「はぁ…もう…
私、飲み物買ってくるよ
何かいる?」
「じゃあ、オレにも何か…
飲み物はテキトーでいいよ」
『…同じのを頼む』
「わかった!」
そう言うと如月は教室を出て行った
「…段差の無い場所で躓く、だ
さっちゃん」
『なら…飲み物をひっくり返すだ』
しばらくして如月が帰ってくると
予想通り何も無い場所で躓いた
「きゃっ!!」
-カンカン…コロコロ…-
そして、缶ジュースが転がって行った
如月は慌ててそれを拾い
俺達に差し出して
自分のジュースのタブを引いた
「あ、如…」
長月が言い終わる前に
如月はタブを開けてしまった
如月のジュースは炭酸飲料だった
「きゃぁっ!!」
案の定、
如月はジュースをぶちまけた
「…ドローだな、さっちゃん」
『…そうだな』
そう、如月はどうしようもなくドジだった




