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十七話-3
『…こんな状況でよく笑えるな…』
「ピンチとチャンスは表裏一体よ
笑ってみせなきゃ」
『チャンス、か』
「虎穴に入らずんば虎児は得ず…って事?」
葉月は目を反らしながら、言った
「そういう事」
なんでもない事のように文月は笑みを崩さなかった
『…魔法が使えるって事は
"Coal"で警察に通報は行ってるんだろうな?』
「どうだろう…?
他の人達は魔法を使えないように監視されてるかも知れない
僕らがしなきゃ、まだ気付かないかも」
神無月の言葉に全員黙り込んだ
何かを考えてるようだ
「フツーは、知らせなきゃいけないんだろうね」
睦月はそんな気はないが、と言った口調だった
「でも、その場合は警察の指示に従わなきゃいけないんだろうね」
卯月は呟くようだった
「…その場合
俺達は思うように動けないだろうな」
霜月の言葉は皆の本音だった
「…私…戦うよ」
弥生の言葉に皆が弥生を見た
弥生は黒ずくめの持っていた二つの拳銃を手に取った
「だって、納得出来ないもの」




