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ギルドの夕べ

 夕方。レンガ造りの建物の中に私たちはいた。

 眼の前のテーブルには、夕食が並ぶ。昼食がメインのこの世界ではあるが、それでも以前領主テオバルトの宴で食べたものよりは遥かに高級そうで、うまそうである。

「どうぞ、お召し上がりください」

 上座に座る年配の男性がそう恭しくすすめる。さらにその上座に座るのは、ベアトリクス女伯とゲッテン騎士である。ゲッテン騎士は鎧をまとったまま、ワインの入った木の杯をあおる。

 おかしい。私より、あの爺さん騎士が上座なのか。

 周りを見回すと他にも中年男性が何人も同座している。

「みな、この街の商業ギルドの幹部ですぞ」

 ヴィンツェン司祭が私にそう耳打ちする。

 ギルド――わたしは眉をひそめる。

「ギルドというのは、こう魔物を倒すために仲間を見つけたり、なにか任務を受けたり――」

 ヴィンツェン司祭は首を振り、丁寧に説明してくれる。

 ギルドというのは同職の経営者によって作られた互助会であり、商売上の過度な競争を防いだり、もしくは技術を継承するための組織であると。高校生の時、日本の学校の授業で教えてもらったこと思い出す。織田信長が廃止した『座』、もしくは田沼意次が推奨した『株仲間』みたいなやつか。

「われわれプロッホベルクの民は、いまでもジークフリード=フォン=ゲッテンさまを忘れておりません。あの二〇年前のご恩、プロッホベルク商業参事会を代表しましてお礼を述べさせていただきます」

 いわくありげな、商人たちのリーダーの言葉。わからないことは聞くに限る。私はその意味を問うてみた。

「......今から四〇年前、この地に海賊の一団が襲来しました」

 海賊?ここは内陸ではないのか?

「連中は川を遡り、船を連ねてあたりを略奪しまくりました。当然この街も――当時の領主様も必死で戦いましたが、籠城を余儀なくされ街は海賊に包囲され風前の灯でありました」

 リーダーの声に合わせて、弦の音がなる。吟遊詩人でもいるのだろうか。

「その時――さっそうと現れたのが正義の騎士ジークフリード=フォン=ゲッテンさま!たった数十騎の部下とともに野蛮な海賊をばったばったと――!」

 すさまじい剣幕で説明が進む。

 なるほど、ゲッテンどのは『英雄』であったのか。しかし、海賊を倒した英雄が山賊になってしまっては元も子もないような気がするが。

 話を聞きながら、頷きもせず酒を煽るゲッテン騎士。

 多分、昔のことをおぼえていないのだろうか。しかし、なんでそのような英雄があのような寂れた孤城に住んでいたのかも疑問である。そんななか、ごほんとせきばらいをして商人は切り出す。

「――実はまたゲッテンさまにお助けいただきたいことがございます――」


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