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 目の間にそびえたつ城壁。いわゆる城塞都市というやつか。それにしても高さが低い。これではガーゴイルなどの魔物が攻めてきたら、ひとたまりもなかろう......と思いつつ、ここは中世ヨーロッパであったことを思い出す。魔物もいなければ魔法もない。人間相手なら、この程度の城壁で事足りるということか。

「さて、ここからが勝負ですな」

 ヴィンツェン司祭が門の様子を陰から盗み見ながら、そうつぶやく。

「この町の市民を味方につけ、ベアトリクス女伯のにっくき仇敵ランドルフめを倒す!......のだが。その策は――」

 じっと私の方を見つめるヴィンツェン司祭。

「レオール殿いかがであろうかな。何かうまい手は」

 これからのことを、考えていなかったらしい。まあ、ここまで順調に進めたのも、ヴィンツェン司祭のおかげであった。ならばそろそろ私の出番も必要であろう。

 一人大きな鉄門の前に飛び出す私。当然門番の兵士が私に気づき、槍を構える。通常であれば、大門の隣の小さな門から一般の市民は出入りしているらしい。

 そんな手間を踏むのも面倒である。

 ここはひとつ、魔法の力で――

 そう思い詠唱を始めた瞬間に、門番が武器を引き頭を下げる。明らかに服従のポーズ。

 そうか。

 ようやっと私の存在のすごさを理解できるものが登場したわけだ。いい気分で名乗りを上げようとした次の瞬間、私の後ろから大きな声が響き渡った。

「プロッホベルクの市民たちよ。汝の加護者騎士ジークフリード=フォン=ゲッテンが今門の前に参じた。迎い入れることを所望する!」

 それはあの、老人の声。馬にまたがり鎧の兜を外しながら朗々とそう宣言する。

 その次の瞬間重々しい正門がゆっくりと開く。

 正門が開かれるというのは、無条件降伏に近い恭順の証である。門番も、そして城壁の上の見張りの弓兵も下げた頭を上げようとはしない。

 明らかにこの老人が、この場を支配していた。

 困惑する私にかまわず、ゆっくりと馬をめぐらすゲッテン騎士。それに続くようにわれわれは入城する。

 戸惑いの色を隠せないフィリーネとヴィンツェン司祭。一方ベアトリクス女伯は扇を振って、嬉しそうにあたりに愛嬌を振りまく。

 それなりに広い都市の大通り。先ほどの門番がわれわれの周りに備え、誘導する。

 広場にたどり着くと、そこには驚いた様子の群衆の一団がいた。皆、比較的高価な服を着ている。街の商人だろうか。

 馬に乗ったゲッテン騎士を認めると、その人々は一様にひざを折り、頭を下げる。

 そして先頭の男性はこのように頭を下げながら、言上した。

「お久しぶりでございます――わがプロッホベルクの守護者、偉大なる騎士にしてわれらが父――正義の騎士ジークフリード=フォン=ゲッテンさま――」

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