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ゲッテンと共に

 私たちはその後、数日間ゲッテン騎士のらしきものにお世話になることとなった。

 いや正しくは、老齢かつ発作持ちのゲッテン騎士の面倒を見ていたという方が正確であったが。

 旅の備えとして持参していた食料をフィリーネが調理し、それを食べさせる。どうやら歯もあまり芳しくないようで、細切れにしたパンにシチューを浸してフィリーネが優しく口に運んでいた。

「このお礼は必ず。騎士として封建の誓いのもとに......」

 正直どうでもよい。

 一方、ヴィンツェン司祭のほうはイライラが募っていた。それもそうだろう。早くゼンケル伯爵領に赴き、教皇の弟やらを征伐――それも私の仕事のようだが――をしなければならないのにこんなところで油を売っているとなれば。

 一方、ベアトリクス嬢は平然たるものであった。

 何やら城の庭の草を集めて、干したりしている。薬や茶になるらしい。見た目が幼いだけに、なにかほほえましくもある。もちろん本人は言えないが。

 ようやく、ゲッテン騎士が立てるようになったある日私たちは出立を決める。

 当然、見送りに出るゲッテン騎士が――なぜか私たちの一行の中にいた。これまたくたびれた老馬にまたがり、身に不相応な槍を掲げて。

「騎士ジークフリード=フォン=ゲッテン、その受けた恩に報いるべくゼンケル女伯ベアトリクスさまに忠義を誓うものである!」

 よきことよきこと、とベアトリクスが手に持った扇子でゲッテンをあおぐ。

「どうやら、主従の関係を結んだようですな」

 私に耳打ちするヴィンツェン司祭。

「命を助けていただいた恩に報いるため、ベアトリクス様の領地を奪還する戦いにぜひとも参加したいとか。まあいないよりはましでしょう」

 いや、多分いない方がましだろう。あんな爺さんがいたところで何の役に立つのか。

 そんな不安を抱えつつも、さらに西の街道を行く五人。

 なにか昔読んだ昔話を思い出してしまう。

 イヌ、サル、キジか。

 もしくはブタ、カッパ。

 ゲッテン騎士が参加したことにより、『ブレーメンの音楽隊』的な雰囲気がなお一層強くなった感じであったが。

 もっとも遠目には鎧姿の騎士がいるように見えるので、盗賊除けにはなったのかもしれない。

 そして到着する、ゼンケル伯領。

 当然好奇の目で見られるものの、いくつもの村々をヴィンツェン司祭の用意した偽手形で通過する。この世界において教会の発行する文書は絶大な力があるようだった。

 ついに目的の地へと我々は到達する。

 ゼンケル伯領首都『プロッホベルク』の門の前に――

 

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