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決闘

 じっと目の前の鎧姿の騎士を見つめる。するとゆっくりとその右手の手甲が上がり、鉄の爪が私を指差す。

「キ......キ......」

 兜の中から聞こえてくる声。金属に反響して、まるで機械音のようにも聞こえた。

「......?」

 私は首を傾げる。その声は明らかに人間のもので、なにか怒鳴っているように聞こえたからだ。

「キ......貴殿の名は!」

 老人のようなしわがれた声。名乗りを求めているらしい。

「よかろう。われこそは、レオール=クロンカイト!オストリーバ王国の産にて副国王に君臨しオストリーバの騎士団長をつとめ、受けた叙勲は数知れず......」

「聞いたことがない」

 私の話を遮って気のない返事を返す鎧。

「いずれにせよ貴族ということか。よろしい。お前は私の捕虜だ」

「わたしも貴族よ!」

 後ろから甲高い声が響き渡る。後ろを振り向くと、少女がひとり立っていた。それは女伯を自称するベアトリクス。フィリーネが必死に止めようとしていたが、それを振り切って名乗りを上げた。

「ほう、貴族が二人も。これはしばらく遊んで暮らせるな」

 そういいながら剣を抜く鎧。

 良くは分からないが、どうやら的であることは間違いないようだ。

 私は剣を構え直す。

 ガシャンガシャンと、重い音を立てて近づく鎧。重々しいその音はまるでゴーレムのようにも感じられる。

 ようやく、歯ごたえのある敵と出会えたか――私はゆっくりと詠唱を重ねながら、必殺の一撃を剣先に込めようと――した次の瞬間。

 大きな金属音。

 地面には大きな山がそびえ立つ。銀色の、それは先程の鎧。頭の先をこちらの方に向け倒れ込んだ騎士の姿。

「こ......ろん......だ......?」

 腰を抜かしたままのヴィンツェン司祭が地面を指さしながら、そうつぶやく。地面には大きなくぼみが空いていた。そこに足を取られたらしく、右の足の先がめり込んでいた。

「旦那がやられた!」

 それまで我々を遠巻きにしていた野盗たちが、大声を上げて散り散りに逃げていく。

「お......おい」

 眼の前で起きたことに、なんと言ったらいいか言葉を失う。

 眼の前の鎧は微妙に震えているように見えた。

「さすが!クロンカイトの剣の腕前よ!」

 後ろでベアトリクス嬢が声高らかに私を褒め上げる。いや、何もしていないのだが。

 剣をとりあえずおさめる私。

 つかつかとその鎧に近寄り、そっとその兜に手をかける。

 面の部分をそっと上に上げると、そこから白い毛が姿をあらわした。そして、老人の顔が――

 

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