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鎧の騎士

 森に響き渡る悲鳴。

 私は瞬時に身を起こし、剣を握る。

 フィリーネにはベアトリクスと一緒にいるようにと告げ、走り出す。

 そして目の前には、腰を抜かして地面に這いつくばるヴェンツェン司祭の姿があった。

 その前には――男たちが手に武器を持って、そのヴィンツェン司祭を見下ろしている。

 私の存在に一人が気づく。剣を構え私に突進してくる――が、慌てることはない。

 指で軽く十字を切る。詠唱なしの、防御領域展開。『風』の密度を上げ、目の前に空気の壁を作る。そうとは知らずに無謀に突っ込んでくる男。古びた短剣を両手に。

「......?!」

 その剣先は空中に釘付けになる。すっと右手下ろす。短剣に絡んだ『風』に巻き込まれ、地面に男が叩きつけられる。

 この程度か。

 剣を抜く必要もなさそうだ。

 よくよく見ると、男たちは極めて貧相ななりをしている。食い詰めた盗賊といったところだろうか。この世界に来てから、こう、なんと言ったら良いか......まともな敵と戦ってみたいと思うことがある。

「お前らごときに敵う相手ではないぞ!この方は、レオール様は悪魔の力を持っておるのだ!!」

 腰を抜かしたまま、ヴェンツェン司祭が男たちを指さしてそう叫ぶ。ビクッと反応する男たち。まあ、司祭の身なりでそんなことを言われたら、それは怖がるだろう。

 どうやら我々を襲う目的のようだったが、相手の戦う気も失せたらしい。

 右手でひらひらと『散れ』と促す。これ以上の茶番はもうたくさんだ。

 その次の瞬間、男たちの列を割って登場する人影。

 上半身は銀色に光る鎧に身を固め、下半身には膝からつま先まで伸びる長いこれまた鉄の鎧。手にはなにやら長い槍を構えている。

 男たちが頭を下げながら、後ろに下がる。

 あとは頼んだ、というところだろうか。

 野盗に雇われた騎士崩れか。

 ゆっくりとこちらに歩みを進めてくる鉄の塊。鎧がきしむ金属音が、あたりに響き渡る。

 再び剣の柄に手をかける。

 どうやらこちらが、本命らしい。後ろの盗賊たちがなにやらはやしたてる。『騎士様!騎士様!』『やってくだせぇ!』などと。

 私の上着の裾を引っ張るヴィンツェン司祭。

「一つ、懲らしめてやりましょうか」

 どうも主語が怪しい聖職者だ。まあ、相手がわかりやすい悪党である以上容赦はいらないようだが。

 防御の術式を解除する。相手が騎士ということであれば、剣で立ち会うのが礼儀というものだろう。

 ゆっくりと迫る騎士。

 戦闘になるギリギリの間合いで、彼は抜刀する――

 

 

 

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