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中世都市への到着

 魔物もエルフも出てこない、退屈な旅であった。ただ、細い道を西へと向かうレオールたち。

「村が見えるぞ、宿屋に泊まろうではないか」

 私の提案にヴィンツェン司祭は首を振る。

「そんな便利なものはありませんぞ」

 にべもないヴィンツェン司祭の答え。

 はじめは不審がったが、ヴィンツェン司祭の説明を聞いて腑に落ちる。

 農村は基本、独立した世界でよそ者を一切寄せ付けない。旅人が休んだり酒を飲んだりすることは許されない、ということであった。

「そもそも、他の荘園に我々が立ち入るとそれだけで問題になりますからな」

 そういうものなのか、とレオールは納得する。

 どうも前にいた異世界とは色々勝手が違うらしい。

 まあ、魔物が出てこないのは楽で良いが。

「そういえば、我々が荘園を出るとき大丈夫だったのか?」

「というのは?」

「いや、そこまで閉鎖的な世界で自由に移動ができるとも思えないのだが」

 ああ、とヴィンツェン司祭はほくそ笑む。

「領主のテオバルトさまには内密に了承を取りましたよ。『教皇庁からの密命により、レオール様と私そしてフィリーネが荘園を出る許可をいただきたい』とね」

 どうも後ろ暗い御仁だ。まあ、そんなことだとは思っていたが。

「しかし、これからどうすのだ?私を教皇庁の騎士とか吹いていたようだが。どのようにつじつまをあわせるのだ」

「それは、ご心配なく。私に策がございます」

 策ときたか。悪いことをやっている自覚があるのだな。

 一方、後ろに座っているフィリーネは楽しそうに路傍の景色を眺めている。

 ここまで来たらしょうがない。後は天に運を任せるしかあるまい。いざとなれば術式もあるし、大剣もある。なんとかなるだろう――

そんなことを思いつつ、その旅は三日間続いた――そしてたどり着く。この世界で初めて見た『都市』へと――


「これが『都市』か」

 私は馬から降りて、足元に気をつけつつ歩みを進める。あちこちに家畜の姿が見える。当然路地はその家畜の糞に溢れていた。

「『都市』というものは、こうもっとな賑やかで華やかで......」

 私は前の異世界の城壁都市クルツベルクを思い出す。

 壮大な城壁。鉄製の大門。その中の街並みは石畳で統一され、市場には商人たちがひしめき、賑やかな街並みは夜になっても灯の光がたえることが――

 ぶう、と豚の鳴き声で私は現実に引き戻される。

「都市は自由な街でしてな。私達のような旅人も受け入れてくれる」

 おお、それは素晴らしい。ようやく宿屋に泊まることができるのか。

「その前に行くところがあります。我らの野望を達成するために必要な、ある人に会うために」

 いつのまにか『我らの野望』になっている。

「人に会う――ということはギルドにでも行くのか。冒険者ギルドか?」

 ヴィンツェン司祭はキョトンとした表情を浮かべる。

「ギルド――いや、商人や職人ではございません」

 この世界でギルドというのは商人や職人の互助組織らしい。何かしらの職業につくものは、そのギルドに属して職業訓練を受けるらしい。魔物を倒す冒険者ギルドや旅の酒場がない――なんとも面白くない世界である。

 そして、我々はたどり着く。ヴィンツェン司祭が目的としていた人物のもとに――

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