美しい石には悲鳴がある
前回のあらすじ
魔術師の魂は298円で売ってあるようだ・・・・・・
※今回は短いです。
Twitterにアイン、レイ、クロエのビジュアルを投稿しました。
見てね
ヤーゴの手下達との乱闘を終え賭け金を取り戻したアインとレイは酒場から逃げていったヤーゴを追うべく酒場の前で待っていたクロエに跨り使い魔がふわふわと浮かびながら指し示す方向へ駆けていく。
使い魔が示す先はこの町トーロンドが繫栄した鉱山の方向であり、どうやらヤーゴはその鉱山に逃げたようだ。
「で、結局あの酒場での騒ぎもあのヤーゴとかいうおっさんを捕まえるための潜入捜査ってことだったのか?」
「そうよー、アンタが先日修行の疲れで伸びてる時にヨアカリから依頼されてね」
ヨアカリ。
それはこの国、エルドラドの秩序を守る目的でで結成された国家組織であり公安のようなもの。
主に一般的なギルドや魔術師には依頼されない特殊な任務や事件などに管理、対処している。
だが、彼らにも手に負えないものもある。
そういったときは確かな実力を持つが無所属の二つ名持ち魔術師に依頼する。
「ま、わざわざ重い腰を上げてこんな国境の辺鄙な小さい町まで来たくなかったんだよ。あの税金泥棒共は」
レイはため息をこぼし国家への愚痴をこぼす。
しかし、仮に彼女の言うように面倒だったとしても二つ名持ち魔術師に依頼するってことは彼らの手に負えないレベルの任務だということでもある。
「さっき酒場で人身売買と違法薬物がどうのこうの言ってたけどそういうのもレイみたいな二つ名持ちに依頼されるものなん?」
「んなわけあるか、それこそ公安の下っ端でも送り込めば良いよ。実際中級クラスの魔術師部隊を送ったらしいし」
「え、そうなの?」
彼女は頷くがそれは下っ端を送ったにも関わらず解決してないということになる。
アインは首を傾げる。
「何があったんだ?」
「その送られた部隊が一昨日この町に到着して昨日、連絡が途絶えたんだって」
緊張感のない声でさらっと述べられた衝撃の事実にアインは息をのむ。
一昨日到着したヨアカリの部隊は着いてから一時間ごとに連絡をしていたが日をまたいでから数時間後一切の連絡が途絶えたというのだ。
これに対しヨアカリ本部はヨアカリに所属する二つ名持ち魔術師を送りたいが”残念ながら”手が空いている魔術師がいないということなので国境を越えていこうとしていたレイが町の近くにいたため対処を依頼してきたのが今回の任務の経緯である。
「でもヨアカリの魔術師部隊が昨日消えたってわりには町の方は……その雰囲気は最悪だったけど怯えてたりしてる人いなかったと思うんだけど」
「そりゃああの町はヤーゴに施しを受けてるやつらばっかだからねぇ。わざわざ自分がもらえる施しマイナスになるようなことを言ったりするやつはいないでしょ」
アインがトーロンドに入って町の人々に良いように見られなかったのは単純によそ者だったためであり、そんな調子なら恐らく何も知らずにあそこを滞在の拠点にしたらきっと無事ではいられなかっただろう。
ゾッとするがふと入り口にいた老人を思い出した。
(あのじいちゃんは良い人だったんだな)
ほっと温かいもの感じたアインは心の中でお礼を言った。
******
目的地である鉱山の入り口が肉眼でも確認できる距離まできた。大人と子供の体重に彼らが持っている荷物を含めるとかなりの重量の筈だがクロエの足は遅くなることはなくドドドと凄まじい足を音を立てながら軽々と素早く山を駆け目的地である鉱山の入り口らしき場所に着いた。
「レイ、あそこ入り口じゃね?」
「そうみたいね、使い魔もあっち行ってるしヤーゴは中にいるっぽいわ」
そう言いながら二人はクロエから降り鉱山の入り口付近を観察する。
鉱山入口には採掘するための道具や採掘された鉱石を保管する場所と思われるものがある。
そしてその保管場所には金色の石がゴロゴロとあり太陽光が跳ね返ってキラキラと輝いている。
「うひょー!金目のもんだぜー!」
金色の石を見るや否や飛びつくレイ。
アインも駆け寄り一つ手に取るが手に取った途端視界が揺らいだ。
ー助けて、助けて、助けて、助けて、助けて、助けてー
男か女か分からない声だった。
助けてという声がアインに聞こえたかと思うとその声は彼の頭の中で反響している。
アインは耐えられずふらつき金色の石を手から落とし、その場で胃袋の中の物を吐いた。
すると頭の中で聞こえていた声は聞こえなくなり視界も元に戻った。
そんな彼を見てレイが「おいおいどしたどした」と言いながら手に持っていた金色の石をその場に放って彼のもとに行き背中をさする。
「うえっ、ごほっ!なんかその石持った途端に気分悪くなってよぉ、頭の中で助けてって声が聞こえて何だよコレ?」
「声?」
そう訴えるアインの話を聞いてからレイはアインが落とした金色の石を手に取るがどうやら彼女にそんな異常は起きてないようだ。
「レイは何ともないのか?」
「んーそうね、別に……」
そう言ってからレイは金色の石を投げ捨てる。
「アイン、アンタって心は綺麗な方?」
「え?分かんねーよ、別に綺麗ではないと思うけど」
アインの頭は?マークが飛び交っていったがそんな彼を見てレイは笑みを浮かべた。
「なるほどねぇ」
「何か分かったんなら教えてくれよ」
怪訝そうな顔をするアインを見てレイは手を差し出し立ち上がらせる。
「んー確証はないから言わない。それにここでドヤ顔で推理を述べても外れてた時に恥かきたくねーもん」
アインは不満そうに頬を膨らませるがその頬をレイにつんつんとつかれてから笑われてしまう。
「ま、すぐに真相は分かると思うよ」
そう言いながらレイは鉱山の入り口を見る。
そこは陽の光が入り口付近までにしか届入れおらず真っ暗な闇があるかのようだった。
嫌な予感がしつつも行くしかないと思いアインは自分の頬をパンパンと叩き気合を入れ3人は鉱山の中へ向かった。
Twitterにアイン、レイ、クロエのビジュアルを投稿しました。
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