生徒会
ところでロナルド様はカルアスフィア学園で生徒会長をしておりました。
ええ、生徒会長なのです。
生徒会長は前生徒会長からの指名によって決まります。そして副会長は生徒会長からの指名です。前生徒会長は「第一王子だし」という理由で恐らく指名されたのでしょう。
そしてそんなロナルド様をお支えするのは副会長であるレイル様。ええ、宰相子息でもあるレイル様は、将来的に王となるロナルド様をお支えする立場として副会長をなさっています。
レイル様は大変優秀ですので、前生徒会長の指名はある意味間違っていなかったのです。ロナルド様が生徒会長になれば副会長はレイル様になりますから。
そしてレイル様は私と同じ学年です。ロナルド様がご卒業されても学園に残るレイル様は、次期生徒会長となります。
そして私は、元とはいえ王太子の婚約者という立場で様々な事を学んでいた事もあり、レイル様に次の副会長に任命されました。
「婚約破棄おめでとう、シルヴィア」
レイル様は少しだけ、お父様に似ています。主に誤解されやすい所とか。
お父様と同じで他人から冷酷に見えてしまうようで、普通に微笑んだだけで「絶対零度の死の微笑み」等と言われるので人の前で笑う事はほとんど無くなりました。
けれどそんなレイル様、本当に誤解されやすいだけなのです。だってレイル様は…。
「ええ、本当に。もうあんな風にベタに婚約破棄しちゃう辺りが大変お馬鹿さんで愛らしくて堪らないです…!」
「それには俺も同意しよう。昔から殿下は後先考えずに行動するが、そこがまた純粋で素直で可愛い…ッ!俺が居ない今、殿下はどうしてるのか気になって仕方ない…!」
「そうですよねだってロナルド様ったらいつ何をするにもレイル様にお聞きになられてたもの!」
「ああもう本来ならあんなのが国の主になったら大変なんだがそれを俺が支えると思ったらもう…!堪らない…」
レイル様は、ロナルド様に若干歪んだ愛情を持っているのでした。
私が「馬鹿な子ほど可愛い」に対して、「あんな馬鹿は自分が支えてあげないと生きていけない」と手綱を握る方なのです。
正直、王太子がこれでいいのか疑問ではありますが、この国は下の者たちが優秀ですから、きっと何とかなるでしょう。驚く事に、過去にもこういった「おバカな王様でも国って成り立つんだな」といった事例は我が国に多数あるのです。謀反等が無い辺り、恐らく昔の家臣の方々も「馬鹿な子ほど可愛い」だったのかもしれませんね。
「そういえばシルヴィア、君は今後どうするんだ?一応王族に婚約破棄された令嬢となるが…」
レイル様のまるで天気の話をするかのようなトーンに私も全く同じトーンで返す。
「まあ、馬鹿でも成り立つ国ですよ?王族に婚約破棄されたって生きてはいけます。私ですし」
「それもそうか」
その後は二人で「ハハハハハ!」と一頻り笑い合い、お互いに無言で生徒会の仕事をこなしました。
ロナルド様たちの話で笑った後は真面目に生徒会業務をこなすのが学園での日課です。