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殿下と私と王妃様



事の始まりは9年前、私が8歳の時にロナルド様の婚約者へと内定した事からだった。


「見れる程度には美人じゃないか。まあ、隣に並んでも良いんじゃないか?好みじゃないが俺の婚約者になる事を許そう」


初めてお会いしたロナルド様は大変傲慢。筆頭貴族であるアルバート公爵家の令嬢に向かってそれなのです。周囲の人々が慌てる程度には困ったちゃんでした。

そう、困ったちゃんだったのです。

そして私の方が何かを出来る事を激しく嫌います。


「俺より目立つな!」


目立ちたがり屋で困ったちゃん、そしてナルシストの気もある。

綺麗な毛並みの馬に近寄ったら馬糞が落ちていて踏んでしまった。恐らく普通の貴族子女でしたらそう考え、「外見ばかりのハリボテ王子」とか言って遠巻きに眺めるだけでしょう。余程の貪欲な女性でない限り、近付いてどうこうなんて考えません。

ですが私はそんなロナルド様を支えるべく、王妃様の元で王妃教育を受けていました。

そんなある日、王妃様からそのままお茶へと誘われました。王妃様とのお茶会は初めての事でした。

そこで「シルヴィア、大丈夫ですか…?」と恐る恐る聞いてくださった王妃様に、私はとんでもない事を言ってしまったのです。


「大丈夫です。馬鹿な子ほど可愛いと言いますでしょう?」


あ、つい本音が。

死刑、爵位剥奪、国外追放…。極刑を覚悟した次の瞬間王妃様は嬉しそうに微笑んでいて。


「そうなんです馬鹿な子ほど可愛いの!分かってくれるのね!?」


王妃様は、私と同じ心境だったそうです。


「ロナルド様はお馬鹿な上に矜恃も高いのですが、そこがまた可愛らしいのです!私の方が出来ると顔を真っ赤にしてお拗ねになる!可愛いです!」

「そう、そうなのよ!とても簡単な事でも褒めると調子に乗って挙句の果てに失敗するのだけどその時の言い訳も可愛いの!」


馬鹿な子ほど可愛い。

私がロナルド様に抱いた印象は、残念な事にそれでした。


お馬鹿さんなんです、ええ。

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