釘の森
掲載日:2021/11/01
真っ暗なはずだったこの世界にかかるネオンは強く光り続けていたが夜の続くこの土地では丁度いい光源だった。
正方形の集合体がどこまでも高く、低く、広く、それも不規則に立ち並び、蛍光色で存在をこちらに向けていた。
もともと谷だったこの土地も長年続く地殻変動で遥か地底まで動いていたが、それでも谷風というのはキューブの建物群を撫でていた。
いつしか苔の生える時まで、ここを撫で続けるのだろうか。
そんな、どうでもいいことを考えていると背後から声がかけられた。
「やっぱりここに居たのか。早く来いよ。アレが来たぜ」
まだ幼さを残した少年の声は私のフードめがけて飛んできた。
「うん、今行く。先にみんなのところまで行っておいて」
そう伝えると彼は持ち場に戻った。
私は服の襟を引っ張り、口元を隠すと少年の跡を辿る。その先にを見る私の目はここの闇よりも黒く染まっていた。




