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最後の1ピース  作者: 四月いつか
第1章 父の告白
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父からの連絡

『もしもし、父さん?』


『律か?戻ってるのか?』


『あぁ、今は部屋だよ。体調はどお?』


「体調はどお?」・・・とても愚問に思えた。

ガンに冒されている人間に対して掛ける言葉なのか・・・でも僕にはこの時他に掛ける言葉が見つからなかった。

そんな僕の気持ちとは裏腹に父は淡々と話しを続けた。


『体調は落ち着いているよ、本当に入院が必要なのか?って感じだ』


思春期と言われる年齢になる頃から、父とはあまり会話をしなくなっていた。

母の様な目に見える形での露骨な感情表現はなかったものの、父もやはり僕を愛してくれていた。

僕達はどこにでもいる、思春期の息子と父親だった。


『俺の病名は聞いたか?』


僕は言葉に詰まった。

何て返事をして良いのかわからなかった。

スマホを持ったまま窓の外に視線を移した。

夏の空の青さが際立っていた。


『母さんと美樹には律ももう大人なんだから事実をありのまま伝えてくれと頼んでおいたんだが』


『聞いたよ、聞いた。二人はちゃんと伝えてくれたよ』


『そうか・・・律、近いうちにお前独りで病室に来れるか?』


「姉さんと母さんと一緒じゃダメなの?」という言葉が心をよぎったが、言葉には出さなかった。

父は僕だけに何かを伝えたいんだ。


『わかったよ、明日10時に病室に行く』


『すまない、頼む』


電話は切れた。あっけなく。


「すまない」なんて言うなよ、父さん・・・何が「すまない」なんだよ。

声の調子から読み取れる父の感情は何かとてもホッとした様な感じだった。


明日父から何かを聞かされるはずだ。

父が母と姉に聞かれたくない何かを。


姉が階下から僕を呼んでいる。

夕飯の準備が出来たらしい。

僕は階段を降りて行った。


そうだ、母さんとたくさん話をしなくちゃ・・・




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