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最後の1ピース  作者: 四月いつか
第1章 父の告白
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病室

『そうか・・・』


父は視線を戻さなかった。


『最初に電話した時は会って貰えるとは思ってなかったんだ。はっきりとした理由はないんだけど・・・何となくね』


『俺もだ。お前にメモを渡した後に少し後悔したよ』


『でも麗子さんは会ってくれた。歓迎してくれたよ。家に招待してくれて食事まで作ってくれたんだ。それで・・・父さんの病状を話したよ』


『とても心配してくれた。お見舞いの言葉を貰ったよ。「必ず良くなるから側についていてあげて」って言われた』


『ただ・・・父さんには会えないと言われたよ。父さんとの事は終わった事だと・・・そう言われた。実は二回会いに行ったんだ。でも二回とも会えないと言われた。力になれなくてすまない』


『いいんだ。謝らなきゃいけないのは俺のほうだ。律、面倒な事を頼んですまなかった』


『「面倒な事」なんて言うなよ・・・面倒でもなんでもないんだから。俺に出来る事なら何でもする。だから、どんな事で言ってくれよ。わがまま言えばいいんだから・・・』


『それと娘さんにも会ったよ』


『ルカ・・・か?』


父はようやく視線を僕の方に戻した。


『あぁ、ルカさんだ。とても・・・とても綺麗な人だ。ルカさんは父さんの病気の事を知ってたよ。麗子さんから聞かされたみたいだ。とても心配してくれているよ』


『父さん、ルカさんは父さんに会いたいそうだ』


『ルカは・・・俺に会ってくれるのか?でも麗子が・・・麗子がそれを許さないだろう?』


『麗子さんの許可ももらってある。母さんと姉さんと鉢合わせしない様に配慮する、俺が同行する、その2つが条件だ。それで父さんはルカさんに会える。俺が連れて来るよ』


父はうつむきながら少しだけ微笑んだ。

そしてまた視線を窓の外に移した。


『律、父さんを軽蔑するだろう?家族全員を裏切っていたんだ。何十年と。この病気にかからなければお前達には話さないつもりだった。墓場まで持っていかなきゃならない事だと思っていた。それが自分の寿命が残りわずかだとわかったら・・・この有り様だ。自分でも情けないよ』


『自分の事をもう少し強い人間だと思っていた。自分が嫌になる』


『人間って少し体調を崩しただけでも弱気になるものだよ。ましてや父さんは・・・癌だ。麗子さんやルカさんに会いたくなるのは当然だと思う』


『父さんも同じ気持ちだと思うけど母さんには絶対に知られたくないんだ。母さんはよくここに来るの?』


『あぁ、1日おきくらいに顔を出してくれる。週に2~3回といったところだ』


『わかった。鉢合わせしない様に俺がうまく連れてくるよ』


『すまない、律。お前には本当に感謝している。ルカはお前の妹だ。力になってやってくれ』


父の目には少し涙が浮かんでいる様に見えた。

この後しばらくして僕は病室を出た。


なぜみんな僕に同じ事を言うんだ。

その事は僕が1番よくわかってる。



『ルカはお前の妹だ』



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― 新着の感想 ―
[一言] 誤 思い出しました。 「男の恋は思い出保存、女の恋は上書き保存」だったかな?
[良い点] 更新、ありがとうございます! とーちゃん、自分の罪は分かっていたのね。律君に感想しなよ〜 男の恋はそのまま保存、女の恋は上書き保存。だっけ? なにかそんな言葉を思い出しました。 [気になる…
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