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最後の1ピース  作者: 四月いつか
第1章 父の告白
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地下鉄「N大学前」

特に予定の無い夏休みは淡々と過ぎていった。

土日祝以外はほぼ毎日バイトに行っていた。

時間帯は17時から22時で時給は1,000円。

月10万円程になったので、実家からの仕送りは家賃、光熱費だけを振り込んで貰い、後の生活費は自分で賄う事が出来た。


大学の学食は夏休みの間も営業していた。

国立大学という事もあり値段はとても安く、定食類は300円、単品の麺類に至っては150円で食べれた。

僕は平日の昼食は毎日学食に通った。

自炊のほうが安く済むかもしれないが、栄養が偏ってしまう様な気がした。

学食の定食類はキチンと栄養のバランスが考えられておりカロリー計算もされていた。


この日も学食に行く為に部屋を出た。

ヘルメットを被り、原付のエンジンをかけたところでスマホが鳴った。

一旦エンジンを切り、ポケットからスマホを出してディスプレイを見た。

僕のスマホに電話の着信があるなんて凄く珍しい事なのだ。


電話はルカからだった。


『もしもし』


スマホから聞こえてくる声はとても不安げでこちらの様子を伺ってる様な感じだった。

ルカからの電話に対して、僕は自分でもビックリするぐらいどぎまぎしてしまった。


『こんにちは』


『何が「こんにちは」よ・・・どうして電話してくれないの?』


言葉に詰まってしまった。

どうして?・・・

僕の今までの人間関係はほぼ「受け身」で成り立っていた。

対人関係において、自分の方から積極的にコミュニケーションを取りに行くという事はほとんどなかった。

またそういう自分の性格に関して、「嫌悪感」というものを抱いた事もあまりなかった。


ただ今回は違った。

こちらから連絡出来なかった自分を不甲斐なく思った。

そして、ルカから連絡が来ない事をとても寂しく思っていたくせにこちらから連絡しなかった自分をとても卑怯だとも思った。


『ごめん、話したいとは思ってたんだ。でも迷惑なんじゃないかと思って・・・』


『ホントに私と話したいと思ってた?』


『とても話したいと思ってた』


『じゃあ、会いに行く。大学って行った事ないから案内して欲しいの。大学で待ち合わせ出来る?』


『ちょうど今からお昼ご飯を食べに大学の学食に向かうところだったんだ。どうやって来る?』


『地下鉄で行く。何番出口上がればいい?』


『2番出口上がって。出たところで待ってるよ。駅から大学まではすぐだから歩いて行こう』


「わかった」そう言うと電話はすぐに切れた。

僕は再び原付のエンジンをかけた。


ルカに会うために。


『地下鉄「N大学前」2番出口』


僕は何度も声に出して繰り返した。









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― 新着の感想 ―
[良い点] ルカちゃんはお兄ちゃんと話しをしたいのかな? 自分に兄がいる事を受け入れている感じで、積極的に交流を持ちたいように思えます。 会話のテンポは相変わらず良い、お兄ちゃん頑張れ〜 [気になる点…
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