第87話 巨乳好きの男
「あれ?この上着、オッパイを包み込むようになってる」
「ホントだ!これじゃ、乳当てはいらないわね」
「そうね。・・・・・きっつい!ちょっと小さいかも!」
「そうなの?・・・・あれ?私のはブカブカよ・・・」
「・・・・・逆じゃないの!?」
二人は同時に言った。
そしてすぐに、お互いの上着を交換した。
「あ、ぴったり!」
「私のも!スゴいわね」
「それと、肌触りがスゴく気持ちいい!」
「ホントね~。ずっと着ていたいぐらいだわ」
「これが貴族のおもてなしってことなのかな」
「そうなんでしょうね。つくづくトキオがうらやましいわ」
「ホントホント」
二人が廊下に出ると、メアリーが立っていた。
「お食事のご用意ができております」
「え?ああ、そうか。そう言えばお腹空いたな」
「私もよ」
そこで男たちも出て来た。
「結構長かったわね・・・て、なんかみんな顔が真っ赤だよ」
「え?・・・ああ、ちょっと湯に長くつかりすぎたかな」
「そ、そうだな」
「ちょっと挙動不審ねえ。何か企んでるでしょ」
クロアが言った。
「そんなわけないだろ。普通に風呂に入ってただけだよ」
「まあいいわ。お腹空いたから早く行きましょ。夕飯ができたってよ」
「あ、そう。メアリー、いつもすまないね」
トキオにそう言われたメアリーは、無言でお辞儀した。
「じゃあ、行こうか」
皆はトキオに従って歩き始めた。
クロアだけ後ろを振り返ったが、そこにはもうメアリーの姿はなかった。
「あのメイドさんが先導してくれるのかと思ったら違うのね」
クロアはトキオに追いつくと言った。
「彼女は風呂の掃除だよ。今日は2か所だから結構大変なんじゃないかな」
「あ、そうか!掃除も自分でしなくっていいんだ!」
「うん。それもみんながやってくれるから」
「うらやまし過ぎるぞ!」
また、みんなに言われた。
食事の間に入ると、皆はまた驚いて立ち止まった。
「なんなのこの部屋の広さとテーブルの大きさは!20人ぐらい座れそうじゃない!」
クロアが言った。
「お客さんが来た時もここで食べるから、そのためみたいだよ」
「あんたにお客さんなんか来るの?」
「俺には来ないけど、前に住んでた人は貴族だからたくさん来たんじゃないの?」
「なんだ、そういうことね」
皆が席に着こうとすると、セバスチャンとジェーンが素早く動いて皆の椅子を引いてくれた。
「うわ!こんなことまでしてくれるのか!」
皆は、また驚いた顔になった。
食事が出てからはさらに驚きの連続になって、興奮したうえに饒舌になって食べていった。
「こんな料理あるんだ!」
「見た目がキレイ!」
「うわ!おいしー!こんなおいしい料理初めて食べたかも!」
「酒もうまいな!」
「えー!?まだ出てくるのか!」
「これって食材は何だろう?」
「デザートもおいしー!」
トキオは、その様子を楽しそうに眺めながら食べていた。
「はー、おいしかった!」
「なんか、10年分のご馳走を食べた気分だな!」
「ホントだよね!」
「王都でも、これだけの料理はなかなか食べられないわよ」
「みんな満足してくれたみたいで良かったよ」
トキオが言った。
「お前、毎日こんなにおいしいものを食べてるのか?」
「まあ、そうだね」
「うらやまし過ぎるぞ!」
また、言われた。
「なんか、お腹がいっぱいになったら眠くなって来たな」
「俺もだよ。長旅だったしな」
「私も今日は早く寝るわ」
「あたしもー」
そう言うと、皆立ち上がって部屋の外に向かった。
トキオは、一番後ろを歩いていたアウレラの袖を掴んで引き留めると、耳元でそっと囁いた。
「あとで俺の部屋に来ない?」
「・・・うん」
アウレラは、それだけ返事をすると、皆に遅れないように出て行った。
トキオが部屋に戻って30分ほどすると、部屋をノックする者があった。
ドアまで行って開けると、予想通りアウレラだった。
「来ちゃった」
アウレラは舌を出しながら言った。
「元気そうで良かったよ。果実酒があるけど飲む?」
トキオは、ソファの自分の隣にアウレラを座らせながら聞いた。
「飲む飲む~」
アウレラは嬉しそうに言った。
「何か変わったことあった?」
「うーん、アティムは特にないかな。アルアビスの西にゴブリンが出たんだけど、王国軍が冒険者と共闘して簡単にやっつけちゃったから、アティムには応援要請もなかったよ。ライフル銃と拳銃のおかげらしいよ」
「そうか~。銃がどんどん役に立ってていい感じだなあ」
「私らもそうだね。トキオが来る前の3人に戻ったけど、その時より全然簡単に討伐できるようになったもん。随分腕も上がったんだよ。特にブロームはすごいよ」
「ちゃんと射撃訓練はしてるみたいだね」
「グリベラーが楽に倒せるようになって、弾代の心配をしなくて済むようになったからね」
「そうか~。でも、拳銃に頼りすぎると戦いの勘が鈍る気もするからほどほどにね。刀の訓練もしてる?」
「してるよ。子供たちに教えるのもいい訓練になってるよ」
「そうか~。また、皆の顔が見たいなあ」
「そんな、もう戻って来ないみたいな言い方やめてよ」
「ああ、ごめん。そんなつもりで言ったんじゃないんだけど」
「でも、こんな豪邸に住んで、毎日、大きなお風呂に入っておいしいもの食べてたら、戻りたくなくなるんじゃないの?」
「まあ、そこは魅力だけどな~」
そう言ってトキオは笑った。
だが、アウレラはニコリともせずにトキオに抱きついた。
「そんなのイヤだよ。寂しかったんだからね」
そう言うと、トキオにキスをしてきた。
トキオもアウレラを抱きしめるとそのままキスをしていたが、しばくらくして体を離すと立ち上がってアウレラを抱きかかえた。
「キヤッ!」
「これ、お姫様抱っこって言うんだよ。知ってた?」
「そうなの?初めて聞いたよ」
「一度やってみたかったんだよね」
トキオはそう言うと、そのまま移動してベットの上に放り投げた。
「キャッ!もう、なにすんのよ!」
「これも一度やってみたかったんだよ。ベッドがふかふかだから痛くなかったでしょ?」
「ホントだ~。このベッドスゴいふかふか~。こんなのに寝たの初めてかも~」
トキオは、そのままベッドに上がると、アウレラを寝かせたままむこう向きにして両脇から手を入れて胸を揉んだ。
「いきなりオッパイ揉んじゃうんだ。まあ、トキオは大きなオッパイ大好きだもんね」
「え?なぜそれを知ってるんだよ!」
「ぷっ!自分で認めちゃってるじゃない」
「あ!しまった!」
トキオは焦ったが、それでも胸は揉み続けた。
「だって、いつもあたしのオッパイ見てたし、あたし以外のオッパイ大きい人が近くに来ると、必ず顔より先にオッパイ見てたでしょ」
「え!?気づいてたの?」
「あれだけいつも見てたら、誰だって気づくって!」
「そうかあ~。でも、アウレラのオッパイって柔らかくて揉んでてホントに気持ちいいよ」
「バカね!・・・でも、あたしも気持ちいいからいいよ」
アウレラはそう言うと、そのまま揉ませていたが、しばらくすると体を反転させてトキオに抱きつきながらキスをした。
それからはもう、二人に会話はいらなかった。
「トキオ、トレイどこ!?」
トキオはいつの間にか寝ていたが、アウレラの慌てた声で目を覚ました。
「・・・ああ、そのベッドの右にあるドアを入って左側」
「ありがと!」
アウレラはそう言うと、急いでトイレに向かった。
トキオが上半身を起こしてうっすら見える壁時計に目を凝らすと、まだ、6時前だった。
「あー、まだ眠いなあ・・・」
そう言うと、ふたたび横になって目を瞑った。
しかし、アウレラがドアを閉める音で、また目が覚めた。
「あー、なんか結構汗かいちゃってて気持ち悪い」
アウレラが言った。
「そうか・・・俺もだな・・・よし!朝風呂に行こう」
「え?朝もお風呂沸いてるの?」
「そうだよ。俺、毎日じゃないけど入ってるんだよ」
「いいね~。行こう行こう」
「どうせなら男湯に入る?この時間なら朝日が見えてキレイだよ」
「え~?大丈夫かなあ」
「テリットとブロームには朝風呂のことは言ってないから大丈夫だって!」
「あ!そうか!じゃあ、行こう!」
「わあ~、ホントに広いね~」
アウレラは浴室に入ると嬉しそうに言い、駆け込むように湯船に入った。
「お~、手足を完全に伸ばしてもお風呂のふちに届かないよ~。こんな大きなお風呂に入ったの初めて~」
アウレラは、あごまで湯につかると、本当リラックスした感じて浴槽のふちに頭を乗せた。
外は、少し明るくなってきていた。
「ほら、明るくなって来たら王都の街並みが見えるよ」
トキオは、湯につかったまま窓のところに行った。
「ホント?」
アウレラは上半身を起こすと、膝で移動してトキオの隣に来た。
すると、アウレラの胸が湯の上に出たので、トキオは外の景色ではなく、そっちに視線が釘づけになった。
「ホントだ~。いい眺めね~」
アウレラは、そのまま外を見ていたが、しばらくすると外を向いたまま言った。
「あたしのオッパイ見てるでしょ」
「あ!バレた!」
「もう、痛いほど視線が刺さって来るからわかるわよ」
「明るいところで見たの初めてだからね~。キレイだな~と思って見とれちゃった」
「バカね」
アウレラはそう言うとトキオの手を握った。
外は、さらに明るくなってきた。
「そろそろ朝日が見えるよ。こっちに来て」
トキオはそう言うと、アウレラの手を引いて隣の浴槽に移動した。
「ほら、こっち側の窓にくっつくようにして外を見ると、朝日が昇ってくるのがわかるでしょ?」
「ほんとだ~。街並みに朝日が少しずつ広がって行ってキレイ~」
トキオは両足を開いて前に出して、アウレラを背後から抱きかかえるようにして一緒に朝日を見ていたが、そのうち胸を揉み始めた。
アウレラは、クスッと笑ったが、そのままにさせておいた。
「なんか、背中に硬いものが当たってるんだけど」
「うーんと、それは男性の正しい生理現象だから仕方ないかな」
トキオはとぼけてそんなことを言った。
その時、脱衣場から声が聞こえて来た。
「沸いてるかな~」
「絶対沸いてるって」
トキオとアウレラは驚いて顔を見合わせた。
「ヤバい!テリットとブロームだ!・・俺が向こうの窓に引き付けるから、ちょっとそっちの陰に隠れてて!」トキオはそう言うと、あわてて広い方の浴槽に移った。
そこで、脱衣場へのドアが開いた。
「あれ?トキオ・・・って、やっぱりお風呂沸いてるのか?」
「そうだよ、朝も入れるんだよ。ちょっと見せたいものがあるからこっちの窓に来てよ」
「そうか!服を脱いでくるからちょっと待ってろ」
テリットとブロームはすぐに入って来た。
「ほらこっちこっち」
トキオは、そうやって手招きすると、わざとアウレラがいる場所と反対側の外を指した。
「なんだなんだ?」
テリットとブロームが浴槽に入ってその方向を見ながら窓のところまで行ったところで、アウレラは忍び足でドアのところまで行き、そっとドアを開けると閉めずに体にバスタオルだけ巻いて、女風呂の方に素早く移動した。
「あー、危なかった」
アウレラは、バスタオルをかごに入れると、風呂場に入って湯船につかった。
「こっちもちゃんと沸いてるんだー。スゴいなあ」
すると、すぐにクロアが入って来た。
「あれ?先を越されたちゃったわね」
「あ、クロア!おはよう」
「おはよう。あんたも早起きね」
「うーん、いつもと違うベッドだから早く目が覚めちゃった」
「そう。実は私もよ」
クロアはそう言うと、湯につかって窓のところまで移動して来た。
「朝の光だとまた感じが違って、これもいいわね」
「そうだよね。でも、男湯だと向こう側の窓から朝日が見えて、もっとキレイなんだよ」
「へえ、そうなんだ・・・・って、なんであんたそんなこと知ってるのよ」
「え?・・・・・ああ、昨日トキオが男湯からは朝日が見えるって言ってたから、ここに来る前に忍び込んで見て来たのよ」
「そんなのいつ言ってた?」
「夕食を食べてるときよ。聞いてなかった?」
「覚えてないわね。それにしても、あんたも大胆ねえ。誰も入ってなかったの?」
「うん、すぐ出て来たから大丈夫だったよ」
「そう?じゃあ、私も明日見てみようかしらね」
「そうしなよ!ホントにキレイだったよ!」
「わかったわ。期待してるわ」
その頃男湯では、トキオがアウレラがいなくなっているのを確認して、ホッと胸をなでおろしているところだった。




