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異世界マニアのおしかけ召喚者  作者: 伊部九郎
第2章 王都編
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第80話 王都への道

 次の日、クロアが少し早く来て朝食を食べていると、テリット、ブローム、アウレラがクロアのテーブルにやって来た。


「おはよう、クロア」

「ああ、おはよう。何?」

「俺たちもお前の護衛で王都に行くことになったんだよ」

「え?」

「司祭から護衛を用意してくれって依頼があったらしいんだが、トキオの顔を見たいだろうからって支部長が俺たちを指名したのさ」

「あら、そうなの。まあ、退屈しなくていいわね」

「そうだろ?そういうことだからよろしくな」

「まあ、よろしく。私に護衛なんか必要ないけどね」

「そうとも言えないぞ。いきなり大量の魔物が襲ってきたら、いくらスゴい魔法が使えるからって対処できない場合が出てくるからな」

「ああ、そうかもね」

 返事は素っ気なかったが、クロアは少し嬉しそうな顔をしていた。



 そこで馬車がやって来る音がして、司祭が入って来た。

 ケリー支部長も事務室から出てきて、ミレリアも受付から出てきた。

 テリットたちも立ち上がって司祭の方へ行った。


「キミたちが護衛かね。よろしく頼むよ」

 司祭がテリットに向かって言った。


「この者たちはこのギルドでもかなりの腕利きだし、拳銃の腕も一番だから任せて大丈夫だ」

 支部長が司祭に言った。


「そうか。それは頼もしいな」


「じゃあ行こうか」

 テリットがそう言って皆で馬車の方へ歩き出そうしたら、ミレリアがテリットに寄って来て言った。

「トキオさんによろしくお伝えくださいね。私は、いえ、みんな元気だと」

「わかったよ」

 テリットはほほ笑みながら言った。


 そうして、クロアたちを乗せた馬車は王都へ出発して行った。




 1日目、2日目は、景色が珍しかったこともあり、窓から見えるものについてあれこれ話しながら進んでいたが、3日目にもなると皆、退屈してきた。

 そのため、テリット、ブローム、アウレラが交代で見張りをしていたが、残りの人間は寝ていることが多くなった。


「うーん、王都遠いよねえ」

 テリットが見張りをしてる時、寝ていたアウレラが目を覚ますとぼそりと言った。


「まったくだ。5日馬車に揺られるってのもなかなかしんどい作業だな」

「トキオ、元気にしてるかなあ」

「まあ、あいつのあの性格だから、どこに行っても元気でやってるだろう」

「そうねえ・・・あ!ところで、報奨って何を貰ったと思う?」

「ああ、そういえば・・・なんだろな」

「実は、トキオが王都に行く前の日、テリットとブロームが帰ってからトキオに王都に行くって聞いて、その晩は二人で飲んだんだけど、その時に報奨ってなんだろね?って話をしたのよ」

「え?そうなのか?なんだよ、俺たちも呼んでくれれば良かったのに」

「ホントだわ」

 ずっと起きていたクロアが話に入って来た。


「ごめんごめん。まさか、長いこと王都に行ったままになるとは思わなかったからね」

「で、なんだと予想したんだ?」

「骨董品とか、高そうな服とか、宝石のアクセサリーとかね。あ、白馬が引いてるゴテゴテした装飾で飾られた馬車かも?って話も出たよ」

「なによそれ。恥ずかしくって乗れないじゃない」

「そうそう、そういえばそう言って笑ったんだった」

 アウレラは、軽く笑った。


「確かにな。しかし、まあ、そんなとこじゃないかな」

「あんたたち発想が貧困ねえ。もっと王家にふさわしい贈り物があるでしょ?」

「え?なに?」

「武器や防具よ。どこの王家でも、代々伝わっている剣や槍や盾とかってあるでしょ?そういうのじゃないの?」

「あー、言われてみればー」

「それか、領地よね」

「え?武勲のあった将兵みたいに、どっかの土地を与えるってこと?」

「そうよ」

「いや、それはないだろ。そんな柄じゃないし、第一そんなの管理しろって言われたら、あいつなら絶対断ると思うぞ」

「王様からもらった物だと断れないんじゃない?」

「ああ・・・うーん、そうかあ」

「でもまあ、そんなものを与えたら古株の将軍とかが怒りそうだから、きっとないわね」

「そうだな。王様も、先代から軍にいるような自分より年上の人間には気を遣うだろうしな」

「そうよー。ないない」

「でも、クロア、よくそんなこと思いついたな」

「え?・・・私の師匠も王様から報奨を貰ったことある人だから、そんな話を聞いたのよ」

「えー?そんなにスゴい人が師匠だったの?」

 テリットとはアウレラはかなり驚いていた。


「まあね。確かにスゴい人だったわ・・・」

 そこで、クロアは寂しそうな顔になった。


「あ、亡くなったのか・・・悪いこと聞いたな」

「失礼ね!生きてるわよ!まだ、全然お元気よ!」

「あ、そうなのか。でも、80歳って言ってたよな。心配じゃないのか?」

「師匠なら大丈夫よ。それと、独り立ちしたんだから、もっと頑張って力を上げてからじゃないと会えないわ」

「そうか。なんとなくわかるな」


 話がしんみりとしてしまったので、おしゃべりはそこで終わりになった。





 4日目の朝、4人揃って宿を出たところで馭者が走ってやって来た。

「すみません、馬車が故障しまして、修理に数日かかることがわかりました。代わりの馬車を手配しましたのでそちらへ乗り換えていただけますでしょうか」

「あらら、大変だね。了解したよ」

「ただ、王都に向かう商人の方が一人乗ってまして、相席になるんですが・・・」

「向こうがイヤじゃなければ別に構わないよ。みんないいだろ?」

「もちろんだ」

「オッケーよ」

「いいわよ」


「ありがとうございます。先方は大丈夫だとおっしゃってます」

「じゃあ、問題ないよ」



 すぐに、その馬車はやって来た。


「では、私が引き継いで皆さんを王都までお連れします」

 馭者は、馭者席から降りてくると頭を下げながら言った。


「すまないね」


「数日前も、アティムから教団本部の司祭さんと冒険者の方をお一人、王都にお連れしたんですよ」

「え?それってミヒールさんとトキオのことじゃないの?」

 アウレラが言った。


「あ、はい。確か冒険者の方はトキオさんというお名前でした」

「へえ~、面白い偶然ね」

「お知り合いの方なんですね。それでは、トキオさんにお会いになられますか?」

「ああ、会うと思うよ」

 テリットが言った。

「そうですか!金貨を1枚いただいたんですが、ちゃんとお礼を言えなかったので非常に感謝しているとお伝え願えますか」

「金貨を?あいつも太っ腹だなあ」

 そう言って4人は顔を見合わせた。


「わかった。伝えとくよ」

「よろしくお願いします!・・・では、お乗りください」

 馭者は、皆の荷物を受け取ると、手馴れた動作で馬車後部の荷台に乗せた。


 4人が乗り込むと、そこには50代半ばと思われる仕立ての良い服を着た裕福そうな商人が乗っていた。

「すみません。ここまで乗って来た馬車が故障しちゃったんでよろしくお願いします」

「構いませんよ。時々あることですし」

「すみませんね。俺はテリットと言います。彼らは、ブローム、アウレラ、クロアで、アティムから来ました」

「おや、それは遠いところをご苦労様です。私は、サイマンと言って、王都で武器の販売をしております」

「そうなんですね。それじゃあ、王都に着いたら寄らせてもらうかな。王都ならもっと良い武器や防具がありそうなんで、見に行こうと思ってたんですよ」

「ああ、ぜひいらしてください。うちは、王都でもかなり品揃えが豊富な方ですから、きっと気に入るものが見つかると思いますよ」

「そうですか!じゃあ、必ず伺います」

「よろしくお願いします」


「座る場所は・・・そうだな、俺とブロームはかなり体が大きいので、ブロームと女性二人が正面で、俺が隣でいいですかね?その方が、サイマンさんもゆったり座れるでしょう」

「お気遣い恐れ入ります。しかし、こんな美しい女性たちと旅ができるとは、むしろありがたいですね」

 サイマンはにっこりとほほ笑んだ。


「アウレラのことでしょ?私に気を遣わなくていいわよ」

 クロアが真顔で言った。


 サイマンは一瞬面食らった顔をしたが、すぐににこやかな表情に戻った。

「いえいえ、とんでもない。あなたもかなりお美しいですよ」

「お世辞はいらないわよ」


「いや、お前、なかなかの美人だと思うぞ」

 今度はテリットが真顔で言った。


「な、なによ、あんたまで」

 そう言いながらも、クロアは少し赤くなった。


「いや、俺もそう思うよ」

 ブロームも言った。

「かわいいって感じだよね」

 アウレラが言った。


「みんなして何言ってるのよ。やめてよ!」

 クロアはさらに赤くなった。


「それでは出発します」

「あ、お願いします」

 そこで、御者がそう言ってテリットが答えたので、その話はそこで終わりになった。




 しばらく行くと、サイマンがブロームの持っていた弓に目を止めた。


「よく見たら、それはレーベンハルトの弓ですね。良いものをお持ちだ」

「はい。結構値が張りましたけど、高いなりのことはありましたよ。いい買い物をしました」

「しかし、その弓が買えるとは、かなりの稼ぎを上げているとお見受けします。アティムの方にも魔物が大量に出るようになったんでしょうか?」

 サイマンは少し険しい顔になった。


「そうですね。動物型の魔物が徐々に増えてきたせいでグリベラーを時々討伐できてますから、今はうちの街の冒険者たちは結構収入が増えてますよ」

 テリットが答えた。

「グリベラーですか。討伐するのが大変でしょう」

「以前はそうでしたが、今は、この拳銃があるからずいぶん楽になりましたよ」

 テリットは、そう言って、自分の右に座っているサイマンに腰に差した拳銃を突き出しながら手で叩いた。


「拳銃?なんですそれは?」

「おや?王都にはまだ伝わってませんか。俺たちの同僚だった男が考案した武器なんですよ」

「ほお~、そうなんですか。どんな仕掛けになってるんですか?」


 テリットは腰のホルスターから拳銃を抜くと、シリンダを倒して弾丸の一つを取り出した。


「これが弾丸って言うんですけど、これに火薬が入ってまして、その火薬でこの先端の金属を飛ばして目標を撃ち抜くようになってるんですよ」

「そうなんですか!そんなものがあるとは!討伐が楽になったということは、かなり威力が高いんでしょうか」

「そうですね。グリベラーが1発で倒せるようになりましたから」

「え!?グリベラーが1発で!それは驚きです」



「大変です!魔物がこっちへ向かってきます!」

 突然、御者が右前方を指さしながら言った。


「なに!?」


 皆が驚いてそっちを見ると、牛のような魔物が数体、すごいスピードで馬車目がけて突進して来ていた。

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