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異世界マニアのおしかけ召喚者  作者: 伊部九郎
第1章 アティム編
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第6話 憧れの美人巨乳冒険者

 目が覚めると明るくなっていた。

 服を着たままで、毛布も掛けずに寝ていたようだった。

「そうか、寝てて夕飯食べなかったなあ。お腹すいたから朝ご飯、朝ご飯、と。確か、ここで食べられるって言ってたよな」


 トキオが1階に降りてギルド内を見渡すと、テーブルが並んでいるスペースの奥に給仕用と思われるカウンターがあったので、そこへ向かって歩き出そうとした。


「ちょっといい?」

 その途端、後ろから声をかけられたのでトキオが振り返ると、むっちりとした体形の長身の美女が立っていた。

挿絵(By みてみん)


 腰から剣を下げているところを見ると冒険者のようだったが、かなりの巨乳で、しかも、大きく胸元があいてお腹の部分がむき出しになった防具を付けていたので、トキオは無意識に胸元を注視してしまった。


 (うおー!美人冒険者キター!しかも、異世界アニメやゲームによく出てくる露出度の高い巨乳だー!)


「パーフェクツ!」

 トキオは、思わず叫んでいた。

「え!?なに!?」

 美女は驚いて少しあとずさった。

「あ、ごめん。気にしないで」

 と、言いながらも、トキオは、自分の好きだったアニメやゲームの同じようなキャラを思い出しながら、思わず口元が緩んだ。

「ねえ、ちょっと、いやらしい顔してどこ見てんのよ」

「え?・・・と、都会の人はいい防具着てるなあ~と思って」

「はあ?どこの田舎から出てきたのよ」

 その巨乳冒険者は、疑わしそうな目でトキオを見た。

「いやあ、遠い村だからこのへんの人は誰も知らないんじゃないかなあ。トーキョー村ってところだよ」

「トーキョー村?確かに聞いたことないわねえ」

「うん、もう相当に田舎だから」

「ふーん・・・あ、それより、昨日、ミレリアに言ってたことを聞かせて欲しいんだけど」

「ん?昨日言ってたこと?」

「ほら、ウルゴンの頭部には毒がないって話よ」

「ああ、そのことか。ウルゴンだけじゃなく、他の魔物も毒のあるのはいなかったと思うよ」

「他の魔物?あんた、他の魔物の頭部も砕いて触ったりしたの?」

「そうだよ。だって、絶命させるには頭を砕くのが一番確実だからね」

「まあ、確かにそうだけど、毒があるって言われてるのによく平気だったわね」

「ああ、俺の住んでたところに魔物はいなかったから、毒があるって話は昨日初めて聞いたんだよ」

「魔物がいない?ああ、この辺りじゃそこら中にいるけど、確か、かなり東の方に行くとほとんどいないって聞いたことがあるわ。あなた、東の方から来たのね」

「そうそう、ずーっと東の方」

 トキオは、とりあえず話を合わせた。

「ふーん・・・でも、もしかしたら実は毒に侵されてて、まだ、発症してないってことはない?」

「さすがに、一か月も経って体に何の症状も出てこない毒なんてないでしょ。ミレリアも昨日そう言ってたし。それに、触った時に皮膚がただれたり変色したりってこともなかったよ」

「確かにその通りね。しかし、知らなかったとはいえ、怖いことするものね」

「逆に聞きたいんだけど、そうすると、皆、頭部は破壊しないようにして魔物討伐をしてたってこと?」

「そうよ。少なくともこの街にいる人間でそんなことするヤツはいないわ」

「じゃあ、ドロップアイテムはどうやって手に入れてたの?」

「ドロップアイテム?何それ?」

「うーん、この世界じゃドロップアイテムって言わないのかなあ。ほら、魔物の頭部の中にお金とか強化素材が入ってるでしょ?」

「え!?なんのこと!?」

「え!?知らないの!?」

「ちょっとちょっと、詳しく聞かせて!」

「俺も1か月前に初めて魔物を倒して知ったんだけど、魔物の頭部、正確に言うと頭蓋骨の中には、お金と武器や魔法を強化できる素材が入ってるんだよ。お金をゲットすれば、当然、武器や防具を買えるし、素材なら武器や魔法の能力を強化できるよね」

「えーーーーー!?それってすごいことじゃない!知らなかったわ!」

「ホントに知らなかったの?」

「きっと誰も知らないわよ。そんな話聞いたこともないし」

「それはとてももったいないことをしてたねえ」

「ホントにそうよ!みんなに教えてあげなくっちゃ!・・・あ、私はアウレラ。あなたは?」

「俺はトキオだよ」

「トキオね!貴重な情報をありがとう!」


 アウレラは、仲間と思われる冒険者のテーブルに急いで戻って行った。他のテーブルにいた冒険者たちも興味をひかれたらしくそのテーブルに寄って行った。

 アウレラはトキオから聞いた話を説明しているようだったが、その途端に冒険者全員から驚きの声が上がり一斉にトキオを見た。

 それから、その中でもごっつい体格をした3人の男が、トキオ目掛けて走って来た。

 トキオは、びっくりして後ずさろうとしたが、あっという間に目の前に来られた。

「おい、あんた!俺たちはこれから森に魔物討伐に行くところだったんだけど、一緒に来て実際にどうやるか教えてくれるか!」

 3人のうちの一人がそう言った。3人ともとても興奮している様子だった。

「あ、ああ、構わないけど、お腹がすいてるんでその前に朝ご飯を食べさせてもらっていいかな」

「え~?・・・まあ、しょうがないか。空きっ腹で倒れられても困るしな。よし!今日の朝飯は俺がおごるよ!」

「ホント!?助かるなあ」

「その代わり早く食べてくれよ」

「ああ、わかったよ・・・ええと」

「俺は、テリットだ」

「テリットね。俺はトキオだ。よろしく」

「この二人はブロームとフォスだ」

「ああ、よろしく」

 それぞれに握手を交わしてから朝飯の注文をしに食事用のカウンターに行った。

「そういえば、この街の食べ物は昨日初めて食べて、食べたことのないものだったし、どんな料理があるかわからないな」

「そうか。それじゃ、メルコットにしとけよ。ここのメルコットはいけるぞ」

「そう?じゃあ、それでお願い」

 トキオは、カウンターにいた中肉中背で器量も普通のおばさんに注文した。

「あいよ。メルコット一丁!」

 そのおばさんは、後ろにある厨房に向かって叫んだ。

「そうだ、この人はエレザベスさんね」

 テリットは、カウンターのおばさんを指して言った。

「よろしく、エレザベスさん」

(エレザべスって感じじゃないなー)

 そう思いながらトキオはあいさつした。

 エレザベスは、無言で軽く頭を下げた。

「そうだ、飲み物もいるだろ?何がいい?」

「朝はやっぱりコーヒーかな」

「コーヒー?なんだそりゃ。そんなの置いてあるのか?」

 テリットがエレザベスに聞くと、エレザベスはゆっくり首を振った。

「おおっと、この世界にはコーヒーってないのか。そりゃ困ったなあ・・・じゃあ、何か甘くない飲み物を」

「それじゃ、俺たちがいつも飲んでるマイカにしな。こいつが飲んでるこれだよ」

 テリットはそう言うと、すぐ横のテーブルに座っていた男が手に持っていたグラスを取り上げた。男は一瞬ギョッとした表情をしたが、この男もトキオに協力してもらいたいせいか、手で「どうぞ」という感じの仕草をした。

 トキオは、グラスを受け取って一口飲んでみた。すると、今まで味わったこともないような奇妙な味がした。

「ううう、ちょっとこれはパスかな」

「おや、口に合わなかったかい。俺達のお気に入りの飲み物なんだがな」

「うーん、水でいいよ」

「わかったよ。じゃあ、水を1杯くれ」

 テリットが、エレザベスにそう言うと、カウンターの内側に用意してあったらしく、すぐに出てきた。

 トキオは、その水を受け取って飲んだ。氷が入ってなかったからぬるかったが、起きてから何も飲んでなかったせいで、ごくごくと一気に全部飲んでしまった。

「じゃあ、俺のテーブルに来いよ」


 水のお代わりをもらってからテリットの後をついて彼のテーブルに行くと、先ほどの巨乳冒険者のアウレラもいたので、今度は無意識に胸元に目がいかないようにその隣に座った。

 座るとすぐに、エレザベスが料理を運んできた。

 それは卵と野菜が使われたリゾット風のものだったが、なかなか美味しかった。



 食事が終わると、みんなに急かされるようにトキオは外に出た。その場にいた他の冒険者も全員あとをついて来た。トキオを除いて全部で7人だった。

 少しでも早く森に行きたかったのか、外には幌付きの馬車が用意されていたので、全員でその馬車に乗り込んだ。


 森への道中、トキオがどんな方法で魔物を討伐してきたのかと、どの魔物からどんなドロップアイテムがとれるかを色々と聞かれたので思い出せる限り話して聞かせた。

 逆にトキオは、知らなかった魔物の名前や効果的な討伐方法を色々と教えてもらうことができた。キツネの魔物は「フォドラ」、鹿の魔物は「ディアギラス」、イノシシの魔物は「ボアドン」と言うらしかった。

(なんか、やっぱりどれも怪獣みたいな名前だなあ)

 トキオはそう思った。


 トキオの話の中では、鹿の魔物であるディアギラスからは銀貨がとれるというのにみんなは一番興奮したようだった。

「銀貨じゃ討伐報酬よりはるかに多いじゃねえか!それが2枚だと!今まで20匹はディアギラスを退治して来たのに、なんてこったい!それを知ってりゃ、もっと全然いい斧と防具が買えてたのによう」

 マルケルという、いかにも力自慢という感じの筋肉質の男が、自分の斧をなでながらそう言った。


 馬車のスピードが遅くなったところで、テリットが立ち上がって馭者役のフォス越しに前を見てから振り返った。

「さあ、着くぞ」

 その言葉で、それぞれが自分の武器を装着し、防具の点検をした。

(ここらへんは手馴れてるねえ。いやー、冒険者してていいねえ)

 トキオは、自然と口元が緩んだ。

「なにニヤニヤしてんのよ」

 アウレラが怪訝そうな顔でこっちを見ながら言った。

「あ、いや、冒険者が魔物を討伐する姿が直に拝めるから参考になるなあと思って」

 この言葉はウソではなかった。

「ああ、あんた昨日冒険者になったばかりだったわね。いい機会だから勉強だと思って見てて」

「うん、そうさせてもらうよ」

「今日はね、ここら辺の民家を最近フォドラが襲うようになって家畜までやられたらしいから、その討伐依頼よ。3匹はいるらしいわ」

「なるほど」

 そんな話をしていたら馬車が止まったので全員降りた。


 目の前には、昨日、トキオが討伐に行ったのより大きくて樹木の密集度の高い森があった。

 右手に何軒か民家が見えたので、ここは小規模な集落に隣接した森のようだった。

「さて、行くか」

「おう」

 テリットの声に他の冒険者が答えてけもの道のようなところから森の中に入った。

アウレラの顔が気に入ってなかったのでちょっと修正しました(2022.4.13 2:54記)

さらに修正(2024.8.14 1:37記)

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