第57話 元日の風景
あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
昨年は、1200を超えるユニークアクセスをいただき、ありがとうございました。
日々の励みになっております。
8月に突然この小説を思いついて書き始めたわけですが、思いのほかすらすらと進んで、気づいた「お面ライダー」をはるかに超える23万字超の文字数になっていました。
以前にも書きましたが、先の方の話をちょこちょこ書いたりしていますので、実はすでに30万字近い文字数になっています。
ここ数年、異世界アニメや異世界マンガを色々と見るようになっていて、トキオじゃないですが、かなりハマってきております。
そのおかげで、この小説は書いていて実に楽しいので、良いペースで書き進むことができています。
奇数月の後半から偶数月の初旬にかけては、お図描きの仕事でしばらく更新が止まると思いますが、今後もお付き合いいただければ幸いです。
※上のお年賀の画像は、コロナで暗くなりがちな世の中を少しでも明るくするように、虹色にしてみました。機体は、丑年繋がりで米海軍のF2Aバッファロー艦上戦闘機です。
トキオくんとアウレラちゃんに登場してもらいました。トキオくんは画像としては初登場ですね・・・主人公なのに(笑)
普段は学研の「歴史群像」や光人社の「丸」をはじめとしたミリタリー雑誌にこっち方面の図を描いております。
「う、痛てててて」
トキオは、目を覚ましてベッドの上で起き上がろうとしたが、ひどい頭痛に襲われて頭を抱えた。
「この感じは・・・二日酔いだよなあ・・・えーと、昨日ってどうしたんだっけ」
かなり飲んだことはなんとなく記憶にあったが、それ以上のことはすぐには思い出せなかった。
「昨日は・・・・ああ、ダーツ大会に出て準決勝でミレリアに負けたんだった。ミレリア、強かったけど、最後はアウレラの声援で、逆に集中力が切れたなあ」
とりあえず、水を飲もうと立ち上がって台所に行った。
そして、水がめの水を直接カップですくって飲んだ。
「うー・・・ちょっと楽になったかな。それで、そのあとは・・・・・ああ、新年になったらみんながお祈りしてたな。それからは?・・・・・」
そう言いながらもう一杯水を飲んだ。
「・・・あ、そうだ!みんながどんどん帰って行って、最後は、アウレラ、ミレリア、クロアと飲んでたような気がする・・・・・何時まで飲んでのかなあ。そこは、思い出せないなあ」
そこで、トキオはハッ!とした。
「なんか、アウレラにキスされたような気がする!それで、なんでだったかは思い出せないけど、ミレリアとクロアにもキスされた気がする!・・・うーん、ホントにそうなことあったのかなあ?夢のような気もするなあ」
「うーん、やっぱりまだ頭痛いから、もうちょっと寝てるか」
そう言って、再びベッドに入ろうとしたが、時計を見たら午後4時だったので驚いた。
「えー!?もう、4時か!・・・そう言えば、お腹空いたなあ」
パンでも齧ろうかと食べ物の置いてある所へ行こうとしたが、ふと、今日が何日かを思い出して足を止めた。
「今日って元日だよな。この街で元日を迎えるのって初めてだなあ・・・そうだ!元日の街がどんなのか見て周ろうと思ってたんじゃないか!・・・・・美味しい屋台とか出てる気がする!」
まだ頭痛がしていたので急いでとはいかなかったが、なんとか着替えるとトキオは外に出た。
通りに出ると、予想した通り、いくつも屋台が出て色々なものを売っていた。
聖光祭の時も屋台が出ていたが、少し屋台の種類が違う気がした。
トキオは、お腹が空いていたので、まずは、「ミトフ」といううどんに似た麺の屋台に行って、月見ミトフを注文した。
食べてみると、いつも街の食堂で食べているものと違った味がして、今まで食べた中では一番おいしいと思った。
お腹が満たされたので、アクセサリーや、服を売ってる屋台を順番に見て周った。
冒険者の街だけあって、防具や武器を売ってる店もあった。
さらに行くと、日本の綿菓子にそっくりなものを売ってる店があった。
「あれ?こんなの初めて見たな。聖光祭の時にも見かけなかったぞ」
食べたいと思って屋台のところまで行ったら、アウレラがちょうどその綿菓子を買ったところだった。
「あ、アウレラ、おはよう」
「あ、トキオ・・・・おはようって、もう夕方だよ」
「あ、そうだった。俺、さっき起きたばっかりだから」
「へへ、実はあたしもついさっきまで寝てたんだ」
そう言ってアウレラは舌を出した。
「この綿菓子みたいの、聖光祭のときには出てなかったよね」
「そうそう。あたしもこの街に来て初めて見たよ。昔住んでた街では売ってたから、懐かしくて買っちゃった」
「あ、やっぱりそうなんだ。じゃあ、俺も一つもらおう」
トキオは、50歳ぐらいの売り子のおじさんにひとつ注文した。
「ところでトキオさあ、昨日、っていうか今日に日付が変わってからもかなり飲んでた気がするんだけど、あたしなにしてた?」
トキオは、綿菓子をもらって頬張ったところだったので、キスのことを思い出して思わず咳き込んだ。
「あれ?喉につかえた?大丈夫?」
アウレラが心配そうに覗き込んできたが、目を合わせづらくて咳き込みながら俯いた。
「何やってるのよ。食べ物を粗末にしたらダメでしょ」
別の声が聞こえたのでそっちを見たら、クロアが立っていた。
「あークロア、おはよう」
トキオはぜーぜーしながら言った。
「何がおはようよ!もう午後5時よ」
「あ、そうだった」
「クロア―、あたしってクロアとも飲んでた気がするんだけど、どんな飲み方してた。ぜんっぜん記憶がないんだけど」
「私とトキオとミレリアの4人で朝まで飲んでたんだけど、あんたは、最初に酔いつぶれて途中から寝てたわよ。その前にトキオとキスしてたけどね」
「なんですって!?酔ってたからって、トキオ、ひどい!」
アウレラは、そう言うとトキオの胸倉をつかんだ。
「いや、それはちょっと違・・・」
トキオが、そう言いかけたら、クロアが遮るように言った。
「違うわよ。あんたの方からキスしたのよ」
「え!・・・ウソでしょ」
トキオの胸倉を掴んでいたアウレラの手から力が抜けた。
「トキオ、ホントなの?」
「俺もはっきりとは覚えてないんだけど、俺の記憶でも・・・そうだな」
「え゛え゛え゛・・・」
アウレラはトキオから手を離すと真っ赤になって俯いた。
「てことは、クロア、お前は全部覚えてるの?」
「当たり前でしょ。朝まで飲んだぐらいで記憶が無くなったりしないわよ」
「じゃあ、その次は・・・もしかして・・・」
「そう、ミレリアにキスされてたわ」
「うそでしょ!?」
アウレラは、そう言うとトキオを睨みつけた。
「いや、クロアが言った通り俺からしたわけじゃ・・・」
「そんなに誰とでもほいほいキスしてるのが問題でしょ!あたしだけにしなさいよ!」
「え?・・・」
「あ゛・・・いや、別に深い意味は・・・」
「そんなこと言ってるところ悪いけど、ついでに私もキスしといたわよ」
自分で言っておいて、クロアは顔が赤くなった。
「え゛え゛ーーーー!・・・トキオ―!」
「あ、俺、お腹いっぱいになったし、だいたい見たから、そろそろ帰るよ」
アウレラの剣幕から逃げるように、トキオはその場から走り出したが、前を見てなかったので誰かにぶつかった。
「キャッ!」
「あ、すみません!大丈夫ですか?」
倒れた女性を助け起こそうとしたら、それはミレリアだった。
「あ、ミレリア。ごめん」
「あ、トキオさん・・・」
ミレリアは、相手がトキオだとわかると、少し赤くなって目をそらした。
「ほら、アウレラ。今の反応から、私が言ったことがホントだってわかったでしょ?」
「え?何の話ですか?」
「あんたが、トキオにキスしてたって話をしてたのよ」
「あ・・・あれ、やっぱり夢じゃなかったんだ」
そう言うと、ミレリアは真っ赤になって下を向いた。
「トキオ―・・・・あれ?いない」
アウレラは怒鳴りつけようとしたが、トキオの姿はすでになかった。
「あ!あんなところにいた!待てー!」
そう言うと、アウレラは走ってトキオを追いかけて行った。
その姿をミレリアは呆然と見送っていたが、ふと思い出したようにクロアに聞いた。
「もしかして、クロアもトキオさんにキスしてなかったですか?」
「したわよ」
「その時に『2回目』って言ってたような・・・」
「そうよ。あいつは、突然、人のファーストキスを奪ったのよ」
「ええっ!本当ですか!?・・・トキオさん、そんな人だったなんて・・・」
ミレリアはかなりショックを受けたようっだった。
クロアは、ファーストキスのあとに自分からディープキスをせがんだことは黙っていた。
「あれ?でも、それに怒ってるなら、なんで今朝は自分からキスしたんですか?」
「え?・・・・そう言えばそうね。なんでかしら?・・・酔った勢い?」
「えー!そんなのありですかー?」
「あんただって酔った勢いでキスしたんでしょ!」
「あ!・・・・・確かに。私、なんでキスなんかしたんだろ。しかも、ディープキスしたような・・・」
自分からそう言っておいて、ハッしたような顔になり、ミレリアはまた真っ赤になった。
「そうそう。ディープキスしてたわよ。しかも、かなり長いこと」
「え?そうなんですか?」
ミレリアはもじもじすると、急に顔を上げた。
「私、なんだか頭が痛くなってきたから帰ります。まだ、昨日の酒が残ってるのかも」
「あ、そう。実は私もちょっと頭痛いのよね。じゃあ、方向同じだし、一緒に帰ろうか」
「そうしましょ」
そうやって二人で歩き出したが、しばらく行くと酒をふるまっている屋台があった。
「本日は元日サービスで半額だよ!いらっしゃい、いらっしゃい!」
屋台の前で、若い男がそうやって歩いている人に声をかけていた。
「そうだ。二日酔いなんだから、迎え酒ってどう?」
「あ、いいですわね~」
そう言って、二人は屋台に腰を下ろすと酒盛りを始めた。
すみません、お年賀画像に体力を使い果たしたため、今回の文章は少し短めになっています。




