第55話 熱戦!腕相撲&ダーツ大会!
終息日 パーティー対抗腕相撲大会1回戦第1試合。
ハイケルは、ブロームとフォスの握り合った手の上に包むように自分の両手をのせた。
ハイケル「それでは、用意・・・ファイト!」
ミレリア「開始の合図で、両者、鬼の形相で渾身の力をその右腕に込めています」
トキオ 「両者とも気合が入ってますね」
「行けー!」
「やっちまえー!」
ミレリア「お互いのパーティーメンバーじゃない冒険者からも盛んに声援が飛んでおります」
トキオ 「皆、楽しんでますね」
「ブローム、頑張れー!」
アウレラも声援を飛ばした。
ミレリア「最初、フォス選手がやや優勢でしたが、ブローム選手が持ち直すと、中央の位置でしばらく膠着状態が続きました。しかし、ブローム選手が優勢になってフォス選手の腕が徐々に倒れて来ました」
「うおぉぉぉ!」
最後は、そう気合を入れてブロームがねじ伏せた。
ハイケル「そこまで!勝者、ブローム!」
大きな歓声が上がった。
「やったー!」
アウレラがすごく嬉しそうに飛び跳ねた。
「よっしゃっ!」
ブロームは、一つ気合を入れたような声を出すと、腕を振って力こぶのあたりをさすりながら下がった。
フォスもガッカリした顔で、同じように腕を振りながら下がった。
両者とも相当に腕を酷使したようだった。
ミレリア「ブローム選手、見事な勝利です」
トキオ 「ブローム選手の方が耐久力に勝っていたようです」
ミレリア「試合は進みまして、1回戦最後の試合は、クルト選手対エド選手です」
トキオ 「皆さんの協力により、1つ1つの試合が短時間で終わりましたね」
ミレリア「クルト選手は、以前はエド選手のパーティーだったんですが、今のパーティーにけが人が出たため移籍しております。参加者中最年長ですが、40代半ばになっても衰えない体でその腕力は折り紙付きです」
トキオ 「そうですね。腕の筋肉の盛り上がりと張りが実に素晴らしいです。私も分けてもらいたいぐらいです」
ミレリア「対するエド選手が人数合わせで出て来た選手ですので1回戦は楽勝でしょう」
トキオ 「それでも、少しは意地を見せて欲しいところです」
ハイケル「それでは、用意・・・ファイト!」
ダーン!
ハイケル「そこまで!勝者、クルト!」
ミレリア「瞬殺!エド選手、またしても瞬殺されました!3度目の瞬殺負けです!」
トキオ 「意地とか、千分の1マインもありませんでしたね」
ミレリア「ここまで来ると何か称号を差し上げたくなります・・・『瞬殺のエド』ってどうでしょうか」
トキオ 「おお!知らない人が聞いたら、まるでいつも相手を瞬殺してる人みたいですね。それなら本人も喜ぶんじゃないでしょうか。それでいきましょう!」
エド 「やかましわっ!」
ミレリア「瞬殺のエド選手、何か怒っているようですが何に怒っているのでしょうか」
トキオ 「瞬殺のエド選手、きっと負けてくやしいんですね。負けても遺恨を残さない。そういう態度でお願いします」
エド 「うっさい!」
ミレリア「瞬殺のエド選手、不機嫌に下がっていきました」
トキオ 「瞬殺のエド選手、なんとか機嫌を直して欲しいものです」
ミレリア「さて、盛り上がってまいりました腕相撲大会も、ついに決勝戦です」
トキオ 「相変わらずの見事な進行スピード。スバラシイですね」
ミレリア「決勝は、準決勝でパーシー選手を破って柔道大会でのテリット選手の雪辱を果たしたブローム選手対、準決勝も瞬殺で圧倒的強さを見せつけたクルト選手です」
トキオ 「クルト選手、強いです。さすがは、元王国直属の冒険者です」
ミレリア「トキオ師範、決勝はどう予想されますか」
トキオ 「難しいですね。ブローム選手はかなり有力だと思っていたんですが、クルト選手の戦いっぷりを見たらわからなくなりました。白熱した試合になると思います」
ミレリア「それでは皆さん、お二人の動きを見逃さないよう、しっかりと観戦と応援をお願いします」
決勝戦とあって、始まる前から場内は大歓声に包まれた。
ハイケル「それでは、用意・・・ファイト!」
ミレリア「さあ、始まりました。まずは両者一歩も譲らず、中央で力の入れ合いです」
トキオ 「いや、表情を見るとクルト選手の方が余裕があるようです」
ミレリア「お!クルト選手、ニヤリと不敵な笑みを浮かべると、さらに右手に力を込めました。ブローム選手、徐々に押されて来ました」
「やめてー!」
アウレラの悲鳴が上がった。
トキオ 「クルト選手、本気を出していなかったようですね」
ミレリア「ブローム選手、必死でこらえますが、徐々に腕が倒れて行きます。ああ!」
ダーン!
ハイケル「そこまで!勝者、クルト!」
ミレリア「クルト選手強い!圧倒的強さでした!」
トキオ 「この戦いっぷりを見ていると、瞬殺で勝てたようにも思えます。たぶん、決勝戦だから少し盛り上げてくれたんですね。さすがはベテランです」
ミレリア「クルト選手、組んで挙げた両手を盛んに振って会場内にアピールしています。観客からは大拍手が送られています」
トキオ 「クルト選手、嬉しそうですね」
ミレリア「今、ケリー支部長が出て来て、クルト選手に小ぶりの優勝カップと賞金、銀貨20枚を手渡しました。場内からは割れんばかりの拍手です」
トキオ 「素晴らしい戦いでした」
クロア 「じゃあ、私はダーツの準備に行くわ」
トキオ 「おわ!いたのか!」
大歓声でトキオの声が聞こえなかったのか、クロアそのまま退席。
ミレリア「続きまして第1回アティム・ダーツ大会です。私も参加しますので、ここからの実況はアウレラ冒険者にお願いしております。よろしくお願いします」
アウレラ「頑張ります」
ミレリア、ダーツ大会に参加するため退席。
アウレラ「トキオ師範、よろしくお願いします」
トキオ 「よろしくお願いします。私も自分の番が来たら退席します」
アウレラ「・・・で、何しゃべればいいの?」
トキオ 「まずはルールと参加者の紹介かな」
アウレラ「そうか。えーと、今回は時間もないので、一人3回投げて、その合計点で争われます」
トキオ 「待ったは無しです」
アウレラ「全パーティーが参加して、さらに、ケリー支部長、ミレリア選手、エレザベス選手、トポレフ料理長も参加するので、16人で争われます。審判はテリット選手が努めます・・・次は?」
トキオ 「まあ、目の前で行われているダーツの試合をそのまましゃべってればいいんじゃないかな」
アウレラ「わかった・・・そろそろ始まりそうです。最初の試合は・・・えーと、クロア選手対ハイケル選手?」
トキオ 「そうですね」
アウレラ「クロア出てるんだ。どうせダメだろうけど」
トキオ 「実況は、私情を挟まずに公平にお願いします」
アウレラ「わかりましたー。まず、クロア選手、第1投です」
トキオ 「少し緊張しているようです」
アウレラ「クロア選手、すごく時間をかけて狙いをつけて・・・投げました!・・・あ!ダーツボードを大きく外れて壁に刺さりました!・・・ぷっ!」
吹きだすアウレラ。
トキオ 「緊張していたせいでしょうか」
アウレラ「・・・続いて、ハイケル選手です。狙いをつけて・・・投げました!おお!見事、19点×3の57点のところに刺さりました!」
トキオ 「これは見事です!スバラシイ!」
アウレラ「続いて、クロア選手の第2投です」
トキオ 「まだ緊張しているようです」
アウレラ「狙いをつけて・・・投げました!・・・あ!また壁に刺さりました!・・・ウケる」
腹を抱えて笑うアウレラ。
トキオ 「実況をお願いします」
アウレラ「失礼しました・・・でも笑えるー・・・続いて、ハイケル選手の第2投です」
トキオ 「クロア選手の結果を見て少し余裕が出て来たようです」
アウレラ「狙いをつけて・・・2投目は8点でした」
トキオ 「終わりましたね」
テリット「勝者、ハイケル!」
アウレラ「え?」
トキオ 「クロア選手はあと1投なので、最高で60点しかとれませんが、ハイケル選手の得点がすでに65点なりましたので、ハイケル選手の勝ちです」
アウレラ「あ、なるほど~・・・ということで、1回戦第1試合はハイケル選手の楽勝でした」
パーシー「だから、お前じゃ無理だって言ったんだ!」
クロア 「実力を出す前に試合が終わっちゃったのよ!投げる数が少なすぎるわよ!」
パーシー「言い訳しない!」
クロア 「なによ!」
アウレラ「パーシーチームの見苦しい言い争いがありましたが、次の試合に行きたいと思います」
トキオ 「みなさん、熱くなり過ぎないようにお願いします」
アウレラ「1回戦第2試合はミレリア選手対ヴィリー選手です。久しぶりに名前が出ましたが、ヴィリー選手はマルケルチームです」
トキオ 「マルケル選手はよく登場するのに、なんだかカワイソウです」
テリット「勝者、ミレリア!」
アウレラ「時間の都合で省略させていただきましたが、ミレリア選手、驚くべき強さで129対32の圧勝でした!」
トキオ 「驚きました!最後の1投は真ん中の50点でしたし」
アウレラ「密かに練習を積んでいたんでしょうか」
トキオ 「ここにはダーツ道具が一式ありますからね。冒険者がいないときはいつでも練習できたと思います」
アウレラ「なるほど、昼間はたっぷり時間がありますからね」
トキオ 「この点数が本物か、次の準々決勝を注目したいと思います」
アウレラ「試合も進み、準決勝になりました。トキオ師範も試合に参加されていますので、トキオ師範が試合をしている時の解説は、2回戦まではマルケル選手にお願いましたが、ここからはブローム選手です。ブローム選手、よろしくお願いします」
ブローム「よろしくお願いします」
アウレラ「腕相撲、残念だったねー」
ブローム「せっかく決勝まで行ったんだけどなー」
アウレラ「最初はいい線いってたのに」
ブローム「いやあ、クルトは手加減してたね。実力差がかなりあったよ」
アウレラ「そうなの~?でも、決勝まで行けたのはスゴいよね」
ブローム「一応、ここのナンバー2ってことになるからな」
テリット「はいそこ!ちゃんと実況と解説して!」
アウレラ「・・・失礼しました。準決勝に進出したのは、トキオ選手、ミレリア選手、エレザベス選手、ケリー選手です」
ブローム「冒険者が一人しか残ってませんね。驚くべき状況です」
アウレラ「やはり、密かに猛特訓していたということでしょうか」
ブローム「冒険者より時間の余裕がありますからね。可能性は高いです」
アウレラ「準決勝第1試合は、トキオ選手対ミレリア選手」
ブローム「うちのパーティーからは、まだ優勝者が出てないので、トキオ選手には頑張ってもらいたいです」
アウレラ「ホントだよねー」
テリット「そこ!私情を・・・・・ある程度は許す!」
アウレラ「テリット審判もトキオ選手に勝って欲しいようです」
ブローム「気持ちは通じてますね」
アウレラ「いよいよ始まります!・・・と、思いましたが、紙面の都合で今回はここまで」
ブローム「ええ~!?」
・・・次回へ続く。




