第49話 決戦!柔道大会!
ミレリア「第2試合はアウレラ選手対パーヴェル選手です。パーヴェル選手は第10話で名前が出て以来の久々の登場です。皆さんお忘れかもしれませんが、マルケル選手のパーティー仲間です」
トキオ 「一応、2回のゴブリン討伐とオーク討伐にも参加していたんですが、名前も出てきませんでしたね。少し扱いがかわいそうです」
ミレリア「かわいそうついでで紹介しておくと、トキオ師範と同じ26歳で、現在、彼女募集中だそうです」
トキオ 「そうらしいですね。私も彼女が欲しいです」
ミレリア「あら?そうなんですか?困ったなあ(はあと)」
トキオ 「は?何が困ったんですか?進行上で問題でも発生しましたか?」
ミレリア「またとぼけちゃって。いやですねえ」
トキオ 「いや、何を言ってるかさっぱり」
クロア 「試合始まるわよ!さっさと実況しなさいよ!」
ミレリア「は!そうでした!」
マルケル「はじめ!」
ミレリア「さあ、始まりました。ところで、男女で試合をすることになっていますが、大丈夫なんでしょうか?」
トキオ 「女性の参加者は3名しかいなかったため個別にトーナメントが組めないので男性との試合でもいいかと確認したところ、全員、問題ないとの答えでしたので一緒に試合をしてもらうことになりました」
ミレリア「なにかヘンな事故でも起こらなければいいんですが」
トキオ 「仕事仲間ですからね。ヘンな事をしたらあとあと仕事しづらくなるので、それはないでしょう」
ミレリア「でも、パーヴェル選手は鼻の下が随分伸びているような気がしますが、気のせいでしょうか」
トキオ 「そんなこと・・・気のせいじゃないかもしれません。少し不安になってきました」
ミレリア「それと、パーヴェル選手、何だか全然気合が入っていないように見えます」
トキオ 「それは、アウレラ選手が女性なので気を遣っているのかもしれません」
ミレリア「おっと!それを見抜いたのか、アウレラ選手、体を押し込むと同時に大内刈りをかけました!」
マルケル「有効!」
ミレリア「アウレラ選手、有効を取りました!そして、そのまま頭の上から覆いかぶさるように縦四方固で抑え込んだ!」
トキオ 「アウレラ選手は練習試合の時も大内刈りを決めましたが、この技をかなりものにしているようです」
ミレリア「おおっと!パーヴェル選手しきりにもがいています!しかし、抑え込みを振りほどこうとしているというより、アウレラ選手の巨乳に顔面が押しつぶされて息苦しくて暴れているように見えます」
トキオ 「これは、実にうらやま・・・いや、息苦しそうです」
ミレリア「おや?パーヴェル選手、急におとなしくなりました。失神してしまったか!」
トキオ 「いえ、足は微妙に動いてますからそうではなさそうです」
ミレリア「やや!?パーヴェル選手の股間が膨らんできたように見えます。気のせいでしょうか」
トキオ 「ホントですね。何ともハレンチな!・・・・・気持ちはわかりますが(ぼそっ)」
ミレリア「今、なんか最後に付けました?」
トキオ 「個人的感想ですので気になくて大丈夫です」
マルケル「1本!」
ミレリア「アウレラ選手、男性相手に抑え込みで見事な1本勝ちです!」
トキオ 「アウレラ選手はかなりマジメに柔道に取り組んでいますから、その成果が出ましたね」
ミレリア「ああ!アウレラ選手が立ち上がると、パーヴェル選手、大量の鼻血を出していました!抑え込まれて頭に血が上ったのでしょうか?」
トキオ 「たぶん、違う理由でしょう」
ミレリア「しかしながら、実に幸福そうな顔をしています。おっと!アウレラ選手の胸元にパーヴェル選手の鼻血がべっとりと付いています!」
アウレラ「ええー!ひどい!お気に入りの服なのに―!こんなんじゃもう試合できないじゃない!帰る!」
アウレラ、不機嫌な顔で退場。
ミレリア「・・・アウレラ選手、せっかく勝ったのに怒って出て行ってしまいました」
トキオ 「あれは相当気持ち悪いですね。怒るのも無理ありません」
ミレリア「鼻血を出しているのに誰も気遣ってくれないパーヴェル選手が、今、担架で運ばれて行きました。その間もずっと幸福そうな顔をしていました」
トキオ 「今晩のおかずができましたね」
ミレリア「え?」
トキオ 「あ、いや、負傷した人にはお弁当が出たような、出なかったような」
ミレリア「そうでした?記憶にありませんが」
トキオ 「・・・時間も押してますから次の試合に行きましょう」
ミレリア「そうですね。ということで、今回もセリフのなかったパーヴェル選手でした」
ミレリア「さて、試合も進み、次は準決勝です」
トキオ 「相変わらず、素晴らしい進行スピードです」
ミレリア「長引いた試合が多く、時間がかなり押してしまいましたので、とっとと進めたいと思います」
トキオ 「お願いします」
ミレリア「準決勝の組み合わせは、マルケル選手対パーシー選手とテリット選手対オットー選手です」
トキオ 「実力のある選手が順当に勝ち上がって来ましたね」
ミレリア「この中で唯一の一般参加者であるオットー選手の健闘が光ります」
トキオ 「準々決勝はブローム選手相手に苦戦して有効勝ちでしたが、やはり、弟のハルトマン選手同様に天賦の才があると思います」
クロア 「オットー選手がんばれ!」
トキオ 「うおっ!まだ、いたのか!」
ミレリア「あまりにも静かなので、私もいるのを忘れてました」
クロア 「美形に見とれてただけよ」
ミレリア「対象年齢が幅広いですね」
クロア 「おじさんはお断りよ!」
トキオ 「・・・試合にいきましょう」
ミレリア「そうでした。準決勝第1試合はマルケル選手対パーシー選手です」
トキオ 「個人的にはかなり注目している二人です」
ミレリア「進行の都合上省略しましたが、一進一退の攻防の末に技ありでパーシー選手が勝利しました」
トキオ 「マルケル選手は、練習試合の結果から、俺が一番だと息巻いていましたが、その時代が終わったようです」
ミレリア「人の世の移り変わりは激しいですね」
トキオ 「・・・なにそのまとめ方?」
ミレリア「準決勝の第2試合はテリット選手対オットー選手です」
トキオ 「え?無視?」
クロア 「オットー選手がんばれ!」
トキオ 「・・・日が暮れちゃうので試合に集中しましょう」
ミレリア「またまた、省略させていただきましたが、激しい技の応酬の末、テリット選手が内股で一本勝ちしました」
クロア 「テリットって気が利かないわねえ」
ミレリア「場内の女性からしきりにブーイングが出ています」
トキオ 「まあ、勝負ですから仕方ないですね。オットー選手には逆にこの結果が良かったと思います」
ミレリア「そうですね。これを糧により一層、技を磨いて欲しいと思います」
クロア 「じゃあ、もう見るものないし、私帰るわ」
トキオとミレリアがぽかんとした顔で見送るなか、クロア退場。
ミレリア「コメンテーターがいなくなってしまいましたが、いてもいなくても同じだったので問題ないかと思います」
トキオ 「その通りですね」
ミレリア「さて、決勝戦です!3回に分けてお送りして来ました柔道大会も、最後の試合となります」
トキオ 「ついに来ました」
ミレリア「トキオ師範の予想はどうでしょうか」
トキオ 「テリット選手は練習試合でマルケル選手に敗れましたが、かなりの接戦でした。パーシー選手はそのマルケル選手に勝っての決勝進出です。実力は伯仲していると思います」
ミレリア「そうですか。かなりの熱戦になりそうですね」
トキオ 「両パーティーの威信もかかっていますので、二人とも負けられません」
エド 「はじめ!」
ミレリア「早々と敗れて体力の有り余っているエド選手が決勝の審判を務めます」
トキオ 「試合をしている両選手より動きがいいですね」
エド 「うっさいわ!」
ミレリア「おっと、エド選手に聞こえたようです」
トキオ 「ホントのことだからしょうがありません」
ミレリア「両者、警戒しながら相手の襟をとりましたが、お互いに不十分でしきりに足を飛ばしております」
トキオ 「さすがに実力者同士ですので、いいところは取らせてもらえません」
ミレリア「おっと!テリット選手が不十分なまま腰技に行こうとしましたが、これはパーシー選手に躱されました」
トキオ 「よく見ています」
ミレリア「テリット選手、続いて大外刈!・・・パーシー選手、これもなんなく躱しています。パーシー選手、受けに回っていますが、何か作戦があるのでしょうか」
トキオ 「相手の技のタイミングを計っているのかもしれません」
ミレリア「テリット選手、パーシー選手に掴まれていた右袖を振り払うと奥襟のいいところを掴んですかさず内股に行った!・・・ああっ!」
エド 「1本!」
ミレリア「パーシー選手、テリット選手の内股をかわして逆襲し、見事に内股すかしを決めました!」
トキオ 「なるほど、これを狙っていたんですね。見事です」
パーシー「うおぉぉぉぉぉ!」
ミレリア「パーシー選手、両手を高く突き上げて勝利の雄たけびです!」
トキオ 「作戦がまんまとうまくいって、大変嬉しそうです」
ミレリア「テリット選手は仰向けに転がったままでしたが、審判のエド選手が手を掴んで起こしました」
エド 「勝者パーシー!・・・互いに礼!」
ミレリア「熱戦が繰り広げられた柔道大会一般の部は、パーシー選手の優勝で終了しました。ちょっとインタビューに行ってきたいと思います」
ミレリア「パーシー選手、見事な1本勝ちでしたね」
パーシー「イチバーン!」
ミレリア「この大会を振り返ってみていかがでしたか?」
パーシー「イチバーン!」
ミレリア「・・・興奮が冷めやらないようですので、インタビューを終わります」
ミレリア「続いて表彰式に移ります。準決勝まで進出された方は、スタッフによってあっという間に設置された表彰台の後ろにお集まりください」
ミレリア「時間の都合で省略しましたが、児童の部と少年の部の表彰式はメダルと賞品が進呈されて終了しました。ハルトマン選手が金メダルを受けた際には、私を含めた場内の若い女性から大声援が飛んでおりました」
トキオ 「え?『若い』?・・・痛っ!なんで殴るんですか!しかもグーで」
ミレリア「続いて一般の部の表彰に移ります」
トキオ 「マジで痛かったなあ・・・」
ミレリア「まずは、マルケル選手とオットー選手です!」
大歓声と拍手の中、マルケルとオットーが表彰台に上がる。
ミレリア「3位に入られましたマルケル選手とオットー選手には、トキオ師範から銅メダルと賞金として銀貨5枚が贈られます」
マルケル「銀貨5枚!?マジか!」
オットー「ホント!嬉しい!」
ミレリア「賞金の額に二人とも喜んでおります。特に、未成年のオットー選手にはかなりの大金だと思います。ちなみに、2位のテリット選手には銀貨10枚が、優勝したパーシー選手には銀貨20枚が贈られます」
エド 「そんなに貰えるのか!ちぇっ、も少し真剣にやれば俺ももらえたのに!」
トキオ、ミレリア「無理っ!」
ミレリア「マルケル選手とオットー選手、首にメダルをかけられて・・・というより、賞金をもらって大喜びしています。ここでまた、場内から大きな拍手です」
ミレリア「続いてテリット選手です」
女性からの大ブーイングの中、テリットが表彰台に上がる。
ミレリア「オットー選手を負かしてしまったテリット選手、女性からの大ブーイングを受けながら表彰台に上がりました。トキオ師範からメダルと賞金の銀貨10枚を授与されると、にこやかに場内に手を振りましたが、ここでまた大きなブーイングです」
ミレリア「最後はパーシー選手です!」
テリットと違って、大きな拍手の中、パーシーが表彰台に上がる。
パーシー「イチバーン!」
ミレリア「パーシー選手、まだ興奮しているようです。おっと!メダルと銀貨20枚をを受けると、非常に嬉しそうな顔になり、トキオ師範の頬にキスをしました!しかし、トキオ師範、これをイヤがって飛び下がると、しきりに袖で頬をぬぐっております」
ミレリア「それでは、最後にもう一度大きな拍手をお願いします!」
大きな拍手とブーイング(テリットのみ)に包まれて、全員、壁際まで下がる。
ミレリア「それでは最後に、トキオ師範から閉会の挨拶をお願いします」
トキオ 「えー、皆さまお疲れさまでした。一人だけ鼻血を出した人がいましたが、皆さん、大きなけががなくてなによりでした。想像以上にレベルの高い試合が多く、私も驚いておりますが、これも、皆さんの日ごろの鍛錬がなせる業だと思い、私自身も非常に嬉しく思います。今回の結果を励みに、より一層、柔道の技に磨きをかけていただきたいと思います。
それでは、これにて閉会いたします!」
トキオの一礼によって、場内はこの日最高の拍手と歓声に包まれた。
トキオは、そのまま控室に向かい、ミレリアも後をついて来た。
しかしトキオは、それに気づくと、皆のレベルの高い試合によって大会が大成功に終わったことに感動して今にも涙があふれそうだったので、そのままトイレに向かった。
こうして、第1回アティム柔道大会は終了したのだった。




