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異世界マニアのおしかけ召喚者  作者: 伊部九郎
第1章 アティム編
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第14話 気づかなかった魔法

「あらー、火属性の魔法も少し威力が上がってるわー。前は怯ませるぐらいだったのに」

 トキオは、少しだけ驚いた顔で自分の右手を見た。

 ふと視線を感じたので顔を上げたら、みんながびっくりした顔でトキオを見ていた。

「え?どうしたの?」

「いや、剣と格闘技の腕を持ってるのに、攻撃魔法がいくつも使えるのがすげーなーと思って。魔法が使える剣士がはいるが、普通は戦闘の補助に使えるレベルだぞ。さっきの光魔法なら中型以下の魔物は倒せるだろう」

「いや、少し前まではそのレベルだったんだけどね。ここんとこの討伐でレベルが上がったみたい・・・そうそう、ステータスを見てなかったよ・・・どれどれ、ありゃ、火属性のはLv5に上がってる・・・光属性は・・・Lv15だ」

「Lv15!?なんだそれ!」

「え?なんかヘン?」

「ヘンと言えばヘンだ。レベルが普通じゃないぞ。Lv12以上の魔法を使えるのは高位の魔法使いだけで、少なくとも俺の知り合いにはいないぞ」

 テリットは心底驚いたという顔でトキオを見た。

「トキオ、剣と格闘技ができてこれじゃ、魔法専門の冒険者が泣いちゃうぞ」

「いやーでも、俺、強化魔法と治療魔法が使えないから、そこが結構残念なんだよねえ」

「なに贅沢言ってるんだ。これだけの攻撃スキルがあれば、そうそうやられたりはしないだろ」

「いや、まだ冒険者になりたてで見たこともない魔物もたくさんいるから、そう簡単にはいかないと思うよ。『敵を知り己を知れば百戦危うからず』の境地が理想だからね」

「なんだそれ?」

「あ、そうか・・・・えーと、これは、俺の村に昔から伝わる兵法の極意で、自分たちの戦力をちゃんと把握したうえで敵の戦力も把握していれば、百回戦っても負けることはない、というような意味だよ」

「ほお~、それは確かにその通りかもしれんなあ」

「だから、せっかく光系の防御魔法が使えるんだから、当分は防御を固めて慎重に行くよ」

「まあ、そうだな。何事も一番大事なのは経験だ。多くの経験を積めば色んな対処が無意識にできるようになるからな・・・ああ、そんなことは剣を20年もやってるトキオにはわかってるか。とにかく、それまでは、防御優先で行った方がいいだろう」

「うん。『当たらなければどうということはない』からね」

 トキオは、自然とその言葉が口から出たが、自分でウケて少し笑った。

「そうそう。その心構えが大事だ」

 その笑いに怪訝な顔をしつつテリットが答えた。



「あれ?あたし強化魔法が使えるようになってる!しかも、Lv3だ!」

 アウレラが、驚きと嬉しさが入り混じった声で言った。

「え?すごいじゃないか!」

 テリットも驚いて言った。

「さっき、ギルドでなら能力値が見られるって言ってたよね。それなのに気づいてなかったの?」

 トキオがテリットに聞いた。

「ああ、冒険者の数は多いんで、毎日全員の分を見てたらギルドの職員の手が足りなくなるから、見てくれるのは昇級したときだけなんだよ」

「えー?それは残念だなあ」

「じゃあ、俺もちゃんと見てみるか」

「あ、画面をタッチして上下に動かすと他の項目も見られるからね」

「そうなんだ。どれどれ・・・」

 そのトキオの言葉で、他の冒険者たちも画面をタッチしてスクロールし始めた。

 すると、「え?」「あれ?」「おお!」と、驚きや意外だという感じの声が各冒険者から漏れた。

「なんか、いつの間にか、レベルがかなり上がってるんだけど」

「俺もそうだ」

「俺なんか、風属性の魔法が使えるようになってるぞ」

「なんだって!」

 そんな言葉が、冒険者たちから漏れてきた。


「あ!俺もだ!」

 テリットも、何かをステータス画面から発見したらしかった。

「何か変わってた?」

「いや、俺も火属性の攻撃魔法が使えるようになってるよ。Lv1だけどな」

「おお!いいじゃない、おめでとー!」

 トキオは素直に喜んだ。

「うん、これで攻撃の幅が広がるな。何よりも、離れた位置から攻撃できるようになったのがありがたい」

 テリットは、すごく嬉しそうに言った。

「よし、やってみるか・・・ファィド!」

 テリットは、皆とは反対方向の地面に向けて火炎魔法を放った。すると、手のひらから火炎が飛び出し、5メートルほど先の地面が直径30センチほどの範囲で焼け焦げた。

「あれ?・・・Lv1って、こんな程度の威力なのか・・・」

「う、うーん、そうだね。俺の時もそんな感じだったかな」

「そうか・・・ちょっと喜びすぎたかな」

「でも、焚火たきびとか松明たいまつとかに火をつけるのにマッチがいらなくなるから、便利っちゃあ便利だよ」

「ああ、そうだな」

 テリットはそう答えたが、顔からはガッカリ感がにじみ出ていた。

「それより、アウレラが強化魔法を使えるようになったんなら、パーティー全体の攻撃力が上がるからすごくいいじゃない」

 トキオは必死で話をそらした。

「ああ、確かにそうだな。頭も狙えるようになったし、これからはもっとレベルの高い魔物も討伐できるようになるな」

 テリットの表情が元に戻ったので、トキオは安心した。

「しかし、魔法って魔法使いの訓練を受けなくても習得することができるもんだったんだ。知らなかったなあ」

「冒険者としての経験を積めば習得できるんじゃないかなあ。そう考えると、かなり高いレベルの魔法が使えるようになってるのに、気づいてない人もいるんじゃないかな」

「そうかもな・・・おーい、まったく魔法が使えなかったヤツで、知らない間に魔法が使えるようになってたヤツは手を挙げてくれるか?」

 テリットが皆に向かって言った。

 5人が手を挙げた。

「結構いたな。Lvはどのくらいだ?」

「俺は2だな」

「俺は3だ」

「俺も3だ」

「俺は2だ」

「俺は・・・7だ」

「マジか!?」

 皆は驚きの声を上げた。

 そう答えたのは、40歳は過ぎていると思われるかなりのベテランっぽい冒険者だった。

「クルト、7はスゴイな。そういえばクルトは、軍直轄の時代から冒険者をやってて、ギルドができたから街に戻って来たんだったな。この中じゃ、キャリアはダントツに長いからそのせいか。で、なに属性の魔法なんだ」

「木属性だ」

「おお!それは希少な属性だな。俺は見たことがない。何かやってくれよ」

「構わんが、使ったことないからやり方がよくわからんな。とりあえず、この『木防壁』ってのやってみるか」


 クルトは、一番木が生い茂っている方を向くと、両手を開いて前に突き出し「フォルスト!」と唱えた。

 すると、20メートルほど先に間隔をあけて生えていた左右の木が小刻みに揺れだしたかと思うと、お互いの方に面した枝が伸びながら上下に枝を生やしていき、10秒もすると完全に木と木の間が枝で厚く塞がれて向こう側が見えなくなった。


「うおおおおおーーーーーー!」

 全員から驚愕の大きな声が上がった。

 トキオがクルトを見ると、自分の両手のひらを見て呆然としていた。一番驚いたのはクルトのようだった。

 それから、悔しそうな顔になり、両の目からぽろぽろと涙を流し始め、そのまましばらく自分の手を見つめていた。

 その様子を見た他の冒険者でもらい泣きをする者があった。アウレラも涙を流していた。

 トキオは、皆がなぜ泣いているかわかるような気がした。


「あれは、この魔法が使えることを知っていれば、もっと多くの命を救うことができたという想いだな」

 トキオに説明するようにそうつぶやいたテリットの目も潤んでいた。


「しかし、ギルドは何で俺たちが魔法を使えるようになっていることを教えてくれなかったんだ!?」

 新たにLv3の魔法が使えるようになっていると言った一人が言った。

「そうだよな!」

「ふざけてる!」

 他の冒険者も同意した。


「ちょっと、これは街に戻ったらギルドに聞く必要がありそうだな」

 テリットが言った。

 トキオは、経験の浅い自分が口を出せることではないので黙っていた。



 皆がある程度落ち着いたところで、今日の本来の目的であるボアドン討伐を行うためにテリットたちは林の奥へ入った。

 植物採取のパーティーとはここで別れた。クルトはこのパーティーだった。

 見物に来ていたパーティーは、手伝うという約束だったので、そのままトキオたちに同行した。


 ボアドンを見つけるのに時間がかかったものの、頭を狙えるようになったことで、今までより格段に簡単に討伐ができた。また、アウレラが覚えたての強化魔法を3人にかけてくれたので、余計に討伐が楽だった。特に、テリットには「体が軽くなって動きがすごく良くなった」と好評だった。

 結局、午後も遅い時間になったので、最後に討伐したボアドンを皆で腹いっぱい食べてから、残りを今後の食料にしようと、二つのパーティーで分けて持ち帰ることにした。


 帰り道でトキオは、

「俺だけLv1かよ。ちぇっ」

 と、テリットがつぶやいているのを聞き逃さなかった。

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[気になる点] 主人公がぺちゃくちゃ重要な情報を話し過ぎで違和感しか無い 仮に成人前なら経験不足からくる、判断の誤りだと一定の理解はできるけど 元、40代警官でこの判断力は低過ぎでは? [一言] よ…
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