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異世界マニアのおしかけ召喚者  作者: 伊部九郎
第1章 アティム編
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第13話 ステータス画面

 次の日、ギルドに行くと、もう他の3人は来ていて、すでに討伐依頼も受けた後だった。

「おはよう。ごめん、遅くなっちゃったみたいだね」

「いやいや、特に時間も決めてなかったから大丈夫だ」

「そうよ。だいたいいつも、朝はみんなここで結構ウダウダしてるんだから」

 二日ぶりにアウレラを見たら、やっぱりキレイだな~と思ってちょっとドキッとした。

「朝飯はまだだろ。一緒に食べよう」

「うん」

「今日の討伐は、畑を荒らしてるボアドンを5匹だ。そんなに遠くないな」

「へえ~。わかった」

 トキオは、自分に合わせて比較的簡単な依頼を受けて来たんだろうと思った。


 討伐に行こうとしたら、同じ場所で薬草の採取をするパーティー4人と、タダで協力するから戦いぶりや魔物のドロップアイテムを回収するところを見せてくれと、また別のパーティーの5人、合計9人の冒険者がついてきた。


 討伐場所に行く道すがらで、みんなが近くにある建物や畑などが何であるかを色々と説明してくれた。

 この国は、麦が一番の農作物で、パンを主食にしているとのことだった。


 今回の討伐場所は、木々がまばらでところどころ開けている林だった。


 しかし、せっかくの大人数だったのに、なかなか目的のボアドンが見つからず、昼近くになってやっと一匹討伐できたので、そこでそのボアドンを焼いてお昼にすることにした。

 その前に、トキオがボアドンの頭を砕いて中から銅貨を10枚とって見せたら、他のパーティーのメンバーは、驚くと同時に非常に喜んだ。



 ボアドンの肉は、他のパーティーの冒険者にも焼いて食べさせてみた。

 最初は尻込みをしていたが、食べると皆、そのおいしさを絶賛した。

「俺、こんなうまい肉食べたことないぞ!」

「こんなうまいなら、もっと早く食べればよかった!」


「ボアドンおいしー!一昨日食べたフォドラよりもっとおいしいわー」

「ホントだなー」

「毎日でも食べたいな」

 トキオのパーティーの3人も感激していた。


 昼食を食べながら、トキオはテリットに質問した。

「最初に倒したウルゴンの目は赤かった。ウサギには赤い目の種類もあるからその時は気にしなかったけど、そのあとに倒したフォドラやボアドンやディアギラスの目も赤かった。もしかすると、魔物はみんな目が赤いの?」

「ああ、そうだ」

「それじゃ、俺は鳥を除けば目の赤くない動物を見かけなかったけど、普通の動物っていないの?」

「少し前まではいたんだよ。子供の頃はもっとたくさんいた。でも、5年ぐらい前から急激に魔物が増え始めて、みんな魔物が食っちまった。魔物は雑食で草や木の実やきのこも食べるから、水分を多く含んだ草を食べることで水がない場所でも平気だ。しかし、主食は肉だから食べる動物がいなくなったらどうなる?」

「・・・まさか!」

「そう、人間を襲うんだよ。普段は森や山の中にいるんだが、腹が減ると人里に降りてくる。ウルゴンやフォドラ程度なら畑を荒らすぐらいだが、この間倒したクマの魔物のグリベラーにもなると平気で民家に侵入して人を襲うんだ」

「やっぱり、そうなるのか」

 トキオは少し暗い気持ちになった。

「魔物が増え始めて人の被害も増えたことで、冒険者ギルドが作られて冒険者も増えた。俺が子供のころは、めったには冒険者ってのは見かけなかったが、今じゃどこででも見られるほどになったよ。しかし、魔物はどんどん増え続けているんで、人の被害はむしろ増えている。何とかしなきゃいけないが、グリベラークラスや人型の魔物じゃそう簡単には倒せないから困ってるんだ」

「そうか・・・」

「そんなわけで、冒険者は少しでも多い方がいいんだが、命の危険にさらされるわけだから誰でもいいわけじゃなくて、ギルドじゃ何の経験もないヤツに許可を与える場合は試験をすることが多い。トキオが簡単に許可をもらえたのは、剣、格闘技ができるうえに魔法も使えて、さらにディアギラスまでの討伐実績があったからだ。特に、剣と格闘技の両方ができて魔法まで使える人間はそうそういないからな。よく全部習得できたな」

「俺は子供の頃から冒険者になるって決めてたから、一昨日も言ったように柔道は18年、剣は20年やってるからね。そこそこの腕前にはなるよ。ただ、魔法は習得したとかじゃなくて最初から使えてたんだよね」

「最初から?生まれた時からってことか?」

「あ、いや、そうじゃなくて、冒険者になるためにここに来る前からってことだよ」

「そうなのか。でも、今の言い方だと、何も訓練しないで魔法が使えたように聞こえたけど」

「そうだよ。最初にステータスを見たときにすでに、火、水、風の3つの魔法スキルは備わってた」

「なに!お前、あんな剣と格闘技の腕なのに3属性も魔法が使えるのか。しかも、訓練もしてないのに」

「え?それって珍しいの?」

「魔法だけを相当訓練した人間でも攻撃魔法は2つがいいとこだ。3つはC級以上で魔法専門の冒険者だけだぞ」

「えー?そうなんだー。でも、俺の魔法ってLv3でそういう人たちに比べたらレベルが低いからなあ」

「確かにレベルはそうだが、3つ使えるってのは希少だ」

「そうかあ。じゃあ、俺ってもしかしてすごい?」

 そう言いながら、トキオは思わずにやけてしまった。

「すごいなんてもんじゃないぞ!そんな奴には初めて会った!お前ら、聞いたことあるか?」

 テリットが他の冒険者の方を向いて聞いたが、全員首を横に振った。

「そうなんだー・・・でも、特殊魔法は別枠だからカウントしないんだよね?」

「特殊魔法?なんだそれ」

「え?普通にあるもんじゃないの?」

「特殊魔法って知ってるか?」

 テリットが再び他の冒険者に聞いたが、やはり、全員が首を横に振った。

「いや、その特殊魔法に光属性ってのがあって、それが一番レベルが高いんだけど」

「光魔法だと!それって教会の加護がないと習得することができないという特別な魔法で、国内でも高位の魔法使い以上にしか使えない魔法だぞ!うちの街の冒険者でそんなのが使える魔法使いを知ってるヤツはいないぞ」

「えっ、そうなの?ちょっと自分でビックリ」


 それからテリットは、少し微妙な表情になってトキオにお願いした。

「うーん、見たことないからすごく見たいな。ちょっとやって見せてくれよ」

 他の冒険者たちもうんうんと頷いている。

「え?別にいいけど・・・・・ええと」

 トキオは、みんなからよく見えるようにと斜め後ろを向いて開いた右手を伸ばし、

「フライシャ!」

 と、叫んだ。

 その途端、大きな閃光の塊がすごいスピードで森の中に飛んで行って、奥の木に当たると爆発し、木の幹を真ん中あたりでへし折った。

「うおおおおおーーーーー!」

 冒険者たちは全員、驚愕の声を上げた。


「おやー?かなり威力が上がってるなあ。しかも、何かに当たると爆発するんだったんだ。どのくらいのレベルになってるんだろ?・・・ステータス!」

 トキオは、そう唱えてステータス画面を表示した。

「ちょっとちょっと!お前、今なにした?」

 テリットが慌てた声で聞いてきた。

「なにって、光属性の閃光魔法『フライシャ』を使っただけだけど」

「そうじゃなくて、その、目の前に浮かんでる青白い四角いの」

「え?普通のステータス画面だけど」

「ステータス画面?それもお前が使える魔法の一つか?」

「いや、これは魔法じゃなくて自分の能力値を確認できる画面だよ。誰でも見られるでしょ?」

「なんだそれ?聞いたことないぞ」

 テリットがそう言った直後、一瞬の間をおいてテリットの後方で「ステータス!」というアウレラの声がした。

「わ!出た!」

 アウレラが驚きの声を上げた。

「なに!?・・・ステータス!・・・わっ!俺も出た!」

 続いて、ブロームが驚きの声を上げた。それを見たほかの冒険者も「ステータス!」と唱えて、全員がステータス画面を表示させた。

「こりゃあビックリだ。いつでも自分の能力値が見られたとはな。ギルドにある装置でしか見られないと思ってたよ」

 テリットは心底驚いたという風にステータス画面を見つめていた。

「自分のだけじゃなくて魔物のも見られるよ。死んでるのはダメだけど」

「なに!?」

「そうだね・・・ほら、あそこでウルゴンが草食べてるでしょ。あれに手を向けて『ステータス』って言ってみて」

 テリットは、言われたとおりにウルゴンに開いた右手を向けて「ステータス!」と叫んだ。

 その途端、テリットの目の前にそのウルゴンのステータス画面が表示された。

「本当だ!しかもこれ、あいつの持ってる属性だけじゃなく、弱点属性まで表示されてるじゃないか!」

「なんだって!」

 他の冒険者たちは驚いて、全員、ウルゴンに手を向けて「ステータス!」と叫んだ。

「うおー!ホントだー!」

「これ、討伐が随分楽になるんじゃないのか!?」

「俺たちの今までの苦労は何だったんだよー!」

 皆、驚きと悔しさの言葉を口にした。


 しかし、その大騒ぎがウルゴンに聞こえたらしく、こっちに向かって突進して来た。

「いけね、気づかれたぞ」

 一緒に来たクルトという冒険者がそう言って立ち上がろうとしたが、

「ファイド!」

 トキオが、そのウルゴンに向かって座ったまま火炎魔法を放った。

 火の玉が飛んで行き、ウルゴンはトキオたちから5メートルほどのところでその火炎に包まれて苦しそうにもがきその場に倒れこんだ。

 それを見たクルトは、素早くウルゴンに走り寄ると、手に持っていた斧で首を切り落とした。


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