第119話 異世界話に花が咲く
それからすぐ夕食の時間になったので、二人は食事の間に降りて行った。
「食べ終わったら続きだからね」
クロアが食事が終わりそうになった時にそう言った。
「はいはい」
トキオは、もう今日は付き合うしいかないか、と、あきらめの境地になった。
トキオが部屋に戻るとすぐ、いつものようにメアリーがお酒を持って現れた。
「ああ、ありがとう。いつもすまないね」
「いえ、とんでもありません」
「今日は、お城に行ってないからマッサージはいいよ」
「そうですか。わかりました」
メアリーはそう言うと一礼して下がって行ったが、少し寂しそうな風に見えた。
10分ほどすると、今度はクロアがやって来た。
「じゃあ、続きよろしくね」
「はいはい・・・なんか、話が長くなりそうだから、酒を飲みながらにしないか?今、メアリーが持って来てくれたし」
「あ、いいわね~」
トキオはすでに用意してあった二人分のグラスに酒を注いだ。
「で、次はなんだ?」
酒をそれぞれが一口飲んだところでトキオが聞いた。
「一つ気になったんだけど、教団本部に行く前に『そういうところがこの世界は不便だ』とか言ってたわね。あれはどういう意味よ」
「ああ、あれは交通手段と通信手段のことだな」
「なにそれ?」
「うーんと、その説明の前に言っとくけど、俺のいた世界はこの世界では想像もできないほど文明が発達してて、今から言うことで理解できないことが出てくると思うけど、その時は簡単に流してくれ」
「そんなに違うの?たとえばどういうところが?」
「うーん、そうだなあ・・・あ!一番驚くのはこれかな?」
トキオはそう言うと、振り返って窓から見えている月を指した。
「この世界にも月があるよな?」
「そうね。そこは同じなの?」
「ああ、俺の世界にも月はある。ただ、この世界の月の方がちょっと小さいけどな」
「そうなんだ」
「それで、俺の世界では・・・・・月に人間が行ったことがあるんだよ」
「・・・え?ちょっと意味わかんない」
「宇宙ロケットって乗り物を作って、それを地面から撃ち上げて月まで行ったんだよ」
「・・・それホントなの?信じられない・・・」
「そのくらい文明のレベルが違うってことさ」
「うわー、今ので全然想像もできなくなったわ」
「じゃあ、もう少し簡単な話から。まず、交通手段だけど、この世界じゃアティムまで馬車で5日かかるだろ?」
「そうね」
「俺の世界じゃ、陸上を移動しても半日かからないんだよ」
「え!?ウソでしょ!どうやるの?」
「乗り物と道が違っててね。油を燃料にして機械で動く乗り物で、平らに整備された高速道路ってのを移動すると1時間に50メラマイン移動できるんだよ」
「えー!スゴい!」
「しかも、それは安全のために取り決められた速度を守ればってことだから、その気になればその半分の時間で移動することもできるんだ」
「え?じゃあ、アティムまで2、3時間で行けちゃうの?」
「そういうことだね」
「信じられない!・・・あれ?でも、あんたさっき『陸上を移動しても』言ってたわね。もっと早く移動できる方法があるの?まさか、瞬間転移できる魔法とか?」
「俺の世界に魔法はないって言っただろ」
「あ、そうだった」
「空を飛んで移動するんだ」
「・・・はい?大きな鳥か何かに乗って?」
「そんなの怖くて無理だよ。それに、俺の世界に人間が乗って飛べるほど大きな鳥はいないし・・・これも、油を燃料にした機械で動く飛行機って乗り物を使うんだ」
「えー!機械が空を飛ぶの!?」
「そう。しかも、陸上を走る物より格段に速い。アティムなら30分ぐらいで着くな」
「ホントなの!?想像できない」
「で、次は通信手段だけど、何か情報を伝えたりするだけならと遠いところでも瞬時にできる手段があるんだ」
「え?」
「電話ってのがあってね、それを使うと世界中のどこにいる人とでもすぐに会話できるんだ」
「えーーー?・・・それってスゴい」
「あとは?」
「なんかスゴすぎて思い浮かばないわ」
「じゃあ、俺が思いつくままに話してみるよ」
「あ、それでお願い」
トキオは、自分の世界の話をするのが楽しくなっていた。
「次は建物だな。俺の世界の建物は・・・・」
「・・・えー!そんなのが?」
「家の中には電気が来てて、灯りはその電気で・・・」
「・・・昼間みたいに?」
「それで、大抵の家には冷蔵庫ってのがあって、食べ物は・・・」
「・・・それ、うらやましい!」
「テレビってのもあって・・・」
「・・・ウソでしょ?それどうなってんのよ?」
「もっと大きい画面で見たい場合は映画館っての行くんだけど・・・」
「・・・あー、それいいなぁ~」
「海の上を進む船も、とんでもなく大きいのがあって・・・」
「・・・乗ってみたい!」
「しかも、水中を潜って進めるのもあって・・・」
「・・・海の中を見られたりするの?」
そんな感じでそのまましばらくしゃべっていたが、2時間もするとクロアが言った。
「ちょっと待って。お酒も回って来たし、なんかソファーに座って話してるのも疲れて来ちゃったわ。ベッドに足を投げ出して座って離さない?」
「・・・ああ、その方が楽か」
クロアはさっさとベッドに上がり、右側に寝ころんだ。
トキオは、お酒のボトルとグラスをトレーに乗せてベッドに行き、ベッドの頭の上にある棚の真ん中に置いた。
それから、クローゼットを開けてクッションを取り出すとクロアに渡した。
「あら、気が利くわね」
クロアはそう言いながら受け取ると、ベッドの頭のところに立てかけて、上半身をもたせ掛けた。
トキオはクロアの左隣に来ると、自分の枕を立てかけて、同じような姿勢で足を投げ出して座った。
「じゃあ、続きだ・・・」
「・・・おい!もう2時だよ!」
話に夢中になっていたのと、酒が入っていたせいで二人とも時間の意識がなくなっていたが、トキオはふと壁時計を見て愕然となった。
「今日はもう終わりにするぞ!」
「えーーー?面白いのに~・・・もうちょっとだけ!」
「お前は遅くまで寝ててもいいかもしんないけど、俺は朝から柔道教室に行くんだぞ。勘弁してくれよ」
「じゃあ、もう一つだけ!」
「それじゃきりがないだろ。続きは明日でいいじゃないか。もう終わり!」
「えー?もうちょっと聞きたい~!・・・じゃあ、私にキスしていいから!」
クロアはそう言うと、トキオに体を密着させてきた。
「なにバカなこと言ってんだ!お前酔ってるだろ?」
「あれ~?いつもは自分からキスしてくるくせに」
「いつもはって、2回だけだろ!」
「えー?3回したよね?」
「1回はお前からしたんじゃないか。しかも、最初のもディープキスの方はお前がしてくれって言っただろ!」
「あ、そうだった・・・でも、ホントは私とキスしたいんでしょ?」
「ベッドの上でキスなんかしたら歯止めが効かなくなるだろ!」
「えー?・・・なにするつもりよ」
「わかんないよ!でも・・・なにするかわからないぞぉ~」
トキオは、わざといやらしそうな顔と声で言った。
「キャー!・・・って、私がノッてどうするのよ」
「はい。じゃあ終わり!」
「もう、つまんないわねえ・・・じゃあ、これならもっと好きでしょ?」
クロアはそう言うと、トキオの左手を掴んで自分の胸に押し付けた。
「わ!何やってんだお前!」
トキオはあわてて手を引っ込めた。
「どう?」
クロアはニヤリとしながら言った。
「もう、完全に酔ってるよな!・・・でも、思ったよりオッパイデカいな」
「そうよ。アウレラと違って、いつもゆったりした服を着てるからわからないでしょうけどね・・・ほら、やっぱり好きなんじゃない」
「いや、それはただ触った感触を言っただけで・・・」
「もっと触ってみる?」
クロアはそう言うと、また、トキオの手を掴んで自分の胸の方に引っ張った。
トキオは、頭では拒否しなきゃと思ったが、さっきの感触のために本能が拒絶して手に力が入らなかった。
クロアは、そのままトキオの手を自分の胸に押し付けた。
するとトキオは、その柔らかい感触に思わず揉んでしまった。
「あ、やっぱり好きなんだ」
「ま、まあ、嫌いじゃないかな」
トキオは、あまりの感触の良さにやめられなくなり両方の手で揉み始めたが、すぐにクロアが顔を近づけて来たので、思わずキスをしてしまった。
すると、クロアもトキオに抱きつくように背中に手を回して来た。
そこでトキオは(こいつ、お尻も柔らかかったよな)、と、思い出して、右手で胸を揉んだまま左手をお尻に回して揉み始めた。
クロアは一瞬、ビクッとなったが、拒絶はしなかった。
トキオの股間はすでにMAXになっていたが、お尻に手を持って行ったせいで下半身が密着していたので、クロアの下腹部に当たっていた。
「うん?何かしら?」
クロアは唇を離すと、そう言ってから下に手を伸ばしてトキオの息子を握りしめた。
「キャー!」
クロアは驚いてトキオから離れると、ベッドから転がり落ちた。
「あ、おい!大丈夫か!?」
トキオは思わずクロアが落ちた方へ身を乗り出したが、クロアはすぐにベッドの端から顔を出した。
「あんた、その硬いのなによ!・・・もしかして、おチンチン?そんなに大きくて硬くなるものなの?」
「そうだけど、見たことないの?・・・あ、お前・・・」
トキオは「処女だったな」という言葉をかろうじて飲み込んだ。
「・・・私、部屋に戻る!おやすみ!」
クロアはそう言うと、慌てたように部屋を出て行った。
「・・・あ」
トキオはあっけにとられてその様子を見送った。
「ちょっと刺激が強すぎたか?まあ、でも危ないとこだったな」
トキオは、良かったと思う反面、もう少し胸とお尻を揉んでいたかったなあ、とも思った。
「いやいやいや、これ以上やったらホントにヤバかったよ。寝よう寝よう」
そう言って布団に潜り込んだが、さっきの感触が手に残っていたため、なかなか寝付けなかった。




