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異世界マニアのおしかけ召喚者  作者: 伊部九郎
第2章 王都編
105/550

第105話 予想外の来客

 章立てを追加してみました。

 やってみたら簡単でした(笑)


 すみませんが、確定申告と仕事の関係で、しばらく更新のペースが悪くなるかもしれません。

 ご了承ください。

「隠し部屋の件、お城よりも、まず教団本部に行ってミヒール司祭に相談した方がいい気がするから、俺、ちょっと行ってくるよ。悪いけど、お城に今日の柔道教室は自習にしてくれって伝えてきてもらえるかな」

 次の日の朝食後、トキオはセバスチャンにそう依頼した。


「わかりました」

「あ、移動手段はある?」

「我々の買い出し用と、庭師の荷物運搬用の馬車がありますので大丈夫です」

「そんなのあったんだ。じゃあ、よろしくね」

「承りました」

 セバスチャンは一礼をすると部屋を出て行った。


「クロアはどうする?」

「私も気になるからあんたと行くわよ。今日の個人練習はお休みにするわ」

「そうか。じゃあ、すぐに出るぞ」

「わかったわ」




「俺、何も知らないんだけどさ、ああいう古い文献を研究してる人ってどこにいるの?」

 トキオは、教団本部に向かう馬車の中でクロアに聞いた。


「宗教関係の本はもちろんだけど、歴史書なんかも教団本部にそういう人がいるはずよ」

「そうか。あと、学校にもいたりするんじゃないの?」

「そうね。それぞれの上級専門学校にいると思うわ」

「ああ、そうだな」


 トキオは、そう相槌を打ったが、実際はこの世界の学校制度がどうなっているのかまったく知らなかった。

 しかし、常識的なこと過ぎてアティムにいた時は誰にも聞けなかったので知らないままになっていた。


(あ、そうか!この世界の人にとっての一般常識は、俺が異世界から来たことを知っているミヒールさんに聞けばいいんじゃないか!)


 ここで、初めてそのことに気が付いた。

 これは、トキオがあまりそういったことに関心がなかったからで、トキオの興味は、あくまで冒険者に関連すること、王都で言えば王や勇者や魔導士、敵対関係でで言えば、魔物、魔人、幹部、魔王といった情報だった。

 他には、ドラゴンなどの元の世界にはいない生物、魔法などの元の世界にはない技術、それと、今回発見したような、この世界の昔のことが書かれているであろう書物にも強く興味を惹かれた。






 教団本部に着くと、トキオは受付に行ってミヒール司祭を呼び出してもらった。


 受付に座っていた女性は、後ろを向くと大きな船なんかにある伝声管のようなものに向かってミヒール司祭に来客があることを話していた。


(ふーん、こんなものがこの世界にもあるんだなあ。アティムでは見なかったけど、きっと、これほど大きな建物がなかったせいなんだろうな)

 トキオはそんなことを思った。



 数分待つとミヒール司祭は現れた。


「トキオさん・・・これはこれは、クロアさんも。どうされました」

「ちょっと相談したいことがあって来たんだけど、俺が住んでる屋敷に関することなので、どこか個室で話せないかな」

「わかりました。では、私の執務室に行きましょう」


 ミヒール司祭は手で行き先を示しながら歩き始めたので、トキオは、その後ろをクロアと並んでついていった。


 ミヒール司祭の執務室に着くと、かなりの広さがあり、よく映画で見るアメリカ大統領の執務室に雰囲気が似ていた。


「どうぞ、おかけください」


 トキオとクロアは言われるまま応接用のソファーに座った。

 ミヒール司祭は対面に座った。


「そういえば、トキオさんのお屋敷にある報奨の剣、強化魔法で軽くなって抜群の切れ味を示したそうですね」

「あ、もう知ってるんだ」

「私とキロウ司教は、昨日、魔導士長から伺いました。まだ、正体がはっきりしないので他には話さないように釘を刺されていますが」

「そうなんだ・・・それで、今日、来たのはそれに少し関連することで・・・」


 トキオは、昨日、屋敷内を探索して隠し部屋と抜け道を発見し、隠し部屋には古そうな本があったことを話した。


「驚きました。確かに、あの敷地は古くからオスヴァルト侯爵家のもので、お屋敷も何度か建て直されたと聞いています。ただし、侯爵家の本城は王都のはずれにありまして、当主はそこに住んでおります。あのお屋敷にトキオさんがいらっしゃる前に住んでいた方は当主の弟君で、王の側近として勤められていた方でした」

「あ、そういう人だったのか」

「はい。しかし、あのお屋敷の地下に数百年前の本がねえ・・・オスヴァルト侯爵家の書物庫として作られたのではないでしょうかね。当主に聞けば何か知ってるかもしれませんが、知らなかったら長い年月の間に存在が忘れ去られたのかもしれません。当主に使いを出して聞いておきましょう」

「ありがとう。じゃあ、当主から返事があるまでそのままにしといた方がいいってことかな?」

「その方が良いと思いますが、何か気になることがありました?」

「あると言えばあるんだけど・・・実は、何が書かれているのかすごーく気になってるので、読んでみたいんだよねえ」

「実は私もです」

 クロアが言った。


「おやおや、お二人とも好奇心が旺盛でいらっしゃる。うーん、でも、多分数日で返事はあると思いますから、それまでお待ちいただいた方がよろしいかと思います」

「そう・・・うーん、ちょっと残念」

「私も」


「まあ、すぐですよ。それより、このことは魔導士長とキロウ司教にもお伝えした方が良さそうですね。」

「あ、そうだよね。よろしく~」

「現場を確認するためにあとでトキオさんのお屋敷にお伺いするかもしれませんが、よろしいですかね?」

「もちろん。夕方なら俺もいるから、その時間の方がいいかな」

「わかりました」


 それから、トキオとクロアは教団本部を出て城に向かった。




「なんだ、今日帰ったら読もうと思ってたのに。残念ねえ」

 城に向かう馬車の中でクロアが言った。


「ホントだよなあ・・・こっそり読んじゃうか?」

「私もチラッとそう思ったんだけど、手前にかなりホコリが積もってたから間違いなくばれるわよ」

「あ、そうだった。つまんないなあ」

「ホントねえ」

「まあ、数日だって言ってたから我慢だな」

「そうねえ・・・でも、やっぱり読みたい」

「読みたいよなあ・・・あ!セバスチャンが触ったりしてないかな?」

「あんたの命令がない限りやらないと思うわよ。それに、報奨の一部だって考えたら勝手に触れないでしょ」

「そうか、そうだな」

「でもねえ・・・」

「ああ・・・」


 そうやって二人が苦悩の表情を浮かべてるのに反比例するかのように、馬車はいつもより快調に城への道を進んでいた。




 お城に着いていつものように兵士たちと昼食を食べた後・・・今日もクロアは人気者だったが・・・魔法訓練室に行くと、魔導士たちが先に来ていて、今日は5人揃っていた。


「トキオ、ミヒール司祭から話は聞いたぞ。王に話したら強い興味を持たれて、一緒にお前の屋敷にお邪魔することになった。問題ないか?」

「ええー!王様が来るんですか!」

「うそー!」

 トキオだけでなくクロアも驚いた。


「城の外に出ると警護が付くから少し大騒ぎになるが良いかな?」

「えーーー!・・・まあ、当然そうですよね。俺は全然かまいませんよ。ただ、うちの執事たちが面食らうんじゃないかと思いますけど」

「ああ、その点は大丈夫だ」

「・・・え?」

「じゃあ決まりだな」

「私がお伝えしてきます」

 イディアス魔導士は、そう言うと訓練室から出て行った。


「じゃあ、今日は少ししかやれないと思うから、早速訓練を始めるぞ」

「あ、はい、わかりました」

「よろしくお願いいます」



 10分ほどするとイディアス魔導士がもどって来て、1時間後に出かけることになった。



 トキオとクロアが馬車に乗ると、警護のためと思われる馬車がその前について先導する形になった。


 さらに、トキオの後ろには別の馬車が入り、そこに、ゴットハルトが乗っていた。


(近衛師団長だから、こういう時に出て来るんだろうな)


 さらに一つ後ろが王様が乗る馬車だったが、左右に2頭ずつ警護の馬が並走し、その1頭にフラビアが、残りの3頭に柔道教室に参加している兵士が跨っていた。


 王様の馬車の後ろには、さらに2両の馬車が従っていたが、これだけの大所帯だと、当然のことながら街中で注目の的になった。


 トキオの乗った馬車もジロジロと見られたので、トキオとクロアは恥ずかしくてずっと下を向いていた。



 トキオの屋敷に入ると、先頭の馬車は脇に避けたが、トキオの馬車も一緒に脇に避けて、ゴットハルトの馬車を先頭に、王様の馬車をその次に行かせる形になった。


 そして、王様の馬車が通り過ぎると、すぐにトキオの馬車がその後ろに入った。


(え?なんかうちの馭者さん、すっかり心得てる感じだけど、どういうこと?)

 トキオは不思議に思った。


 屋敷の玄関が近づいて来たのでトキオが見ると、セバスチャンとメイドの二人がいつものように玄関先に立って待っていた。

 しかし、その顔には少しも驚いた様子がなかった。


「なんか、3人とも全然驚いてないように見えるんだけど」

「ホントだわね・・・ああ、敷地に入って来た時に王様の馬車だってわかったから、近づくまでに気持ちを落ち着かせたんじゃないの?」

「ああ、なるほどね」


 トキオたちがさらに見ていると、ゴットハルトの馬車は玄関を通り過ぎてから止まり、王様の馬車は玄関の真ん前で止まった。


 トキオたちの馬車は、当然、そのすぐ後ろで止まったので、トキオが降りようと腰を浮かせたら、クロアが腕を掴んで引き止めた。


「バカね!王様が降りるまで降りちゃダメよ!」

「・・・あ、そんなものなのか」


 トキオが座りなおして王様の馬車を見ていると、玄関とは反対側のドアから従者と思われる男が降りて来て馬車の後ろを素早く回ると、玄関に面した方のドアを開けた。


 そこから、王様がゆっくりと降りて来た。


 そこで、セバスチャンとメイドの二人は深々とお辞儀をすると、セバスチャンが言った。


「これはこれは国王陛下、ようこそお越しくださいました」


 王様は、2、3歩近寄ると言った。


「セバスチャン、久しぶりだな。それに、メアリーとジェーンも。元気だったか?」

「はい。トキオ様が良くしてくださいますので、3人とも健康そのものでございます」

「国王陛下、ご無沙汰しております」

「お変わりないようでなによりでございます」

 セバスチャンが答えると、メアリーとジェーンもそう言った。


「それは良かった。では、少しお邪魔するぞ」

「はい。こちらへどうぞ」



 トキオとクロアは、予想外の光景に座ったままあっけにとられていたが、馭者から声をかけられて我に返った。

「ご主人様、国王陛下をエスコートされないとまずいですよ」


「え?・・・そうか!」

 トキオがあわてて馬車から飛び出すと、クロアもその後に続いた。

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