ー終わりの始まりー
これは戦場でもがく一人の日本人兵士の話である
2035年 一月 ロシア連邦が突如としてモンゴル・カザフスタンの二国へ侵攻を開始
六月 ロシア連邦、モンゴル・カザフスタン占領
七月 ロシア連邦に対し、アメリカ合衆国が宣戦布告
2036年 一月 中華人民共和国、ロシア連邦に賛同しネパール・ブータン王国に侵攻開始
同月 イギリス・フランス・ドイツ・日本が対露中参戦を決定
二月 中国、侵攻していた二国の併合を完了する
四月 英・仏・独・日と米が連合国軍を結成し対露・中参戦し、第三次世界大戦勃発
六月 露・中両国軍、独[ベルリン・ミュンヘン]日[名古屋・大阪]に核兵器を使用、日独あわせて430万人近くの死者が出る
同月 連合国軍、露[モスクワ・サンクトペテルブルク]中[北京・重慶・広州]に核兵器を報復使用し5500万人余りの死者が出る
9月 日本、25歳以上男性の徴兵を閣議決定。また国防技術開発本部により次世代可変戦闘機の開発に着手
2037年 二月 国際連合、世界人口が70億人を下回ったことを発表。主な原因は世界大戦と核の冬による食糧難。
四月 北朝鮮が露・中軍に合流し、韓国・釜山へ核兵器を使用。同月中に占領。
七月 露・中・朝合同軍、に東欧各国が合流する。
十月 露軍、北海道本島への侵攻を開始、宗谷海峡での戦闘で日露あわせて10万人の死者が出る
その他世界各地での戦闘が激化し、核の冬、食糧難が加速度的に進む
2038年 二月 国際連合、世界人口が50億人程になったと発表。
三月 日本、開発していた可変戦闘機の試作機の運用を開始。
四月 日本、可変戦闘機の実践投入。露軍の戦闘機部隊・戦車部隊を壊滅させる。この結果を受け、正式採用を決定する。
七月 米軍、アフリカや東南アジア諸国へ兵器供与を開始
12月 露軍、シドニーに対し、ICBMを発射するも迎撃に成功
2039年 一月 日本、可変戦闘機「39型可変攻撃機」として部隊への配備を開始、また連合国軍にデチューンモデルの設計図等のデータを公開した。
二月 国際連合、地球人口が45憶人を下回ったことを発表
三月 フランスで配備されていた可変機が露軍により撃墜され、合同国軍での解析が始まる。
七月 合同国軍、コピーした可変機の配備を開始する
十月 合同国軍、赤のハロウィン作戦を決行。各地の連合国軍基地へ奇襲攻撃をかけ、米ラングレー基地・英マンチェスター基地・豪メルボルン基地を壊滅させる。
第三次世界大戦が世界各地に飛び火、各地で散発的に使用される核兵器により、核の冬が訪れる
2040年7月現在、地球総人口が30億人を下回り、核の冬の影響で平均気温が10度以上下がる
俺は読んでいた新聞を閉じ、ふと窓の外を見た。今日は7月一日、もう夏だというのに外では灰色の雪が降っている。
大戦がはじまり、世界各地で使われた核爆弾のせいで地球から季節というモノがなくなってしまった。
「夏は暑かったはずなんだけどな...」ぽつりとつぶやいた。
「サボっているヒマがあれば少しは国のために役に立とうとしたらどうだ?」
威圧感たっぷりのセリフを投げかけられ、顔を上げるとそこには、俺が所属する第32機動中隊の副長、石川大尉がいた。
「桧山准尉、やる気がないなら戦場で死んでこればいい」こいつはいつもこうだ。自分がイラついているときにすぐ人に当たり散らす小心者。
俺は椅子から立ち上がり大尉にこう告げた。
「お言葉ですが大尉、本日私は非番です。」あぁ、こんなことを言っても何も聞き入れられやしないんだろうな、考えながら待っていると、
大尉お決まりの教育的指導が始まった。てめえみてえな小心者こそ戦場で死んで来いと言ってやりたい気持ちを抑えて俺は大尉のサンドバッグになる。
20分後、指導という名の個人的な憂さ晴らしも終わり、大尉は去っていった。
「災難でしたね、桧山准尉」と32中隊のオペレータ、松山曹長から声を投げかけられた。俺は少々大げさに肩をすくめて「助け舟を出してくれてもよかったんじゃない?」
と答える。すると曹長は、遠慮しますねと微笑んでオペレーションルームに戻っていった。
確かに今日は非番だ。しかしまた明日からは地獄のような戦場に出なければならないということを意識して憂鬱な気分になる
戦闘に行く度、隊員が戦死していくというのに、いつまでたっても増援は来ずジリ貧だ。せめてもうあと二人いればな...と思いフッと笑った。
この終わりの見えない戦争はどこに向かうのだろうか。この間新聞で「地球は持ってあと一年」という記事を読んだのを思い出した。
戦争が終わるのが先か、地球が壊れるのが先か明日の見えない世界で俺は生きている。
「しょうがない、これ以上ここにいて大尉に会いたくもないし、少し早いが寝るか」という結論に至った俺は自室に向けて歩き出した。
明日はロシア軍が攻めてきませんように、と願いながらシャワーを浴び、床につく。
この時俺は、自分の目の前に終局へのカウントダウンが迫っていることを知る由もなかった....
地球崩壊まであと365日




