召喚
俺がいつものように、会社に向かう途中、前を歩く女子高校生の集団と一緒に白い光に包まれ視界が戻ったと思ったら、すぐ目の前に
「よくぞ参られた、我らが世界を救う異世界からの勇者達よ」
と語りかけてくる爺さんと俺らを囲むように立つなかなか腕が立ちそうな強面の鎧を着けたおっさんの集団。
爺さんの言葉を信じるなら、俺はいわゆる異世界からの勇者召喚ってやつにあったみたいだ。
しかし普通、こんな時って呼ばれて最初に出会うのは、美人な姫とかイケメンの王子とかじゃないのと思った俺は悪くないと思う。
そんな現状把握をしつつどうでもいいことを考えてると
「ここどこ?お爺ちゃんだれ?勇者っていきなりなに?」
と一緒に召喚された女子高校生の中でも気の強そうな娘が爺さんに怒鳴り返してる。怒鳴り変えしただけで周りのおっさんたちが腰の剣に手を掛けた。この爺さんかなりの重要人物のようだ?
「おお、これは失礼した勇者殿よ、儂はこの国、ガルファインの国王、ブレンというしがない爺じゃ」
爺さん手でおっさんたちを制止しつつ、こちらを落ち着かせようと優しい声色で語りかけてくるが、強面のおっさんに囲まれた状態でしかも爺さんに優しくされたって嬉しくない、むしろ怖いぐらいだ
しかし国王か、思ったより位が高った。でも、おっさんたちが警戒するのも納得がいった、こんなところで自国の王に怪我でもされたら、国のありかたによったら、文字通り首が飛びそうだ。
「ぼっぼ、ぼ、僕たちをどうするつもりですか…」
案の定、一番気の弱そうな娘が今にもショック死しそうな声で爺さんに問いかけいる。しかも今時、僕っ娘とは珍しい。
「そうよ!お爺ちゃんが王様とかどうでもいいのよ。あたしたちをどうするつもり!」
と言いながら、気の強そうな娘が、僕っ娘を守るようにして国王様との間に出てきた、さながら姫様を守る騎士様みたいだ。
「葛城さん落ち着きなさい! 国王様に失礼よ。」
「御崎君も落ち着いて」
今時珍しい黒髪の真面目そうな娘が2人を落ち着かせようと冷静になだめる。しかし、この娘いままで俺と同じように状況をを把握しようと周りを窺っていたし、これぐらいの年齢にしてはかなり落ち着いた感じだ。
「そう。北条の言うとおり。今は、大人しく、この人たちの指示にしたがったほうがいい」
と残った最後の眼鏡っ娘が周囲の様子を見つつ、真面目そうな娘の言葉を補完する。
しかし、この娘たち4人が4人ともタイプが違って、どのような関係だろうか?俺が学生の頃はだいたい似たようなタイプの人間でグループを作ってたけど、時代が変わったのか?
「落ち着いてくれて何よりじゃ。ここではなんじゃ、ゆっくり説明もできまいて、場所を移そうかの」
「そちらの方もよろしいか?」
とおっさん臭いことを考えてると、国王様が俺に声をかけてきた。皆の視線が俺に集まってきた。
おいおい、僕っ娘と気の強うそうな娘の2人、今初めて俺のことに気づきましたって顔してるぞ。やっぱりそれが普通だよな。
む、早く返事をせねばおっさんたちが俺へ警戒の視線を出し始めた。
「ああ、構わん」
「うむ、それでは少し歩くが貴賓室に準備ができておるので、そこまで行くとするか」
「ついて参れ」
さてどんな世界なんだろなぁ、ここは?
※ ※ ※
「お待ちしておりました。ではまずは勇者様たちの能力を調べる準備が終わるまでの間に私の方から、この世界の現状と、勇者様たちを呼ぶことになりましたいきさつを説明させて頂きたいと思います。」
「この世界は500年前より邪神の眷族である魔獣とその王たる8体の魔獣王による侵略を受けております。この魔獣どもは邪神の加護により通常の攻撃はほぼ通じません。しかしこの世界管理者たる女神様は奇跡で我ら人にもスキルと呼ばれる力を与えられたのです、このスキルに則った攻撃であれば魔獣どもの加護を削っていき止めをさせるようになったのです。しかし、このスキルの中でも戦闘系のスキルを発現するものは少なく、我ら人と魔獣どもの間に均衡が生じただけに止まり、奴等の王にいたっては倒すことはできず、魔獣どもがこの世界に住むものにとっての脅威には変わなかったのです。ここまではよろしいですか?」
部屋に案内されて、据わった途端に部屋の中で待っていた気難しそうな爺さんがいきなり俺たちに落ち着く間もあたえずにこの世界の説明を始めた。いきなり過ぎて情報整理が追い付かない。高校生たちも国王様も呆気にとられてる。
「だいたいわかった。要約すると魔獣に止めをさすには戦闘スキル持ちがいるってことと、戦いに使えるスキルを発現するのがレアで戦力が増えにくいから、魔獣を駆除できないってこね」
「あと、戦いに使えるスキルの発現が少ないいっていうのが私たちを召喚した理由に繋がるのでしょ」
と眼鏡っ娘が爺さんの話を整理してる。どうやら彼女は爺さんの話を聞いて理解したみたいだ。
「おお、その通りです。スキルを発現する方法ですが、ごく稀に生まれつき何らかのスキルを持って生まれてくるもの、長い間熟練を積み適正があれば発現するもの、称号を手に入れた際に称号に付与された2つのスキルも同時に手に入れることの3つだけしかありません。しかもその中でも戦いに使えるスキルはわずか一握りです。そこで勇者様たちの召喚です。女神様より、200年前、異世界召喚の儀式を与えられとともに異世界から召喚される勇者には強力な戦闘系スキルが付与された称号を与えることを約束すると神託を頂き、この度が3度目の召喚となります。しかし、過去の勇者様たちは4体の魔獣王を討伐することによって我ら人の生活領域を広げることに成功はしましたが、いまだに残りの魔獣王たちにより我らの脅威になっています」
「しかし過去2度の儀式では召喚された勇者様はお一人だったのに今回は5人も召喚されると・・・ガハッ」
「やめんか馬鹿者!!」
「ガイウス、なぜおぬしがここにおる!」
眼鏡っ娘の言葉に反応してさらに説明を続ける爺さんを正常復帰した国王様が怒鳴りながら殴って止めている。この爺さんは向こうさんとしても予定外の登場だったようだ。
「すまんかったの、本当は落ち着いてか我らの紹介と、勇者様達の名を聞こうと思っておったのじゃが、このスキル馬鹿のせいですべて台無しじゃ」
「改めて、名乗らせてもらう儂の名はこの勇者召喚の儀式の管理と運営を行っておる、ガルフィン王国、国王ブレン・ガルフィス・ミーティアという」
先ほど召喚された時は近所のお爺ちゃんって感じの柔らかい声音のとは違う威厳をまとった重厚な名乗りだ。
「そして、こちらのものが、我が国が誇るスキル研究所の責任者のガイウス・アルバートじゃ」
国王様が先ほど自分で殴って床に沈めた爺さんを紹介てくる。しかし爺さんは起き上がらずになにかブツブツとつぶやいている。正直少し怖いんだが。眼鏡っ娘を除いたほかの娘たちも少し引き気味になってるし。
「勇者様達の名もきかせてく・・・
コンコン
戸を叩く音で国王様の言葉が途切れる
「陛下、識者の腕輪の準備が整いましたのでお持ちしました」
国王様が許可を出す前に戸を開き冷たい感じの美人さんが腕輪の乗った台車を押して入ってくる。
「はぁ・・・。なぜ研究所の連中はそろいもそろって間が悪いうえに、常識がないんじゃ」
国王様がため息をついてこちらにもかろうじて聞こえる声でつぶやく。この美人さんもさっきの爺さんと同じ所の人らしい。
「おほん、勇者様達の自己紹介をとも思ったのじゃが、能力判定の際に名前もわかるので先にそちらからとしようかのう」
咳払いをすると、国王様が先ほどの美人さんが持ってきた腕輪を指しながら言った。