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 オカルト研究部の5人がバスを降りました。そこはちょっとした商店街。千可ちゃんがリモートビューイングで見た場所です。ただし、リモートビューイングで見た光景は夜でした。と、千可ちゃんは思わずそのことを口にしてしまいました。

「この前は夜だったのに、今日は昼間なんですね」

 その一言に蓑田さんが反応しました。

「あれ、なんで夜行ったこと、知ってんの?」

 浜崎さんも福永さんも城島さんもその発言に反応しました。特に城島さんはこんな発言を。

「わかった、羽月さん、やっぱり霊感があるんだ!」

 まさにその通りなのですが、それは絶対露見してはいけないこと。千可ちゃんはここはごまかすことにしました。

「もう、この前話したじゃないですか。夜に行ったって」

 浜崎さんはその言葉にさらに疑問が浮かんだようです。

「それ、誰が言ったの?」

「城島さん」

「ええ、私?」

 突然の指名に城島さんはびっくり。

「ほら、2日前、城島さんの家で」

 城島さんは自分の家の玄関で千可ちゃんに介抱されてる自分を思い浮かべました。

「あの時かなあ・・・」

 念を押す千可ちゃん。

「あの時ですよ」

 城島さんはまだ疑問に思ってますが、他の3人は納得したようです。でも、城島さんはあのとき「廃ホテルに行った」とは言いましたが、「夜廃ホテルに行った」とは言ってませんよね。


 小さい商店街を過ぎると、5人は右に曲がりました。そこから約500メートル坂道を登ると、ようやく廃ホテルが見えてきました。昼間でも何か出てきそうなヤバい廃ホテルです。

「どう、羽月さん、何か見える?」

 城島さんが千可ちゃんに問いかけてきました。千可ちゃんは呆れました。で、わざと大きな声でしゃべりました。

「だから~ 私は霊能力者じゃないって!」

 城島さんは心底千可ちゃんは霊能力者だと思ってます。でも、正直なことを書くと、他の3人はかなり懐疑的でした。オカルト研究会(オカルト研究部)に入ってもらうために、わざと城島さんに話を合わせてたのです。

 蓑田さんがビデオカメラを取り出しました。

「よーし、今日こそは絶対幽霊を録ってやるぞーっ!」

 千可ちゃんはそれを見て、

「ビデオカメラですか?」

 その質問に今度は福永さんが答えました。

「うん。この前ずーっとこのカメラで撮影してたんだけど、なぜか初めの部分しか映ってなかったんだ。ちゃんと録画したはずなのに・・・」

 千可ちゃんはここでピーンとひらめきました。

「今日は私が録りましょう!」

 蓑田さんはちょっとびっくり。

「えっ?」

「こーゆーことは、新人がやるものですよ」

 千可ちゃんは蓑田さんからビデオカメラを受け取りました。そして録画方法を蓑田さんから手短に教えてもらいました。

 実はこれは、千可ちゃんの作戦です。昨日千可ちゃんはこの廃ホテルに巣食う悪霊を全部退治しました。でも、千可ちゃんの襲撃を隠れてうまく交わした悪霊が潜んでいるかもしれません。そんな悪霊がビデオカメラに映るとまずいので、幽霊が見える千可ちゃんは悪霊を避けて撮影する気なのです。

 でも、廃ホテルに悪霊の気配はまったくありませんでした。5人で廃ホテルの中をくまなく歩きましたが、千可ちゃんの目には、ザコ以外の悪霊は映りません。もちろん千可ちゃんがリモートビューで見た浜崎さんの暴走はありませんでした。

 5人が廃ホテルの玄関前に戻ってきました。

「どう、何か映ってる?」

 福永さんが千可ちゃんが持っていたビデオカメラを受け取りました。さっそくビデオカメラに内蔵されてるミニ液晶画面で再生。それを福永さん、浜崎さん、蓑田さん、城島さんが見てます。

「今回はちゃんと録画されてるね」

 この発言は福永さん。蓑田さんがそれに応えました。

「きっと何か映ってるはず。大画面のテレビで見れば・・・」

「じゃ、私の家で確認しましょう!」

 と言うと、浜崎さんはスマホを取り出し、ピッピッピッと操作。するとなんとタクシーが2台も来ました。千可ちゃんはバスで来たものだからバスで帰ると思ってたので、これにはびっくり。

「ええ?」

 千可ちゃんは浜崎さんを見て、

「浜崎さん、お金は?」

「ふふ、大丈夫、大丈夫」

 2台のタクシーが後部座席のドアを開けました。その1つに浜崎さんが乗ろうとします。

「さあ、みんな、乗って!」

 先頭のタクシーには浜崎さんと千可ちゃんが、後方のタクシーには福永さんと蓑田さんと城島さんが乗りました。

 車中、福永さんたちはずーっと幽霊のことを話してましたが、浜崎さんと千可ちゃんは、なぜかウィッグの話をしてました。浜崎さんと千可ちゃんは会話が弾んでるようです。

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