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千可ちゃんが右腕を掲げると、その右手に細長い何かが現れ、強烈な光を放ちました。
「うぎゃーっ!」
その光を浴び、半分くらいの悪霊が霧散しました。でも、残り半分は千可ちゃんに突進してきます。強烈な光を浴びても消えない悪霊たちです。さらにハイレベルな悪霊と推定できます。
千可ちゃんの右手の物体は、60センチくらいの脇差と呼ばれるむき身の日本刀でした。どこから取り出したんでしょうか?
「さぁーっ!」
千可ちゃんは気合を入れると、その刀を居合い抜きのように真横にさっと払いました。すると刀の切っ先から光線が発生し、その光線が横一文字になり、悪霊すべてを真っ二つにぶった斬ってしまいました。
わずか1分足らずの攻防。それですべての悪霊を片づけてしまったのです。恐るべき、千可ちゃん!
千可ちゃんの右手の刀は微粒子のようになり、ふーっと消えました。それから千可ちゃんは廃ホテルの中を巡って、まだ残ってる悪霊たちをサーチ。けど、残った悪霊はすべてザコ。浜崎さんに憑りついて悪さをする悪霊はいないようです。
千可ちゃんは満足した表情を見せ、自転車に乗って帰りました。かなり気分がいいようで、鼻唄を歌ってます。これまであまり喜びを表現したことがなかった千可ちゃんですが、やっと女の子らしい顔になりました。
翌日は土曜日、千可ちゃんが通う高校はお休みです。千可ちゃんが約束の時間最寄りの駅前に行くと、オカルト研究会の4人はすでに揃ってました。千可ちゃんはびっくり。
「み、みなさん、早いですねぇ・・・」
「みんな、こーゆーことが好きだからねぇ。オカルト研究会では朝9時に集合と言ったら8時には集合してるんだよ」
と、浜崎会長。
「ええ、1時間も待ってたんですか?」
さすがの千可ちゃんも、この心霊マニアの行動は理解できないようです。けど、今日は決断するためにやってきました。千可ちゃんは福永さんに話しかけました。
「福永さん、入部届の用紙、持って来ましたか?」
その発言にみんなびっくりです。
「え、ええ? もしかして、うちに入ってくれるの?」
その浜崎さんの発言に、千可ちゃんは微笑んで応えました。
「はい」
「やったーっ!」
みんな、大喜び。浜崎さんは福永さんを急かしました。
「は、早く、用紙を出して!」
「は、はい!」
福永さんは紙ばさみに挟まれた入部届の用紙を取り出しました。そしてそれを千可ちゃんに差し出しました。
「お願い!」
千可ちゃんは微笑んでそれを受け取りました。
「はい」
千可ちゃんはさっそくその紙に署名しました。そしてそれを逆さまにして、福永さんに返しました。
「これでいいですか?」
「ありがとう!」
福永さんはたいへん喜んでます。いや、福永さんだけではありません。みんな喜んでます。ここで蓑田さんの発言。
「これでまた部に戻れる・・・」
その発言に千可ちゃんはびっくり。
「ええっ?」
「あは、本当のこと言うとね、オカルト研究会はもともと部だったんだけど、4人になって部の最低人員を満たさなくなったから、仕方なく同好会として活動してるんだ」
ここまでは浜崎さんの発言。ここからは福永さんの発言。
「同好会だと学校から活動費が出ないから、部になるとほんと助かるんだよ」
「あは、そうだったんだ」
千可ちゃんはちょっと苦笑いです。
パスが来ました。出発です。
バスの中、オカルト研究会改めオカルト研究部は、後ろの方に陣取りました。千可ちゃんの後ろに座った浜崎さんは、なんか千可ちゃんの頭髪が気になってます。
「あなた、なんでこんなに髪の毛短くしてるの?」
「あは、すごいくせっ毛なもので、あまり伸ばせないんですよ」
「へ~ 私と一緒だ」
と、浜崎さんは両手を後頭部に回しました。すると、なんと、美しくカールしたロングヘアが取れてしまったのです。実は浜崎さんは千可ちゃん同様ひどいくせっ毛で、そのせいで髪の毛を伸ばすことができないので、ウィッグを使ってたのです。千可ちゃんは関心しきりです。
「ふぁ~」
「どう、羽月さんもウィッグ使ってみる?」
「い、いいんですか?」
「いいわよ、入部してくれたお礼に、1つ上げるよ」
「あ、ありがとうございます」
千可ちゃんの目がキラキラ輝いてます。実は千可ちゃんは、お母さんみたいなロングヘアに憧れてたのです。もし自分がロングヘアだったら、男の子にモテモテになると信じていたのです。




