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3年2組です。ここには長谷川の手下の1人、今田がいます。今体育の授業中で、グランドで走り幅跳びをやってます。生徒たちが1列に並んで順番に跳んでます。その中に今田がいました。
「あ~ めんどくせーなー」
今田の順番が来ました。先生が合図しました。
「よーし、次。今田、跳べ!」
「は~い」
今田が駆け出しました。と、その瞬間、今田の目の前にチカちゃんがふーっと現れました。もちろんその存在は、今田を始め、その場にいる者全員が気づいてません。
この光景をリモートビューで見ている千可ちゃんがつぶやきました。
「死ね!」
チカちゃんと今田がすれ違った瞬間、チカちゃんは今田を妖刀キララで真横にぶった斬りました。
「ケケケケ」
その瞬間、今田の脚がもつれました。
「えっ?・・・」
今田がぺしゃっと転びました。それを見た担当の先生が、
「お、おい、今田、どうした?」
先生が今田に近づくと、今田は泡を吹いてました。その目には生気がありません。先生は驚きのあまり、腰を抜かしてしまいました。
「うわーっ! し、死んでる!」」
これをリモートビューで見ている千可ちゃんが、また大喜びです。
「へへ、ざまー!」
3年5組です。このクラスには長谷川の子分の柏木と長谷川自身がいます。遠くの方から救急車の音が響いてきました。その音に柏木と長谷川が反応しました、
「ん、救急車?」
突如1人の先生がこのクラスに飛び込んできて、この教室の先生に耳打ちをしました。するとこの教室の先生は顔色を急激に変えました。
「え、1組の佐々木と2組の今田が心肺停止になったって?」
それを聞いて長谷川と柏木が驚きました。
「なんだって?」
その瞬間、柏木の心臓がドックンとなりました。
「う?」
柏木の背後には、妖刀キララを逆手に持ったチカちゃんが立ってます。チカちゃんはいつものように不気味に笑ってます。
「ケケケケ」
この光景を千可ちゃんがリモートビューで見ています。千可ちゃんは軽く笑いました。
「へへ。残すは長谷川だけか! よーし・・・」
が・・・ バシッ! 千可ちゃんの頭に突然教科書が降ってきました。これはこの教室の先生の仕業でした。
「こら、羽月、何ぼけーっとしてるんだ?」
「す、すみません・・・」
千可ちゃんは心の中で思いました。
「ちぇっ、あともうちょっとで全員やっちまったのに・・・」
仕方がありません。千可ちゃんはしばらくは真面目に授業を聞くことにしました。
あれれ? 千可ちゃん、何か大事なことを忘れてませんか? あなたの霊体は指示待ちの状態で3年5組の教室に佇んだままですよ。
その3年5組です。柏木の身体が床にごろんと倒れました。
「お、おい、どうした、柏木?」
先生が柏木に駆け寄ってきました。が、長谷川がその先生を突き飛ばしました。
「邪魔だよっ!」
先生は数メートル吹き飛ばされ、生徒の机に激突。
「うぐぁ!」
そこに座ってた女子生徒も巻き添えをくらいました。
「うぎゃっ!」
長谷川は片ひざをつき、柏木の上半身を抱きかかえました。
「おい、どうした? 何があった?」
「殺される、殺されるよ・・・」
そう言うと、柏木の首はガクンとなりました。どうやら事切れたようです。長谷川の身体にショックが走りました。
「な、何が起きてんのよ、いったい?・・・」
「きゃーっ!」
突然女子生徒の1人が悲鳴をあげました。長谷川は振り向いてその女子生徒を見ました。女子生徒は長谷川のすぐ横を人差し指で差して震えてます。長谷川はけげんな顔で質問しました。
「な、何?」
「そ、そこに日本刀を持った幽霊が立ってる・・・」
「ええ? どんな幽霊?」
「お、女の子・・・ 髪は短くって、背は低くって、胸が大きくって・・・ うちの制服を着てる・・・ これは生霊?・・・」
なんとこのクラスには見える人がいました。女子生徒はさらに幽霊の顔を見ました。
「この顔は・・・ え、2年の羽月さん?」
途端に長谷川はブチ切れました。
「なんだって? 羽月?・・・ あんにゃろーっ、ぶっ殺してやるーっ!」
長谷川は廊下に飛び出しました。




