表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/55

5-5

 2人は自分の教室に帰りました。けど、昼休み終了間際になって、戸村くんが1人で戻ってきました。千可ちゃんはその戸村くんを見て、ちょっとびっくり。

「ん、どうしたの?」

「あの~ 何をするんですか?」

 すると千可ちゃんは不敵に笑って言いました。

「呪い殺す。当然よ」

 ああ、やっぱり・・・ 戸村くんはなんとなくこう言うんじゃないかと思ってましたが、まさかほんとうに言うなんて・・・

 千可ちゃんの言葉は、いつの間にか怒りに変わってました。

「権力を傘に弱い者イジメするなんて、私、絶対許せない! こいつら、全員、死んじまえばいいのよ!」

 ちょっと前の千可ちゃんだったら、こんな言葉は絶対使わなかったはず。千可ちゃんはお母さんが亡くなったのを機に、明らかに人格が変わってしまいました。戸村くんの嫌な予感は増大しました。

 ま、戸村くんも長谷川一派は死んじまった方がいいと思ってます。けど、千可ちゃんが人を呪い殺すなんて考えたくもないのです。でも、冷静になって考えたら、戸村くん自身も千可ちゃんに呪い殺されたことがあるんですよね・・・

 ちなみに、千可ちゃんのお母さんが亡くなった今、千可ちゃんを霊能力者と認識してる存在は戸村くんだけです。もう1つ書けば、戸村くんは千可ちゃんと森口くんが毎日セックスしてることをかなり前から知ってました。なんとなく霊視で見てしまったようです。


 さて、千可ちゃんはいろんな方法で人を呪い殺すことができます。その中でもっとも手っ取り早い方法は、生き霊のチカちゃんを使って妖刀キララで斬り殺すこと。でも、ターゲットの名前は判明してますが、顔まではわかりません。そこでリモートビューを併用することにしました。

 昼休み明けの授業が始まりました。千可ちゃんも授業を受けてます。でも、心はここにあらず。今リモートビューを使って3年1組の教室をのぞき込んでます。1組には長谷川の子分の1人、佐々木がいます。

 1組の全景です。画面はモノクロになってます。けど、女子の1人の身体が真っ赤に変色してます。そうです。こいつが佐々木です。千可ちゃんのリモートビューは、名前さえわかれば、そいつがどこにいるのかわかってしまうのです。

 千可ちゃんがニヤっとしました。

「見~つけた。

 チカちゃん!」

 千可ちゃんがそう言うと、佐々木の横にふーっとチカちゃんが現れました。でも、チカちゃんは生霊、つまり幽霊です。霊能力がない一般人が肉眼で見ることはできません。誰もチカちゃんの存在に気づいてないのです。

 チカちゃんの右手には妖刀キララが握られてました。これは山上静可が使ってた妖刀キララの太刀です。いつの間にか千可ちゃんの持ち物になってました。

 この刀は肉体を斬ることはできませんが、幽体や霊体を斬ることができます。もし生きてる人間を斬ったら、斬られた人は心臓麻痺のような症状で死んでしまいます。千可ちゃんはこれで佐々木を斬り殺すようです。

 千可ちゃんが心の中で叫びました。

「死ね!」

 するとチカちゃんが太刀を振り上げました。

「ケケケケ」

 グサッ! 突如佐々木の身体に衝撃が走りました。

「うぐっ!」

 佐々木は机に上半身を被せるように倒れました。それを見た先生が、

「おい、佐々木、どうした?」

 先生が佐々木のところに来ると、誰も触れてないのに、佐々木の身体が床にばさ~っと崩れ落ちました。次の瞬間、クラスのいたるところから悲鳴が上がりました。先生もパニックになってるようです。

「お、おい、保健室の先生を呼べ! いや、救急車だ! 救急車っ!」

 この大混乱をリモートビューで見ている千可ちゃんは大喜びです。心の中でガッツポーズをしました。

「やったーっ!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ