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5-3

 火曜日の放課後です。ここは高校の屋上。穏やかな春の晴天下、ギターの音色が響いてます。千可ちゃんがガットギターを爪弾いてるのです。傍らには森口くんの姿もあります。ペントハウスのドアが開き、よう子ちゃんが入ってきました。

「あ、ここにいた。

 先輩、今日は部活はないんですかぁ?」

 千可ちゃんはギターを爪弾く指を止めました。

「うん。オカルト研究部は基本金曜日しか活動してないんだ」

「へ~」

 よう子ちゃんが千可ちゃんのギターに注目しました。

「ふぇ~ ギターですかぁ」

「うん。ほんとうはオカルト研究部で弾きたいんだけど、あそこで弾くとうち部長が、うちは軽音部じゃない! て怒るんだよ」

「だから屋上で弾いてるんですかぁ」

「うん」

 千可ちゃんは再びギターを弾き始めました。そのメロディを聴いてよう子ちゃんは驚きました。

「うわ~ すごいギターテクですねぇ」

 千可ちゃんはギターを弾きながら応えました。

「これ、クラシックギターの練習曲だよ」

「クラシックギターですか・・・」

 ここでよう子ちゃんの脳裏にあるメロディが思い浮かびました。

「先輩、あの曲弾けますか?」

「あの曲て?」

「う~んと・・・ こんな曲ですよ」

 と言うと、よう子ちゃんは「タンタンタン・・・」と口でメロディを爪弾きました。それを聴いて千可ちゃんはすぐになんの曲かわかりました。

「あ、愛のロマンスね」

「あれ? そんなタイトルじゃなかったっすよ」

「あは、もしかして禁じられた遊び?」

「そうそう、そんなタイトル」

「あの曲は禁じられた遊びて映画で使われたから、世間では禁じられた遊びてタイトルになってるけど、ほんとうのタイトルは愛のロマンスていうんだよ。

 あの曲は本来12弦ギターなんだけど、6弦ギターでもいい?」

「あは、いいですよ」

「OK」

 と言うと、千可ちゃんはギターを弾き始めました。そのメロディはとても美しく、よう子ちゃんはがらにもなく傾聴してます。森口くんも聴き入ってました。


 ボロロ~ン 千可ちゃんは最後の1音を弾き終わりました。するとよう子ちゃんは歓喜の声をあげました。

「す、すごい! すごいですよ! 1本のギターで弾いたとは思えないくらいのテクニックですよ!」

 千可ちゃんはちょっと赤くなって、

「そ、そう? これもガットギターの練習曲の1つなんだけど・・・」

 よう子ちゃんはふと森口くんを見ました。

「先輩てあの人といつも一緒にいますねぇ。仲がいいんですか?」

「ま、そんなところね」

「もうエッチしてるんですかぁ?」

 それはあまりにもストレートな質問でした。千可ちゃんの顔はあっという間に真っ赤になってしまいました。

「な、なんでそんなこと訊くのよ!」

 森口くんの顔も真っ赤になってます。よう子ちゃんはこの2人の反応を見て、

「あ~ この反応、もうやってますねぇ」

「まぁ、してるけど」

 なんと千可ちゃんはあっさりと認めてしまいました。この応答に森口くんは再度びっくり。

「千可ちゃん!」

「いいじゃん、別に。同じクラブの子だよ。今さら隠すことないじゃん」

 千可ちゃんはよう子ちゃんの顔を見て、

「毎日やってるよ。多い日は5回も中出ししてもらってるよ」

 森口くんはかなり慌ててます。

「ちょ、ちょっと!」

「中出しって・・・ 妊娠は怖くないんっすか?」

「う~ん、それがまだなんだよなあ・・・」

「ふぇ~ 先輩、妊娠したいんですか?」

「うん。だって私、女だもん。

 あ、私たちが毎日セックスしてるって話、みんなには内緒だからね」

「わかってますよ」

「絶対内緒だからね!」


 けど、よう子ちゃんにそんな釘刺しは意味がありませんでした。翌日よう子ちゃんは登校すると、さっそくあちらこちらに触れ廻ったのです。千可ちゃんと森口くんが毎日セックスしてることは、ほんの2・3時間で高校のみんなが知ってしまうことになりました。

 一番慌てたのは職員室。しかし、千可ちゃんも森口くんも1度も問題を起こしたことがありません。しばらくは静観することになりました。

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