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火曜日の放課後です。ここは高校の屋上。穏やかな春の晴天下、ギターの音色が響いてます。千可ちゃんがガットギターを爪弾いてるのです。傍らには森口くんの姿もあります。ペントハウスのドアが開き、よう子ちゃんが入ってきました。
「あ、ここにいた。
先輩、今日は部活はないんですかぁ?」
千可ちゃんはギターを爪弾く指を止めました。
「うん。オカルト研究部は基本金曜日しか活動してないんだ」
「へ~」
よう子ちゃんが千可ちゃんのギターに注目しました。
「ふぇ~ ギターですかぁ」
「うん。ほんとうはオカルト研究部で弾きたいんだけど、あそこで弾くとうち部長が、うちは軽音部じゃない! て怒るんだよ」
「だから屋上で弾いてるんですかぁ」
「うん」
千可ちゃんは再びギターを弾き始めました。そのメロディを聴いてよう子ちゃんは驚きました。
「うわ~ すごいギターテクですねぇ」
千可ちゃんはギターを弾きながら応えました。
「これ、クラシックギターの練習曲だよ」
「クラシックギターですか・・・」
ここでよう子ちゃんの脳裏にあるメロディが思い浮かびました。
「先輩、あの曲弾けますか?」
「あの曲て?」
「う~んと・・・ こんな曲ですよ」
と言うと、よう子ちゃんは「タンタンタン・・・」と口でメロディを爪弾きました。それを聴いて千可ちゃんはすぐになんの曲かわかりました。
「あ、愛のロマンスね」
「あれ? そんなタイトルじゃなかったっすよ」
「あは、もしかして禁じられた遊び?」
「そうそう、そんなタイトル」
「あの曲は禁じられた遊びて映画で使われたから、世間では禁じられた遊びてタイトルになってるけど、ほんとうのタイトルは愛のロマンスていうんだよ。
あの曲は本来12弦ギターなんだけど、6弦ギターでもいい?」
「あは、いいですよ」
「OK」
と言うと、千可ちゃんはギターを弾き始めました。そのメロディはとても美しく、よう子ちゃんはがらにもなく傾聴してます。森口くんも聴き入ってました。
ボロロ~ン 千可ちゃんは最後の1音を弾き終わりました。するとよう子ちゃんは歓喜の声をあげました。
「す、すごい! すごいですよ! 1本のギターで弾いたとは思えないくらいのテクニックですよ!」
千可ちゃんはちょっと赤くなって、
「そ、そう? これもガットギターの練習曲の1つなんだけど・・・」
よう子ちゃんはふと森口くんを見ました。
「先輩てあの人といつも一緒にいますねぇ。仲がいいんですか?」
「ま、そんなところね」
「もうエッチしてるんですかぁ?」
それはあまりにもストレートな質問でした。千可ちゃんの顔はあっという間に真っ赤になってしまいました。
「な、なんでそんなこと訊くのよ!」
森口くんの顔も真っ赤になってます。よう子ちゃんはこの2人の反応を見て、
「あ~ この反応、もうやってますねぇ」
「まぁ、してるけど」
なんと千可ちゃんはあっさりと認めてしまいました。この応答に森口くんは再度びっくり。
「千可ちゃん!」
「いいじゃん、別に。同じクラブの子だよ。今さら隠すことないじゃん」
千可ちゃんはよう子ちゃんの顔を見て、
「毎日やってるよ。多い日は5回も中出ししてもらってるよ」
森口くんはかなり慌ててます。
「ちょ、ちょっと!」
「中出しって・・・ 妊娠は怖くないんっすか?」
「う~ん、それがまだなんだよなあ・・・」
「ふぇ~ 先輩、妊娠したいんですか?」
「うん。だって私、女だもん。
あ、私たちが毎日セックスしてるって話、みんなには内緒だからね」
「わかってますよ」
「絶対内緒だからね!」
けど、よう子ちゃんにそんな釘刺しは意味がありませんでした。翌日よう子ちゃんは登校すると、さっそくあちらこちらに触れ廻ったのです。千可ちゃんと森口くんが毎日セックスしてることは、ほんの2・3時間で高校のみんなが知ってしまうことになりました。
一番慌てたのは職員室。しかし、千可ちゃんも森口くんも1度も問題を起こしたことがありません。しばらくは静観することになりました。




