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4-18

 千可ちゃんとお母さんが自分たちの家に帰ってきました。おかあさんはさっそく夕ご飯の用意です。そのまま千可ちゃんとお母さんはご飯を食べました。2人の間にはいつもの、いや、いつも以上の笑顔がありました。昨日今日の激闘は、2人の記憶から消え去ってしまったようです。

 千可ちゃんはご飯を食べ終わると、自分の部屋に戻り、押し入れからギターを取り出しました。千可ちゃんはずーっとギターを習ってましたが、一緒にギターを習っていた初体験の相手の男の子がお母さんに呪い殺され、大いに落胆し、それを機にあえてギターは触れないようにしてました。でも、今日その男の子の死因がただの交通事故だと知り、久しぶりにギターを弾きたくなったのです。

 けど、ギター(クラシックギター)を手にしたら、ガット弦はボロボロでした。経年劣化です。仕方がないから、今度はスティール弦のギター(フォークギター)を取り出しました。が、こっちは弦が錆びてました。こんなギターをフィンガーピックで弾いたら、指を切ってしまいます。

「あは、しょうがないなあ・・・」

 千可ちゃんは明日弦を買うことにし、ベッドに横になりました。千可ちゃんはまだ疲れが残ってたらしく、すぐに深い眠りにつきました。


 翌朝千可ちゃんはふつーに目覚めました。そしていつものように高校の制服に着替えました。お母さんもふつーに起き、朝ごはんを作り、千可ちゃんはそれを食べました。羽月家いつもの朝です。ただ、この日お母さんは千可ちゃんに気になる発言をしました。

「ねぇ、千可」

「ん、何?

「千可に1つお願いがあるんだ。好きな男の子ができたら、その人を一生大事にするのよ」

「え? なに、急に?」

「いや、別に。そう思っただけ」

 お母さんは千可ちゃんにお弁当を手渡しました。

「さあ、もう時間よ」

「うん」

 千可ちゃんは玄関のドアを開けました。

「行ってきまーす!」


 学校です。千可ちゃんが教室の自分の席に着くと、さっそく森口くんがやってきました。

「羽月さん、昨日はどうしたの?」

 そうです。実は昨日は月曜日、学校がある日だったのです。でも、千可ちゃんはそれに対応する答を用意してありました。

「昨日お母さんが倒れちゃって、大変だったんだ」

「えっ、それって山上静可の呪い?」

 この質問はちょっと想定外だったようです。

「そ、それは違うと思うよ」

 千可ちゃんは笑顔を見せることで、なんとかごまかしました。


 放課後です。オカルト研究部は通常火曜日は活動しないのですが、今日はありました。

 まず部長の浜崎さんが城島さんの容体を説明しました。城島さんの右眼の具合は好転したようです。ただ、お父さんとお母さんが呪い殺されたという事実は、まだ城島さんには知らされてないようです。

 最後に、浜崎さんは部員全員に大きく頭を下げました。

「ごめんなさい、これはみんな私のせいです!・・・」

 それを見て福永さんも、戸村くん、森口くんも、千可ちゃんも慌てました。

「ぶ、部長、そこまで謝らなくっても・・・」

「部長は何も悪くないですよ!」

「ありがとう、みんな・・・」

 さっきまで毅然と話していた浜崎さんですが、その声はいつしか涙声になってました。他のオカルト研究部の4人は、何も声をかけることができません。この日を最後に浜崎さんはオカルト研究部を定年退部しました。


 オカルト研究部の会合はこれで終了し、千可ちゃんは学校の門を出ました。森口くんも一緒です。

「あの~ 羽月さん、どこに行くの?」

 どうやら千可ちゃんは、自分の家とは別の方向に歩いてるようです。千可ちゃんは森口くんの質問を無視するように、関係のない質問を返してきました。

「森口くんて、下の名前、なんていうの?」

「え? 和雅だけど・・・」

「ふ~ん。それじゃこれからは、和ちゃんと呼ぶね。だから和ちゃんも私のことを千可ちゃんと呼んで」

「う、うん・・・」

 森口くんはその言葉にある確信を持ちました。羽月さんはぼくを彼と認めてくれた。森口くんはなんとなく嬉しくなっちゃいました。

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