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1-4

 その日学校に行った千可ちゃんの表情は暗いままです。でも、昼休みに意外なものが訪れました。

「あなたが羽月さんね」

 学食に向かおうとした千可ちゃんの前に、4人の女の子が立ちました。その中には昨日の城島さんもいます。

「あなた、すごい霊能力持ってるんですって?」

 リーダー格と思われる女の子がそう語りかけてきました。巻き毛がとてもきれいな長身の美人さんです。千可ちゃんは反射的に質問しました。

「あ、あなたは?」

「オカルト研究会会長、浜崎優実」

 今度は浜崎さんの右隣にいた女の子が話かけてきました。

「ねぇ、私たちの部に入って欲しいの」

 畳みかけるように、浜崎さんの左隣にいた女の子も話かけてきました。

「あなたみたいな霊能力者がいたら、百人力よ!」

 それを聞いて千可ちゃんは、顔を赤らめ、

「わ、私に霊能力なんかありませんよ」

 と言いました。ちなみに、右隣にいた人は福永さん、左隣にいた人は蓑田さん。福永さんも蓑田さんも上背があるので、千可ちゃんはなんか子供みたいです。城島さんは千可ちゃんより上背がありますが、この3人の中に入るとやっぱり小さくみえます。

 今度は城島さんが語りかけてきました。

「ねぇ、羽月さん、お願い。オカルト研究会に入って」

「で、でも・・・」

 千可ちゃんは部活動に関してはお母さんに制限を設けられてません。でも、オカルト研究会となったら、きっとお母さんは怒るはずです。お母さんのビンタは強烈です。

 けど、千可ちゃんは昨日のことでちょっとグレてます。それにここで友達を作りたい気分もあります。

 迷ってる千可ちゃんを後押しするように、城島さんが言いました。

「私たち、明日またあの廃ホテルに行くの。羽月さんも一緒に来て欲しいんだ」

 なんと城島さんはせっかく千可ちゃんに除霊してもらったというのに、また廃ホテルに行くようです。千可ちゃんは呆れてしまいました。苦笑いです。

 と、そのとき、千可ちゃんの脳裏にあるビジョンが浮かびました。それは狂乱状態に陥った浜崎さんが、城島さんと福永さんと蓑田さんを鉄パイプのようなもので襲うというもの。背後の光景からしてそこは廃ホテルのようです。

「どうしたの、羽月さん」

 ぼ~としてる千可ちゃんに、浜崎さんが声をかけてきました。はっとして正気に戻る千可ちゃん。

「いや、その~ あはは・・・」

 今見たビジョンを話すのは絶対ムリ。千可ちゃんは微笑みを見せることですべてを交わそうとしましたが、ちょっとぎこちのない微笑みです。

 福永さんが1枚の紙を取り出し、千可ちゃんに提示しました。

「入部届け、もう用意してあるんだ。羽月さんがここに名前を書いてくれたら、入部完了だよ」

 こりゃあまた、ずいぶん気の早い人たちですねぇ・・・

「え、ええ・・・」

 千可ちゃんの顔色が急に悪くなりました。千可ちゃんはこの早すぎる行動に気分を害してしまったようです。それを見て今度はオカルト研究会の4人が顔を見合わせ、しょぼ~んとしてしまいました。その空気を読んだ千可ちゃんが、

「で、でも、その廃ホテルには一緒に行きましょう!」

 千可ちゃんのその宣言に、オカルト研究会の4人は安堵しました。

「ありがとう。じゃあ、明日朝9時に駅前にきて。約束ね!」

 そういうと4人は立ち去りました。しかし、あのビジョンはいったいなんだったのでしょうか?

「ただいま~」

 千可ちゃんが我が家に帰ってきました。お母さんはまた居間でテレビを見ていましたが、さすがのお母さんもやっと反省したらしく、玄関に顔を出してくれました。

「千可、おかえり」

 怒ってないときのお母さんはとても素晴らしいお母さんです。でも、千可ちゃんには昨日のトラウマがあるので、何もあいさつをしないまま、そそくさと自分の部屋に行ってしまいました。

 千可ちゃんは自分の部屋に入ると、そのままベッドにごろんとなりました。千可ちゃんが今気になってることは、さっきのビジョン。千可ちゃんは午後の授業中も、帰り道も、ずーっとそのビジョンのことを考えてました。

 そのビジョンは明日廃ホテルの中で起きる出来事を暗示してるようです。じゃあ、なんで浜崎さんは暴れる? もっとも考えられるのは、浜崎さんに悪霊が取り憑いて、我を忘れてしまったケース。だったら先回りして廃ホテルに巣食ってる悪霊どもを斬り刻んでしまえば問題は起きないはず。でも、廃ホテルの場所は千可ちゃんは知りません。けど、千可ちゃんにはふつーの人では考えられない能力があります。千可ちゃんはふーっと目をつぶりました。

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