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4-13

 山上静可は千可ちゃんが持っている脇差に注目しました。

「その刀、妖刀キララの脇差か? ずーっと行方知れずになってたが・・・ なんでおまえが持ってる?」

 ちなみに、今山上静可が持っている太刀も妖刀キララです。

 千可ちゃんは今の質問には興味がないらしく、別の話を始めました。

「山上静可、なんでたくさんの人を殺すの? なんで野中さんを追い詰めるの?」

「復讐だよ。そんなのもわからんのか? 儂はあの一家の連中をすべて殺す。全員ぶっ殺す。関係を持ってた者もすべて殺す。羽月千可、当然お前も殺す!」

 千可ちゃんは刀を握る手に霊的エネルギーを溜め始めました。

「ふふ、おもしろいじゃん。やれるものならやってみろ!」

 千可ちゃんは刀を握る右手を左側に向けました。その刀は千可ちゃんの霊的エネルギーを思いっきり吸って、不気味に光ってます。

「たーっ!」

 千可ちゃんは左から右へ思いっきり刀を振り向きました。発射された強烈な光は、先ほどとは比べ物にならないくらいのまばゆい光です。その光が山上静可を直撃。あまりの衝撃に物理的な大爆発が起きました。それを見て千可ちゃんは、思わずニコっとしました。

「やった!」

 が、爆炎の中から1つの人影が飛び出してきました。山上静可です。

「バカめっ! そんなものが儂に効くと思ってんのかーっ?」

 それを見て千可ちゃんの顔色が変わりました。

「ええ?・・・」

 山上静可は千可ちゃんの身体を思いっきり袈裟斬り。千可ちゃんは声にならない悲鳴をあげました。一方山上静可は得意満面な顔をしています。

「ふ、口ほどにもないやつめ!」

 千可ちゃんの眼からあっという間に生気が消えました。ワンテンポおいて千可ちゃんの身体は崩れ落ちるように倒れました。千可ちゃんの完敗です。山上静可の霊力は、千可ちゃんが思ってたよりはるかに強烈だったのです。

 一敗地にまみれてしまった千可ちゃんですが、まだ息はあるようです。それを示すように、右手の指がぴくぴくっと動いてます。山上静可はそれに気づき、

「ん、なんだ? まだ息があるのか? ふ、ちょっと浅かったか・・・」

 山上静可は刀を逆手に持ち、切っ先を下にして振り上げました。

「ふふ、とどめを刺してやるか。死ねーっ!」

 が、ここでタイヤがアスファルトを刻む音が。山上静可がはっとして振り返ると、1台の乗用車が突進してきました。そのクルマが停止すると、運転席のドアから千可ちゃんのお母さんが飛び出してきました。

「千可ーっ!」

 お母さんは山上静可を見て、

「お母さん、やめて! その子は私のたった1人の娘なの! あなたにとってたった1人の孫なのよ! その子を殺したら、あなたの血は途絶えてしまうのよ!」

 なんと山上静可は千可ちゃんのお母さんのお母さんだったのです。つまり千可ちゃんの祖母。千可ちゃんはおばあさんの霊に斬られたのです。けど、当の山上静可の反応は冷酷でした。

「そんなのはわかっていた。儂の邪魔をするものはたとえ孫であろうと殺す! 美可、お前だって儂の邪魔をするようなら、ぶっ殺す!」

「くっ、わからず屋!」

 が、お母さんの脚が動きません。

「あ、脚が?・・・」

「あはは、こいつはお笑いだ。こんなにも簡単に金縛りにかかるとは、お前、娘以下じゃないか!」

 と言うと、山上静可は逆手に持った刀を再び振り上げました。

「今度こそとどめだ!」

 ああ、千可ちゃんの命は風前の灯・・・ が、そのとき山上静可の身体に衝撃が走りました。

「うぅっ?」

 山上静可がそーっと自分の胸をみると、胸から刀の切っ先が飛び出してました。

「ケ~ケケケケケ!」

 なんと山上静可の背後にいつの間にか千可ちゃんの霊体、チカちゃんが立っていたのです。チカちゃんは千可ちゃんの脇差を拾い上げ、それで山上静可の背中を背後から突き刺してました。

「れ、霊体だと・・・ ばかな・・・ こいつ、霊体をコントロールできるのか?・・・

 くっそーっ、身体が維持できん・・・」

 と言うと、山上静可の身体がふっと消えました。と同時に、千可ちゃんのお母さんの身体が動きました。お母さんはちょっとびっくり。

「ええ?・・・」

 お母さんは倒れてる千可ちゃんを見て、

「千可ーっ!」

 と叫び、千可ちゃんの身体に駆け寄り、千可ちゃんの上半身を抱き上げました。

「千可! 起きて千可! 千可ーっ!」

 けど、千可ちゃんは反応しません。一見すると千可ちゃんの身体は平然としてますが、見える人が見たら左肩から右脇腹にかけて幽体が大きく裂けてます。これで生きてるとしたら奇跡です。

 お母さんは千可ちゃんの身体を思いっきり抱きしめました。その眼からたくさんの涙がこぼれ出ています。

「死なないで、千可ーっ!」

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