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4-10

 2人を撥ねた暴走車は、今度は千可ちゃんに向かって猛スピードで突っ込んできました。千可ちゃんは瞬時に判断しました。これは山上静可の呪いだ。

 千可ちゃんは逃げようとしません。運転席にドライバーの姿はありますが、このクルマをコントロールしてるのは、間違いなく山上静可の霊。右に避ければ右に、左に避ければ左に向かってくることは確か。千可ちゃんはぎりぎりのところまで粘ることにしました。

 10メートル、5メートル、3メートル、今だ! 千可ちゃんは左にダイブ。クルマは千可ちゃんの身体の真横を通過。エントランスポーチの段差でジャンプし、空高く舞い上がりました。そして池のど真ん中に突き刺さるように着水しました。

 思いっきり地面にダイブした千可ちゃんは、うつ伏せになったまま、クルマが飛んで行った方向を見ました。息ははぁはぁとめちゃくちゃ荒くなってます。と、千可ちゃんは自分のすぐ右側に何かを感じました。で、そっちに顔を向けると、なんとそこには城島さんのお母さんの首が落ちてました。その両眼はかっと見開き、千可ちゃんを睨みつけてました。

「きゃーっ!」

 さすがの千可ちゃんも、これには思わず悲鳴をあげてしまいました。けど、千可ちゃんはすぐに我に返りました。そしてこう思いました。

「城島さんが危ない!」

 そうです。千可ちゃんがさっき城島さんの病室で感じた視線。あれはやはり山上静可のものだったのです。あの部屋に山上静可がいたのです。

 千可ちゃんは立ち上がると、

「チカちゃん!」

 と、命令調に叫びました。すると千可ちゃんの目の前に千可ちゃんの霊体が現れました。千可ちゃんは自分の霊体にチカという名前を与えていたのです。ものすごいセンスですね。

「すぐに城島さんの部屋に行って! 城島さんを守って!」

 千可ちゃんがそういうと、チカちゃんはケケケと言って、次の瞬間消滅しました。どうやら城島さんの病室に行ったようです。

 千可ちゃんの眼が急にきつくなりました。

「山上静可。あいつを退治しないと、みんな殺されちゃう!」

 ついに千可ちゃんは山上静可と対決する気になりました。


 山上静可と対決する気になった千可ちゃんですが、闇雲に対決しても勝てる相手ではありません。そこで千可ちゃんは、今もっとも山上静可を知ってると思われる人物に会いに行くことにしました。

 千可ちゃんはタクシーに乗りました。向かった場所は、1週間前城島さんが大けがをした半分解体された豪邸。正確にはその豪邸の敷地内にある平屋です。

 タクシーの運転士さんはやはり「あの場所には行かない方がいい!」と何度も警告しましたが、千可ちゃんは聞く耳を持ちませんでした。ま、実際のところ、千可ちゃんは山上静可の再襲撃を恐れて、霊視能力をずーっとフル回転させてました。そのせいでタクシーの運転士の警告が耳に入ってこなかったようです。

 いよいよタクシーが目的の場所に着きました。千可ちゃんを降ろすと、タクシーは逃げるように立ち去りました。

 千可ちゃんが豪邸の門を見ると、3人の幽霊が立ってました。あのとき平屋の前に立っていた先祖霊です。今日は門の前に立ってました。千可ちゃんはその3人を見ながら、3人に向かって歩き始めました。パイロットの幽霊の質問してきました。

「お前、オレたちが見えるようだな」

「はい」

 今度は看護師の幽霊の質問です。

「ここに何しに来た?」

「あなたたちが守ってる人に会わせてください」

 それを聞いて学生服の幽霊が怒りました。

「何言ってるんだ? おまえ、あいつの・・・」

「やめろ!」

 パイロットの幽霊がそのセリフをさえぎりました。

「どうやらこの娘は、事情をまったく知らないようだ。ついて来い」

 千可ちゃんは3人の幽霊に導かれ、この土地の中に入りました。千可ちゃんと3人の幽霊の先に先日の平家が見えてきました。

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