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4-6

 6人が門の前に立ちました。門柱はありますが、門扉はなくなってます。中に自由に入れる状態にありました。

 福永さんは鬱蒼とした樹々を見て、内心焦り始めました。

「うわっ、これは何か出そう・・・」

 一方、浜崎さんはやる気まんまん。

「よーし、みんな、中に入るわよ!」

 6人は敷地の中に入りました。


 中はかなり大きな土地です。植栽はずーっと手入れしてないらしく、冬だというのに茫々です。樹木はほとんど大木になってました。その間を6人が歩いてます。

 先頭を歩いている人物は浜崎さんかと思えば、戸村くんでした。さすがの浜崎さんも何か危険を察したらしく、1年生の戸村くんを先頭にしたようです。浜崎さんは2番目を歩いてます。

 戸村くんはふと左手側に小さな平屋の家を発見しました。

「部長、あそこに家が・・・」

「そんなのはあとあと」

 どうやら浜崎さんは、その家にはなんの興味も持てないようです。けど、戸村くんはその家が気になって気になって仕方がありません。実はその家の前に3人の幽霊が立ってるのです。第二次世界大戦中のパイロットと思われる男性、ちょっと古い看護師の女性、詰襟の学生服の男性の3人。見える人は大変ですね。

 戸村くんは千可ちゃんにテレパシーを送りました。

「羽月さん、あの家の前に幽霊が3人立ってますよ」

「うん。あれはたぶん先祖霊だと思う。きっとあの家の中にだれか居て、その人を守ってんじゃないかな」

 千可ちゃんはテレパシーで即答してくれました。先祖霊ならこっちから手を出さなければ無害なはず。戸村くんはちょっと安心して前に進みました。


 ついに6人が大邸宅の前に立ちました。半分解体された大邸宅。その前に重機が1台放置されてます。どうやらこの豪邸は、解体工事途中で放棄されたようです。

 浜崎さんは感嘆な声を挙げました。

「すごい、半分壊れてんのに、私の家より大きい!・・・」

 そうです。浜崎さんの家も豪邸ですが、それよりも大きな豪邸なのです。千可ちゃんもびっくりしてます。

「うわ~ おっきなおうち・・・」

 福永さんは重機の前に立ちました。その重機は片側のキャタピラが外れてました。

「これ、壊れてんの?・・・」

 福永さんのその疑問に浜崎さんが応えました。

「それも呪いのせいかも?・・・」

 城島さんが大邸宅に近づきました。

「なんで放棄されたのかなぁ?」

 城島さんは窓から中をのぞこうとしてます。

「中はどうなってるんだろ?」

 と、窓ガラスにビシッと小さなひびが入りました。その瞬間、千可ちゃんの身体にぞくぞくっと悪寒が走りました。何か途方もなく強烈で殺意を帯びた霊気。それが突然現れたのです。千可ちゃんはありったけの力で叫びました。

「危なーいっ!」

 その声を聞いて、城島さんがびっくり。

「えっ?」

 次の瞬間、窓ガラスがバリーンと激しく割れました。その破片が城島さんに向かってきます。

「ええっ?」

 大きなガラス片の1つが城島さんの左眼の眼球を直撃。城島さんの身体はそのまま後方に吹き飛ばされました。それを見ていた5人は一瞬フリーズ。けど、すぐに我に返り、倒れてる城島さんのところに駆け寄りました。

「城島さん!」

 真っ先に駆け付けた浜崎さんが、城島さんの上半身を抱きかかえました。

「城島さーん!」

 城島さんの左眼には窓ガラスの破片が刺さってます。右眼にも小さなガラス片が入ってました。

「な、なんてことを・・・」

 浜崎さんは言葉をなくしてしまいました。

 千可ちゃんはあたりを見回しました。

「山上静可がいる?・・・」

 けど、山上静可の気配はありません。

 実のところ、千可ちゃんは霊気をずーっと感じてませんでした。強い霊気を感じたのは、窓ガラスが割れるほんの数秒前。しかも窓ガラスが割れると同時にその霊気は消滅してしまったのです。

 霊にもステルス性があるのでしょうか? もし山上静可の霊がそれを使えるとしたら、かなり手強い悪霊と言わざるを得ません。千可ちゃんはさきほどとは違う悪寒を感じました。

 5人はとりあえず城島さんの身体を門の外にそーっと運び出しました。間もなく救急車がやってきました。

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