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「結局山上静可がなんなのか、調べてみないとダメか・・・」
その発言をした浜崎さんに福永さんが進言しました。
「部長、近くの図書館に行ってみましょうよ。地元の新聞を見れば、当時何があったかわかるはず」
「それはいい考えね」
浜崎さんはスマホを取り出して、さっそく電話。どうやらタクシーを呼ぶようです。タクシーが来るまで福永さんはスマホの地図ソフトを見てましたが、ふいに何かを発見したようです。
「あれ、これは?」
福永さんはスマホの画面を浜崎さんに見せました。
「部長、これを見てください」
それは地図代わりの航空写真でした。なぜか半分だけ壊れてる豪邸が写ってます。浜崎さんはそれを見て驚きました。
「何、この建物。半分だけ壊れてる? これは行ってみる価値がありそうね」
浜崎さんはみんなを見て、
「みんな、行先変更するわよ!」
2台のタクシーが到着しました。さっそく浜崎さんが先頭のタクシーに乗り込み、福永さん所有のスマホの画面を運転士に見せました。
「運転士さん、ここ、どこだかわかりますか?」
それを聞いた運転士は、途端にけげんな顔を見せました。
「ああ、わかるけど・・・ 行くんですか?」
「はい」
運転手は1つ溜息をつきました。そして、
「わかりました」
と、仕方なさそうに言いました。
2台のタクシーが走り出しました。
さきほどのタクシーの中です。運転士が横目で後部座席の浜崎さんを横目で見ました。
「きみたちもオカルトマニアなのか?」
「まあ、そんなもんですけど」
「実は先月もオカルトマニアのカップルをその建物に運んだんだけど・・・ 2人とも首なし死体で翌日発見されたんですよ」
「ええ?・・・」
その話を聞いて、浜崎さんばかりか、福永さんと城島さんも呆気にとられました。運転士は発言を続けました。
「悪い事は言わん。そこには行かない方がいい!」
浜崎さんは福永さんと城島さんを見ました。
「どうする?」
福永さんも城島さんも即答しました。
「私は大丈夫ですよ」
「ここで逃げ出す理由もないんじゃないですか?」
浜崎さんは横目で後ろを走るタクシーを見ました。
「後ろの3人はタクシーを降りたあとに訊くか・・・」
浜崎さんは今度は運転士に話しかけました。
「運転士さん、大丈夫です。行きます!」
「そうですか・・・ 私は警告しましたからね」
タクシーはそのまま目的地に向かいました。
再び浜崎さんが乗るタクシーの中です。
「ところで、運転士さん、山上静可て女性、知ってますか?」
けど、運転士は無反応です。浜崎さんはもう1度質問しようとしました。
「あの~・・・」
その質問をさえぎるように、運転士が言葉を発しました。
「お客さん、その名前は禁句ですよ。その名前は2度と言わないでください!」
浜崎さんはまたもや呆気にとられてしまいました。
道路の脇にタクシーが停まりました。タクシーから福永さん、城島さん、そして浜崎さんが降りました。浜崎さんは道路と反対側の広大な土地を見ました。そこには鬱蒼とした樹々が見えます。その樹々の間から大邸宅も見えました。
「あそこね」
城島さんがそれに応えました。
「きっと何かありますね」
福永さんが横目で後ろを見ました。そこには壊れた家の門が。
「どうやらここもゴーストタウンのようですね」
ここで2台目のタクシーが到着しました。浜崎さんが見てる前で千可ちゃん、森口くん、戸村くんがタクシーを降りました。さっそく浜崎さんが声をかけました。
「3人とも、話があるんだけど・・・」
千可ちゃんが即答しました。
「タクシーの運転士に何か言われたんですか?」
続いて、戸村くん。
「実はオレたちも言われたんですよ。ここには来ない方がいいって」
最後に森口くん。
「ここでたくさんの死体が発見されたと言われました。だから行くなって・・・」
浜崎さんはちょっと苦笑して、
「あは、そっちのタクシーでも言われたんだ。で、どうすんの?」
代表して戸村くんが返答しました。
「もちろん、部長について行きますよ」
「わかった」
浜崎さんはちょこっと笑いました。6人は道路を横断しました。




