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4-3

 靴を履きかえた千可ちゃん、城島さん、森口くん、戸村くんが並んで校舎から出てきました。森口くんが千可ちゃんに話しかけました。

「なんか、すごいなあ、1000人以上の人が呪い殺されたなんて・・・」

「オカルト系の雑誌ていい加減なところがあるから、全部創作かもよ」

 と千可ちゃん。すると城島さんは、

「けど、その呪いが真実だったら、ヤバいかも? そんなの取材して大丈夫かなあ・・・」

 それに森口くんが反応しました。

「なんか、怖いなあ・・・」

 その発言に千可ちゃんは心の声で応えました。

「ふふ、大丈夫。どんな呪いでも、私がみんなを護るから」

 4人が自転車置き場につきました。

「じゃあね」

 4人が自転車でそれぞれ別の方向に走り出しました。

 千可ちゃんが1人で自転車で走ってると、ふっと横から人影が現れました。千可ちゃんがその人影を見たら、それは自転車に乗った戸村くんでした。

「あれ、戸村くん?」

「大丈夫。どんな呪いでも私がみんなを護るから、て、さっき言ってましたよね」

「あは、私の心の声が聞こえちゃった?」

「テレパシーで聞こえましたよ。

 オレ、なんかものすごく嫌な予感がするんですよ」

「私だってしてるわよ。でも、大丈夫。呪いなら私より怖い人はいないから。あなただって知ってるでしょ?」

「あは、そうですね」

 そうです。戸村くんは一度千可ちゃんに呪い殺されてるのです。しかも死んでから9時間以上も経ってたのに、千可ちゃんの霊能力でこの世に戻って来ることができました。千可ちゃんの霊能力を誰より知る立場にいたのです。戸村くんはちょっと納得したようです。


 翌日は休校日。千可ちゃんは自転車で駅に向かいました。オカルト研究部が朝8時に集合と言ったら、部員は自主的に1時間早く集まってきます。千可ちゃんが7時ジャストに駅前に到着したら、彼女以外の部員は勢ぞろいしてました。千可ちゃんよりあとに入部した森口くんや戸村くんも先に着いて待ってたのです。

「あれ、私が最後ですか?」

 森口くんが苦笑しながら応えました。

「うん、そうみたい」

 浜崎さんは高らかに宣言しました。

「さあ、みんな、行きましょか!」

 オカルト研究部の出発です。


 6人が電車に乗り込みました。ちなみに、皆川市まで電車では片道1時間ほどかかります。電車賃も片道千円以上。高校生には大金です。けど、切符代はすべて浜崎さんが出してくれるようです。浜崎さんは太っ腹ですねぇ。大金持ちの浜崎さんがいなくなったらオカルト研究部の部費はどうなってしまうのでしょうか? ちょっと心配ですね。

 女3人寄れば姦しいと言いますが、浜崎さん・福永さん・城島さん・千可ちゃんと女4人寄れば、当然談笑に花が咲きます。ちょっとやかましいです。

 一方森口くんと戸村くんは2人で4人掛けのボックスシートに座ってます。森口くんは戸村くんに肋骨を折られた記憶は消せるものじゃないし、戸村くんも森口くんの肋骨を折った負い目はなかなか消せないもの。2人の間には微妙な空気がずーっと流れてました。


 約1時間後、オカルト研究部の6人は皆川駅に降り立ちました。ふつーの郊外の駅です。さっきまで談笑していた女の子4人ですが、ここからは本気モードです。顔がびしっとしてます。

 6人がタクシー乗り場に向かいました。タクシーに乗車するようです。6人だから1台のタクシーではムリ。で、3人+3人で2台に分乗しました。このタクシー代も浜崎さんが持ってくれるようです。頼もしい人ですね。

「皆川西部小学校の跡地まで」

 タクシーに乗った浜崎さんが行き先を告げました。すると運転手から意外な応えが返ってきました。

「あ~ あそこですか? 別に行ってもいいですけど、早く帰った方がいいですよ」

「え、え、なんで?」

「さあ・・・」

 タクシーの運転士はそっけなく応えました。浜崎さんと一緒に乗ってる福永さんと城島さんは、その対応にけげんな顔を見せました。

 2台のタクシーが出発しました。

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