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3-4

 ここはみみずく神社の境内。夜ですが月明かりがまぶしく、足下を明るく照らしてます。今絵馬掛けに向かって例の女の子が駆け上がってきました。全速力で駆けあがってきたのでしょうか? 息がかなり荒いようです。右手には絵馬が握られてました。

 その女の子の前に人型の淡い光が立ちふさがりました。女の子は急ブレーキ。

「な、何?」

 女の子がその人型を睨むと、それは千可ちゃんの幽体でした。女の子はびっくり。

「あなた、この前の・・・」

 千可ちゃんは女の子が握っている絵馬に注目しました。

「また呪いの絵馬を奉納する気なの?」

 女の子は思わず叫びました。

「あなたには関係ない話でしょ!」

「う~ん、そう言われちゃうと・・・

 ねぇ、丑の刻参りて知ってる?」

 女の子は黙ってしまいました。

「丑の刻参りしてるところを他人に見られたら、その呪いは丸ごと丑の刻参りをした人に跳ね返ってくるよ。私が見てる前で呪いの絵馬を奉納したら、呪いはすべてあなたに振りかかるけど、いいの?

 おまけに・・・」

 千可ちゃんはある方向を指さしました。そこには神社の建物(社務所)があり、その軒下に監視カメラがありました。

「あそこに監視カメラがある。私が見てなくったって、あの監視カメラでたくさんの人が監視してるけど、それでもいいの?」

「くっ・・・ これは丑の刻参りなんかじゃないわよ!」

「じゃあ、なんでこんな時間に絵馬を奉納すんの?」

 女の子はキッとした視線で千可ちゃんを睨みました。そして振り返ると同時に、逃げるように駆け出しました。それを見て千可ちゃんはニヤッと笑いました。


 翌日の部室です。千可ちゃんがみんなに紙を1枚ずつ配ってます。何か文章が書いてある紙です。どうやら昨夜千可ちゃんが浜崎さんの部屋で目撃した紙のコピーのようです。福永さん、城島さん、戸村くんがテーブルに座ってこの紙片を読んでます。と、福永さんがここであることに気付きました。

「あれ、森口くんは?」

 そうです。今ここに森口くんの姿がありません。紙を配り終わった千可ちゃんが座りながら、

「授業には出てたんですが・・・」

 浜崎さんが紙を片手に説明し始めました。

「はい、これは昨日私が書いた心霊映像の説明文です。ふふ、5時間もかけて書いたんだ」

 文章を読んでいた城島さんが、感嘆な声をあげました。

「いいんじゃないですか。これで十分ですよ」

「部長、送る前にもう1回あの映像を見ましょうよ!」

 それは千可ちゃんの提案でした。

「OK!」

 浜崎さんは即答しました。そして封筒からSDカードを取り出し、ビデオカメラに装着。浜崎さん、福永さん、城島さんはわくわく状態。千可ちゃんも表向きはわくわくしてますが、実は3人とは別の意味でわくわくしてました。

「スイッチオン!」

 浜崎さんがビデオカメラのスイッチを押しました。けど、このビデオカメラと専用コードでつながってるテレビに映像が出ません。代わりに「データはありません」という警告が出ました。

「あ、あれ?・・・」

 浜崎さんは焦ってます。福永さんも城島さんも焦ってます。千可ちゃんは表向き焦ってますが、実は吹き出しそうになってるのを我慢してました。

「こ、これ、どういうこと?」

 浜崎さんは今度はSDカードをコンピューターに挿入し、ディスプレイを凝視しました。

「データが1個もないって?・・・ ど、どうして?」

 福永さんの発言。

「部長、まさか昨日私たちの映像を消去したとき、肝心な映像まで消しちゃったんじゃ?・・・」

 浜崎さんは必死です。

「そ、そんなことないわよ! だって昨日の夜、私見たんだもん! 私の家で!」

 ここで戸村くんが口を開きました。

「あの~ オレの力って、時間が来ると自動的に消えちゃうのかも・・・」

 それに福永さんが反応しました。

「んな、バカな!」

「いや、あるかも」

 浜崎さんは真顔でビデオカメラを戸村くんに手渡しました。

「ねぇ、昨日と同じことして」

「えぇ~・・・」

「ほんとうにあなたの力が数時間で自動的に消えるのなら、テレビに映像を出して、それを別のカメラで録る。そうすれば消えないでしょ。さあ、やって!」

「わかりました」

 戸村くんはちょっとあきれ顔です。でも、浜崎さんは部長です。部長には逆らえません。額にビデオカメラのレンズを密着させ、録画開始。浜崎さんは前回は見てただけでしたが、今回は記録するようにスマホで撮影してます。

 約2分後、録画停止。さっそく再生してみましたが、テレビには何も映ってません。浜崎さんはかなり悔しい顔をしてます。

「ん~・・・

 もう1回やって!」

「はいはい」

 浜崎さんはまた戸村くんに録画させました。今度は5分。しかし、やはり何も映ってませんでした。

「もう、どうして・・・ どうしてなのよーっ!」

 結局このままオカルト研究部の部活はお開きとなりました。

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