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3-3

「どこに行ったんだろ?」

 森口くんが何かを捜しながら廊下を小走りで移動してます。と、何かを見つけ、はっとして立ち止まりました。

「いた」

 森口くんが廊下を左に曲がろうとしたとき、千可ちゃんを発見しました。けど、さらに曲がったら、そこには戸村くんもいました。千可ちゃんと戸村くんは仲良く話し合ってました。

「ああ・・・」

 森口くんは愕然としました。ほんの少し前森口くんはなんの落ち度もないのに戸村くんに襲われ、肋骨を折られました。その事件に関しては、戸村くんは森口くんに正式に謝罪してます。森口くんはそれを受け入れてます。だから森口くんにはなんのわだかまりはないはず。けど、肋骨を折られて以来、森口くんにとって戸村くんは恐怖の存在です。その恐怖の存在が自分のお気に入りの女の子と仲良くしゃべってるのです。

 森口くんになんとも言えない虚脱感が襲ってきました。そのまま森口くんは後ろに数歩下がり、くるっと振り向いて逆方向に走り出しました。


 ところで千可ちゃんと戸村くんは、何を話し合ってたのでしょうか? ちょっと巻き戻してみましょう。まずは戸村くんの発言。

「部室に彼女の生き霊がいたんですか?」

「ううん、いなかったよ。どうしてあんな映像が録れたのか、私もわかんないよ・・・ しいて言えば、あなたがあの娘の恨みを無意識でキャッチしてたのかも・・・」

「オレ、あの娘んとこに行って、謝罪してきますよ」

「いや~ それはやめといた方がいいよ。昨日彼女の深層心理に潜ったけど、まだ心の傷が癒えてないみたい。今行ったら、絶対逆効果になるって」

「じゃ、どうしたら・・・」

 千可ちゃんは微笑みながら応えました。

「私に任しといて」


 ここは千可ちゃんの部屋です。パジャマ姿の千可ちゃんは、床に座り、ベッドを背もたれにしてコンパクトデジタルカメラをいじくってます。と、右手にコンデジを持ち、右手を思いっきり伸ばし、自分を撮影。次にコンデジの液晶画面で自分の姿を確認。SDカードを抜き取り、それを自分の掌に載せ、何かをつぶやきます。するとSDカードが淡い光りに包まれました。再びSDカードをコンデジに戻し、液晶画面で確認。と、急に千可ちゃんの顔が明るくなりました。

「あは、できた。なんだ、簡単じゃん!

 でも、ビデオカメラのデータはどうなんだろ・・・ ま、いっか」

 千可ちゃんはベッドに潜りました。

「おやすみ」

 千可ちゃんは深い眠りにつきました。しばらくすると、千可ちゃんの上に1つの人影が立ちました。幽体離脱した千可ちゃんです。千可ちゃんはニヤッと笑ってます。何か企んでるようです。


 ここは浜崎さんの豪邸、浜崎さんの部屋です。今幽体離脱した千可ちゃんがふわ~っと出現しました。千可ちゃんはまずベッドで深い眠りについてる浜崎さんの寝顔を見ました。

「ふふ、部長、かわいい」

 千可ちゃんが机の上に目をやると、SDカードがありました。SDカードの側には文章が書かれた紙がありました。どうやら例の映像を説明した文章のようです。

 千可ちゃんはSDカードを掌に載せました。すると淡い光りがSDカードを包みました。

「これでよし」

 千可ちゃんはSDカードを元の机の上に戻しました。と、その瞬間千可ちゃんはふと何かを感じました。

「動いた?」

 ここは昨日千可ちゃんが会いに行った女の子の家です。たった今例の女の子が自転車で走り始めました。真夜中です。たった1人でどこに行くんでしょうか?

 この光景を千可ちゃんは目をつぶって見てます。リモートビューです。幽体でもリモートビューが使えるようです。と、千可ちゃんは目を開けました。

「いったいどこへ行くんだろ?」

 千可ちゃんの姿がふわ~っと消えました。

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