表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/55

2-9

 さて、幽体の千可ちゃんはこのまま自分の肉体に戻ったかと言えば、実は別のところに飛んでました。みみずく神社の絵馬掛け。そうです。あの呪いの絵馬です。千可ちゃんはほんの一瞬ですが、あの絵馬に精神を乗っ取られ、戸村を呪い殺しました。そのことが気になっていたようです。

 千可ちゃんはたくさん並んだ絵馬からいとも簡単に呪いの絵馬を発見しました。その絵馬を右手で持つと、その手を水平に伸ばしました。次の瞬間、絵馬はぱっと発火しました。千可ちゃんはその燃えている絵馬を地面に落としました。

「あとはこれを書いた人か・・・」


 それから数日後、病室のドアがノックされました。この病室の患者は森口くんです。森口くんはベッドのリクライニング機能を使って上半身を起こし、読書をしてました。森口くんはノックに返事しました。

「はーい!」

 ドアが開き、千可ちゃんが入ってきました。

「森口くん、お見舞いに来ちゃった」

「は、羽月さん?」

 千可ちゃんは普段着で、手には花束がありました。左ほほの腫れはかなり引いてますが、それでもまだ腫れぼったい感じがあります。

「入ってもいいかな?」

「も、もちろん」

 森口くんは顔を赤らめてます。

 千可ちゃんは花束をテーブルの上に置くと、ベッドの脇にあった椅子に座りました。

「どんな感じなの?」

「まだ胸の骨折がよくなくって・・・ 退院はもうちょっと先なんだって」

「へ~ 私は2日で退院したけどなあ・・・ 骨折すると大変なんだ。

 ねぇ、森口くんは戸村が憎い?」

「も、もちろん憎いよ!」

「殺したいほど憎い?」

「う~ん、殺すまではなあ・・・ でも、ぼくに直接謝んなきゃ、絶対許さないよ!」

 千可ちゃんはそれを聞いて微笑みを浮かべました。

「あは、そっか」

 千可ちゃんはドアを見ました。

「戸村くーん!」

 するとドアが開きました。そこから人影が。その人影は戸村でした。森口くんは戸村を見て思わず緊張しちゃいました。

「え、ええ・・・」

 戸村は森口くんの側にきました。けど、もじもじして後頭部を右手で掻いてるだけです。千可ちゃんがその戸村を促しました。

「戸村くん、約束は?」

「は、はい・・・」

 戸村は森口くんをばしっと見ました。そして背筋をピーンと伸ばし、90度おじぎしました。

「ご、ごめんなさい!」

 それはとても大きな声でした。森口くんはその謝罪をぽかーんと見てました。が、戸村がずーっと頭を下げてるもんで、あるところで突然慌てました。

「わ、わかった。もういいよ。いいって!」

 戸村はようやく顔を上げました。その顔は晴れ晴れとしてました。ここで千可ちゃんが微笑みながら発言しました。

「はい、これで仲直り、仲直り。もう恨みっこなしだよ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ